1月28日(日) 曇り
スエチビが昼寝している間に、
オーブントースターを磨いた。
電子レンジの皿を洗って、庫内をアルコールで拭きあげた。
外側も拭いて、ピッカピカになった。
こういうものを磨くと、元気が出る。
すっきりして部屋に戻ると、
明日から使う部屋の収納ボックスが届いていた。
荷物は少しだから、引越し準備はすぐに終わった。
ここしばらく、ある事を考えると、悔しくて仕方がなくなる。
友人の彼女が、子宮癌だと知ったのは、一昨日で、
その時から、その事が頭から離れないで居る。
顔も知らない名前も知らないその人が、
入院してると聞いたのは、一年くらい前だったかなぁ。
友人と電話で話して、
「結婚してやりなさい!!」
と私は言った。あの時は、癌だとは知らなかった。
でも、今でも私は同じことを言うだろう。
「結婚してやんな!!」って。
その彼女は、抗がん剤治療が辛くて、やめてしまったのだそうだ。
なんでやめるんだよー
癌が広がって、肺に転移しているんだそうだ。
今は、通院して薬を飲んでいるのだとか。
ダメだー
そんなんじゃ、ダメだー
治療法があるのに、治療をしないなんて最低最悪だ
うちの父は、治療できなかったんだぞ
入院して半月で死んじゃったんだぞ
輸血しても輸血しても、白血球の数が増え続けて、何も出来ないから、
痛まないようにしてあげることしかできなかったんだぞ
だから、スエチビは治療すれば治るって聞いて、
私はそれだけでもうれしかったんだ。
確かに、抗がん剤治療は、辛い治療だ。
あれ、毒だもん。
毒を体の中に入れるんだもん。
でも、それで悪い細胞をやっつけるんだもん。
そうすれば、元気になれるから、
だからみんながんばってるんだもん。
だって、それやんなきゃ、死んじゃうんだもん。
若い女の人には、副作用がもろに影響するのだそうだ。
でも、高校生の女の子たちも、治療中はそうなるの分かってるから、
いつでも吐けるように、容器を持って、じっと絶えているんだよ。
だから、そんなときは、誰から声をかけられても、
答える気力なんてないから、そうなる前に言うんだって。
「先生、治療中は、声かけてもらっても、私、答えんけん。」て。
でも、そうやって耐えて忍んで、治療が終わったら、また学校へ行ってる。
みんなそう。
子供も大人も、そういう治療を繰り返して、
「家に帰るんだ!」
ってがんばってる。
でも、血液系の治療ほど、他の癌の治療は辛くはないんだよ。
もう一度、がんばってほしい。
傍に居る、私のバカな友人のためにがんばってほしい。
あの人、本当にバカだから(優しいのかも)、
彼女に「がんばれ」なんて言わないかもしんない。
そして、今はそうして二人で、やり過ごしていて、
なんとなくそれも幸せなのかもしれないけど、
それは、本物じゃない。
真っ暗だ。真っ暗な陽だまりだ。
あったかいようだけど、光が差していないじゃない。
そんなところに居てはダメなんだ。
死んじゃう。
死んじゃったら、何にもならない。
逝ってしまう人はいい。
そこで、何も無くなるだけだから。
だけど、残されたほうは、思い出だけが積もり積もって、
苦しくて押しつぶされそうになっても、
何かを食べて、眠れない夜を過ごして、
そして会社へ行かなくちゃいけないんだぞ。
勇気を出して、暗いトンネルへ足を踏み入れてもらいたい。
必ず、向こう側へ抜けられるのだから。
トンネルを抜けたら、そこは冷たい風が吹いてるかもしれない。
冷たくて凍えても、それでも生きているほうが、絶対にいいに決まってる
二人でもっとずっと先まで行けるほうがいいに決まってる
たとえ、子宮がなくなっても。
そんなことで壊れるものなら、
あの人は、治療費を全部出したりしないでしょ。
伝えたいことを、全部書いてしまった。
初対面(まだあったことない)の病気の彼女に、
こんなこと私は言えないだろうな。
もし、会うことがあっても、お土産渡すだけで終わっちゃうだろうなぁ。
口下手だもん
でも、悔しいよ。
今夜も、泣いちゃったじゃないか