2023年度の一般会計、後期医療・介護保険・下水道会計の決算に対して、9月27日の9月議会最終日の本会議で私が行った反対討論(要旨)は次のとおりです。
なお国民健康保険会計の決算には、22年度から未就学児の国保税均等割が2分の1軽減されたことから賛成しました。
政府の無責任
2023年度は5年間で43兆円という大軍拡を政府が進める初年度であり、そのために、憲法と平和、暮らしが破壊された年でもありました。5月8日から新型コロナが「5類感染症」となりましたが、コロナの脅威が消え去ったわけでも、感染拡大が収束したわけでもありませんでした。
物価高対策でも、国民が切実に求める水準には届きませんでした。そればかりか、昨年は10月からは、消費税の免税点1,000万円以下の売り上げであった業者に増税を強いるインボイスを強行し、コロナや物価高もあわせて、多くの国民に打撃をもたらした年でした。
政府が国民の願いに背を向け続けたもとで、太田市として、市民の命と暮らしを守るための対策が切実に求められていたのが2023年度でした。
物価高とコロナ、岸田政権の大軍拡・大増税から暮らしと営業、農業を守る市政への転換を
82.5億円の新体育館、31億円超の新田の複合施設をつくりながら、暮らしと営業を守る予算がないとは言えない
財調は合併した18年前の2.65倍 130億円
子育て支援は全国に先駆けて大きな前進
太田市の決つき算ですが、一般会計では、まず、子育て支援を全国に先駆けて大きく前進させ続け、18歳までの医療費無料化や学校給食の1人目からの完全無料化に踏み出し、幼稚園、保育園でも、小学校の給食費を上限にした給食費補助を実施していることは、大きな前進と言えます。
23年度も、22年度から始めた、他市町村にはない、市民税均等割課税世帯までを対象とした、18歳未満の1人目に4万円、2人目以降に1万円こそなくしましたが、中学校卒業前の8万円支給は24年度まで継続され、来年度、25年度以降も継続の意向を市長が示していることも大いに評価するものです。
補聴器補助を継続
非正規職員は2年間で2割の賃上げ
24年度からボーナスも正規と同じ年4.5月に
さらに23年度は、22年10月から始まった高齢者への補聴器購入補助を継続し、非正規職員である会計年度任用職員は、全員がパートタイムとされるものの、時給を二度に渡って大幅に引き上げて、平均で、時給を2割以上引き上げたうえで、24年度からはボーナスも正規職員と同じ年4.5月に引き上げたことに、多くの会計年度任用職員から感謝の声が上がっていることを申し上げるものです。
この地域の民間賃金の引き上げにも波及したと考えられますが、今後は、国家資格を持つ司書の時給の引き上げにも踏み出すことを求めるものです。
残業時間ワースト1位は年444時間
有給休暇ワースト1位は年5.1日
しかし職員人件費全体では、この間、残業時間と有休との関係を質問し、残業を減らして有休もきっちり取れるように職員を増やすよう求めてきたことから、改めて指摘したいと思います。
この間の質問に対する答弁は、その都度、業務の効率化を図り、残業を減らすというものでしたが、現実を度外視して残業削減のための目標を立てるのではないかという危惧を持っていました。
現在の残業削減の目標は、2020年4月の目標で、2024年度までに、18年度の1人あたりの平均残業時間を10%削減するというものです。そして23年度からは、担当課ごとにそれぞれ残業削減目標を設定させ、人事課に報告させることになっています。
23年度の残業時間数ワースト5位までの課は、1位が財政課、2位が管財課、3位が観光交流課、4位が障がい福祉課、5位が市民税課です。
そして、残業時間ワースト1位の財政課で最も残業が多かった職員の残業時間は年444時間、12カ月で割ると、月37時間です。
有給休暇の取得ワースト5位までの課は、1位が救急課、2位がある学校A、3位がある学校B、4位がスポーツ振興課、5位が情報管理課となっています。
そして有給休暇取得ワースト1位の救急課で最も有給休暇の取得が少なかった職員の有給取得は年5.9日。ワースト5位の情報管理課で最も有給休暇の取得が少なかった職員の有給取得は年5.1日です。
これらから分かるのは、残業時間が過労死ラインとされる月60時間より少なくても、有給休暇の取得があまりにも少なすぎるということです。
そして23年度から、残業時間の削減目標を担当課ごとに立てさせて、その削減目標を人事課に報告させるよう義務付けたことで、目標達成が課長や部長の人事評価につながることから、サービス残業を誘発しているのではないかという疑念がわいてくることも、改めて指摘しなければなりません。そして、残業削減目標は立てるべきではないこと、サービス残業はいっさいない、削減目標によって誘発していないと断言できるようにしなければならないこともあわせて強調するものです。
市民要求との関係でも、多くの市民が求めてやまない物価高・コロナ対策は、まだまだ足りないというのが率直な実感です。
公共交通では、24年度からは、おうかがい市バスの利用対象を拡大して、70歳以上であれば、運転免許やクルマの保有、介護度に関係なく利用できるようになりましたが、23年度は、運転免許やクルマをもつ人、介護1以上の人は対象外でした。
おうかがい市バスの台数も24年8月1日からは8台、8月21日からは9台となりましたが、23年度は1台増やしたとはいっても7台でした。
おうかがい市バスは、充実して便利にすればするほど、予約が増えて予約が取れない人が増えるという宿命を負っているものです。24年度からは「お買い物クラブ」も始まりましたが、利用要件からと考えられますが、利用がゼロという地区もあります。
そして、おうかがい市バスや「お買い物クラブ」をこれ以上、便利に充実すれば、民業圧迫ともなりかねません。
こうした問題を解決するには、やはり、クルマに乗れない高齢者へのタクシー券が必要になることを強調するものです。
サンダーズの本拠地に82.5億円
新田の複合施設に31億円
大雄建設の物産館の購入に2.1億円
道路や側溝・排水整備まで含めた市民要求の実現を前進させるためには、財源との関係からも、サンダーズの本拠地となる82.5億円の新体育館の建設、この9月補正で31億円を超えることになった新田の複合施設の建設、23年度の2.1億円での大雄建設の物産館の購入、そして24年度の多文化共生センターへの衣替えに言及しないわけにはいきません。
こうしたハコモノに多額の税金を注ぎ込みながら、物価高とコロナから暮らしと農業、営業を守る予算、道路・排水整備のための予算がないとはいえないはずです。
しかも太田市には、何にでも使える貯金、財政調整基金が18年前に合併した時の2.65倍、130億円まで増えています。
今後の太田市には、貯まり続けてきた市の貯金、130億円の財調基金を市民のために還元することが切実に求められることを強く指摘するものです。
後期高齢者医療会計
後期高齢者医療特別会計では、保険料が2013年度に値上げされたまま継続され、18年度の均等割軽減の段階的縮小が20年度にさらに進んだまま、負担増が継続されたことを指摘するものです。
介護保険会計
介護保険特別会計では、介護保険料を2015年度以降、3年ごとに値上げを繰り返し、基金は23年度末で9億円と、15年度の保険料値上げの前年、14年度末より3.8億円増えたことを指摘し、この介護保険の基金と130億円の財調基金を使えば、介護保険料も引き下げが可能であることを指摘するものです。
下水道事業等会計
下水道事業等会計では、24年度からの下水道料金値上げの準備をしたことを指摘するものです。
以上、2023年度決算における、一般会計、後期高齢者医療会計、介護保険会計、下水道事業等会計の各決算における主要な問題点を指摘して反対討論を終わります。
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