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チェルフィッチュ『スーパープレミアムソフトWバニラリッチ』

恥ずかしながら、チェルフィッチュという演劇カンパニーの存在を初めて知りました。
1997年に結成され、国内外でツアーを行っている集団だそうです。
主宰の岡田利規さんは横浜から熊本へ東日本大震災後に移り住んで活動しているとのことで、「熊本」という言葉に引かれただけで(笑)何気なく録画を見始めたのでした。

そしたら──その表現手法に釘付けになってしまいました。

チェルフィッチュ独自の身体表現──
それが生み出された経緯も岡田さん(作・演出)がインタビューの中で語っておられましたが、何でも、海外で上演するとき、自分らは日本語しかできないので、当然その国の言葉で字幕が舞台上のどこかに出ます。そうすると、お客さんの目は字幕のほうを追ってしまう。まあ当たり前なんですけど。
しかし舞台上の役者たちは、演じているのに自分たちが見られていない、お客さんがあっちのほうを向いている……という非常に妙な感覚を味わったのだそう。「それって何かヘンだよね」って。
それから、客の目を演者のほうへ向かせるためにはどうしたらいいか…と考えていくうちに、あの独特の表現方法に至ったのだといいます。

それは今までどこでも見たことのないものでした。

岡田さんは過去作品で岸田戯曲賞も受賞されている方ですが、コンテンポラリーダンスの振付家としての評価も高いらしいのです。
後でその事実を知って、「あ、なるほどなぁ」と思いました。


その舞台『スーパープレミアムソフトWバニラリッチ』を見ている間、演者たちのその身体能力の高さに驚き続けてました。一言も台詞を言いよどむことなく始終踊りのような(何とも表現しがたい)動きを続けることの大変さ、心底すごいなと感じ入っていました。
バックにはバッハの「平均律クラヴィーア曲集第一巻」全48楽章が流れていて、それに合わせた振付が施されているように思え、台詞かんだり言い直したりしてられない感じですもん(^^;;
(ワイヤレスマイクつけているのもわかる気がした…勝手な思い込みですけど…)

岡田さん曰わく、バッハの曲が先にあって、48楽章あるってことは48シーン書かなきゃなんないんだなというところから始まって、クラシックとコンビニが掛け合わさって何かおもしろいものが生まれるような気がした…と。

「何かおもしろいものが生まれる」──そこが大事で、何かを伝えたいとか、お客さんに楽しんでもらいたいとか、そういうところが出発点じゃないってところに、今の演劇シーンの一幕を垣間見た思いもあり……。

もちろんできあがった作品には明確なメッセージが込められていましたし、「震災を経験したからこそ、あえてそこに触れずに」「思いを抱えながらの無視」みたいな岡田さんの言葉にも納得できるものがありました。


私にとって目から鱗とも言える貴重な舞台に触れたひととき……まあ録画なので生の舞台から4割引で見たとしても…でした。(笑)感謝!

ちなみに、前2作は重たい内容が続いたので、今回は軽めの作品にしたとのことです。
最初にこの作品に出合えてラッキーだったかも。。(食いつきやすかった?^^)
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