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~たのしいケンチクをめざして~

屋根を重ねること、柱を傾けること(タイ)

2011-07-06 17:44:55 | 旅行
タイを歩いていると、よく寺院などで屋根を重ねたようなデザインを見る。それは、おそらくタイの伝統建築から由来した屋根の形状であるだろうが、タイの人達が昔から知覚していると思われる"屋根を重ねる"というキーワードに関して現代でも優れた知恵として生かされているように感じたことがあった。ここで二つの例をあげる。




タイの寺院の屋根




BTSと道路を繋ぐ階段の屋根は重なるようにデザインされている



①ショップハウス間の通路に屋根を設ける(ショップハウスの屋根と重ねて設置する)ことで半屋外的な屋台として機能するスペースが確保されている。この屋根はトタン板を使用し、数年間は使用する屋台としている。







②細い路地に面する住宅地で、住居の延長として路地に屋根を架け、そのスペースで話をしたり、椅子などに座りくつろいでいる風景をよく見かける。屋根はこの時期の強烈な太陽や激しいスコールの雨を簡易的に遮り、路地を通る涼しい風をさらりと流す。確かにそこは涼しく快適で、道行く人とのコミュニティスペースともなっていた。







また、タイシルクを世界的に広めた実業家のジムトンプソンの家では6棟ものタイの伝統建築が残されている。その建物はアユタヤなどから現在のバンコクへ移築され、建物の年齢は200年以上前のものもあるという。この建物は、タイの伝統建築として高床や急勾配な屋根といった特徴をもっているが、最大の特徴は壁の傾きにある。強度を増すために建物の壁は垂直に建てられているのではなく、わずかに内側に傾けてあるのだ。同じ敷地内の最近の建物は、それを受け継ぎ今度は柱が内側に傾けられている。どのくらい強度が増すかは分からないが、四角形よりも三角形に近い(台形)ほうが安定した形であることはわかる。建物自体の鉛直荷重や地震などによる水平荷重に対しても、いくらかの強度を発揮すると思われ、伝統的な住まいの知恵がここに生かされていた。




写真では分かりにくいが、四本の柱は僅かに内側に傾いている




BTSのプラットホームの屋根、柱は傾いている





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