Luck Key 7🗝

明るくなれるように
誰かのために
自分のために
Essay

四角い穴の埋め方

2022-01-17 19:47:00 | 日記



四角い穴にゆっくりと色が塗られていく。
私は、パソコンにファイルをダウンロードするのを待つ時間が苦手だ。
時々これはアハ体験かっ!とツッコミを入れたくなる。
私は即効性を求めてしまう。

腕立て伏せをしたら1週間後には腕が細くなっていてほしいし、
新しく買った化粧水は、次の日には肌が綺麗になっているか気になるし、
朝急いでいるときは、せっかくの熱々の紅茶に氷を2つ入れて飲む。

そんなせっかちな私にピッタリなものが、世の中にも溢れている。

3分で出来上がるカップラーメン
好きな時好きな音楽がいつでも聞ける、タブレット一つで好きな映画が見放題のサブスク
パソコンと違ってボタン一つで立ち上がるタブレット

私が10代のときに比べると、生活までも変えるほどの便利さ。
この週末もサブスクで映画を見て、音楽を聞き、タブレットでこの文章も書いている。

というのも、ここ数日どこから湧いてくるか分からない孤独に襲われる時がある。
夜布団に入ったときや、お風呂のとき、家までの帰り道など、
一人になった時に、世界から孤立させられたような
そんな孤独

この心にぽっかりと空いたような穴を埋めようと
映画を見た。
音楽を聞いた。
お菓子を食べた。
その時は孤独を忘れられる。
映画に夢中になれるし、お音楽を聞くと頑張ろうとその時は思う。
だけど埋まらない。
何かが埋まらないのだ。

やっぱり早く築いたものは脆い
即効性はあっても持続性がないのでだ。

3分のカップラーメンも美味しいけれど、やっぱり時間をかけて作られた煮物の美味しさには勝てないし、
映画はお金をしっかりと払い、大きなスクリーンと音で見る映画館の方が感動する。
タブレットも便利だけど、USBが挿せてコマンドプロンプトもできるパソコンのスペックには敵わない。

だからこの孤独の穴も、
パソコンのダウンロードみたいに、
時間を掛ければゆっくり埋まって行くのだろうか。
ゆっくり埋めれば、少なくともこの意味なく生まれる孤独を感じなくなるだろうか。

現代に生きているから、どうしても即効性を求めてしまうけれど、
少しスピードを落として、手間を掛けて、
私の中の四角に色を塗っていこう。
まだまだおばあちゃんになるには時間がある。


カーテンコール

2022-01-16 14:34:00 | 日記





カーテンの隙間から光が差し込む。
太陽の光が私を起こす。

朝、メイクをしながら姉に、今日行く観劇について質問ぜめにされた。
その時は、小ホールで、無料で、とか答えたけど、
私も正直分からなかった。

演劇祭なんて初めてだ。
しかも劇場ではなく、ホールである。
今まで学生演劇も、下北沢の小劇場も、劇団四季も、東京芸術劇場も見たことがあったけれど、
ホールでやる、社会人劇団を観劇するのは初だった。

初めての分野へのワクワクと
久しぶりに友達に会えるワクワク
初めてみる友達の演劇にどきどき

見終わった後、私はどんな気持ちだろう
舞台という熱いものの高揚感でいっぱいだろうか
元気がもらえるだろうか
それとも私はあんなに頑張っていない、私もやってみたかったという後悔で落ち込むだろうか。

久しぶりに会った友達は、綺麗になっていた。
一緒に友達の観劇をする友達にも、久しく会っていなかっため、
私に会うなり抱きついて来てくれた。
久しぶりの友達の優しさに、とても嬉しい気持ちでいっぱいになった。

家族以外の人と触れたのはいつぶりだろう。
人と近い距離になること、
人と直接会うことの大切さを実感した。

小ホールの入り口まで来ると、
大きな声で、滑舌のいいスタッフが案内してくれた。
そうだ。この感じ。
演劇する人の声が懐かしく思えた。

席はひと席ずつ空いていて、少し安心した。
それでもほぼ満席で、劇団の人気が伝わってくる。
前の方の席が運良くまだ空いていて、通路側に座っている人に「すみません」と言いながら席についた。

お偉い方の挨拶が終わると、いよいよ段幕が上がった。
役者が舞台の中心に立っている。
この役者はいつから舞台に立って待っていたのだろう。
バミリは貼ってあるか…
などと考えていたら、ストーリーに置いていかれそうになった。
テンポよく進むコメディ。
段々舞台の作りよりもストーリーに引き込まれていく。

友達は物語が1/3ほど進んだところで舞台に現れた。
友達の大きな声が舞台に響く。
私のよく知っていた友達は、私の知らない人たちに混ざり、体全体を使って演技をしている。
ああ、もう私の知らないところで、ここで、友達は頑張っているのか。
でも、役の中でも隙間から少し感じるいつもの友達の雰囲気に、少し安心している自分がいるのに気づいた。
まだ大丈夫。まだ人生置いていかれていない。
そう自分に言い聞かせるように、心の中で何回も唱えていた。

お話はコメディだけど、日々現実を生きる人々に訴えかけるメッセージ性もある舞台だった。
ストーリーが終わると、舞台に役者が全員出てきた。
カーテンコールだ。
役から解放された役者さんたちの笑顔。
まるでカーテンの隙間から差す太陽の光みたいだ。
ああ、この笑顔を見るのが私好きなんだったと思い出させてくれた。
友達の瞳もキラキラ光っていた。

観劇前に想像していた感情は、どれも外れていたけれど、
久しぶりの友達、舞台の演者の笑顔が、
しばらく自粛生活で家にこもっていた私を、太陽の光のように起こしてくれた一日だった。

小さなコーヒーカップ

2022-01-15 20:59:00 | 日記


よく行く定食屋さんの食後のコーヒー。
カップが小さくなった。

普通のコーヒーカップから、エスプレッソのカップになった。

だけどかわいい。
お洒落なカップ。
だからなのか、気持ち美味しく感じる。

コーヒーカップって、雰囲気を変えるだけじゃなく、美味しさも変えるのかと小さな発見。


私は小さい頃から、
周りの人に良く思われたいと思っていた。
他の人より上位にいたいと思ったし、いなかったとしてもいると思われたかった。
周りが思うようなイメージの人でいたくないと思っていた。

正直、今でもそう思っている。
だけど人生そう上手くいかない。
あまりにも不器用すぎる。

良く思われたいと思うほど、行動は空回り、
的外れな回答をしたり、
上手く反応、受け答えできなかったり、
自信がなくなって声がどんどん小さくなっていく。

成功者でもなければ、
それと言って得意なこともなく、
容姿が綺麗だったり、可愛いわけでもない、
ただの凡人である。

周りから言われる私のイメージは大抵当たっていて、
大抵マイナスな感じだ。

それでも、ちょっとしたことに、些細なことに、
幸せを感じられたら、
それだけでも十分なのかなあ。

とりあえず今は、この小さなコーヒーに幸せを感じられる。

とりあえず今は、あの人の笑顔を見るだけで
幸せを感じられる。