
2023年製作/169分/G/スペイン
原題または英題:Cerrar los ojos
映画監督ミゲルがメガホンをとる映画「別れのまなざし」の撮影中に、主演俳優フリオ・アレナスが突然の失踪を遂げた。それから22年が過ぎたある日、ミゲルのもとに、かつての人気俳優失踪事件の謎を追うテレビ番組から出演依頼が舞い込む。取材への協力を決めたミゲルは、親友でもあったフリオと過ごした青春時代や自らの半生を追想していく。そして番組終了後、フリオに似た男が海辺の施設にいるとの情報が寄せられ……。
昨日観た「マルメロの陽光」の監督の映画。169分が長くはなかった。
映画の中の映画。これは記憶、そして追憶の物語。記憶とは心にとめておくこと。記憶されていないと、追憶はされない。記憶を失くしてしまったフリオ。ミゲルは、かつて未完に終わったフリオ主演の映画を、フリオに見せる。瞳を閉じたフリオに、何が起こったのか。
それぞれが、村上春樹ではないけれど、喪失を抱えている。喪失は、記憶される限り、消えることはない。そして、追憶は、苦しみや悲しみをさらに深くする。でも、時間が、形を変えていく。
プラド美術館で働くフリオの娘。プラドカフェでお茶を飲むシーンがあった。
冒頭とエンドロールに双頭の彫刻作品が映し出される。これは2つの顔を持つローマ神話の神、ヤヌスの像。門や扉に関係する神で、扉を開いたり閉じたりする。ヤヌスはアルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスの短編小説『死とコンパス』に出てくる「トリスト・ル・ロワ」 という場所の庭に登場する。1990年、私はこの物語を映画化するために脚本を書いた、というエリセ監督のインタビュー記事を読んだ。
ヤヌス Janusは、ローマ神話の出入り口と扉の守護神。前と後ろに反対向きの2つの顔を持つのが特徴の双面神。1月を司る神である。入り口の神でもあるため、物事の始まりの神でもあった。1月の守護神であるのは、1月が年の始まりであったためである。他の著名な神と異なりギリシア神話にはヤヌスに相当する神はいない。英語で1月をいうJanuaryの語源でもある。(Wikipedia)
監督:ビクトル・エリセ
キャスト
ミゲル・ガライ:マノロ・ソロ
フリオ・アレナス:ホセ・コロナド
アナ・アレナス:アナ・トレント
マックス・ロカ:マリオ・パルド
マルタ・ソリアーノ:エレナ・ミケル
ティコ・マジョラル:アントニオ・デチェント
ロラ・サン・ロマン:ソレダ・ビジャミル
ベレン・グラナドス:マリア・レオン
シスター:ペトラ・マルティネス
ドクター:フアン・マルガージョ
ミスターレヴィ:ホセ・マリア・ポウ
リン・ユー:カオ・チェンミン
チャオ・シュー:ベネシア・フランスコ