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Vorrei essere vicino a te

2009-05-30 | FanFiction(ハンチョル)
長いこと留守にしたせいか、あれだけ身体に馴染んでいたこのベッドのスプリングの返し具合が、なんだかホテルのベッドに寝てるようなくらいにまだ軽い違和感を覚えていた。

疲れた体をこのベッドに投じても、寝付くまでの間多少の時間を費やさなければならない。

そこで俺は眠りの天使が訪れるまで、こうやってベッドの上でPSPをを楽しんでいる。

外はバケツをひっくり返したような強い雨が降っている。

どこまでも続きそうな真っ暗な空間に、PSPから発光する明りだけが、暗く寂しい空間にほんのりとした温かみを与えていた。


「韩庚…寒くて眠れないんだ」

暗闇から聞こえる希の声に俺はハッとして、顔を上げた。

寒い…

そう。

3月も終わりが近づくというのに、この国にはなかなか春の女神が微笑むことをしない。

今夜は雨も降っていて、いささかいつもより更に寒さが増している気がするのは事実だ。

「うん…じゃあ眠くなるまでちょっと話そうか」

そう俺が言うや否や、希がベッドに身体を滑り込ませてきた。

「うわっ、冷たっ」

希の身体は氷のごとく冷え切ってがたがたと小刻みに震えている。

「韩庚、あったかいな」

俺の体に脚を絡ませ、上目使いで幸せそうに微笑む希。

トクン

俺の心臓がそれまでにない大きな波を打った。




3集活動が始まって以来、俺の心は休まることを忘れてしまったようだ。

韩庚の行動一つで、どこまでも澄み渡る青空に浮かぶ雲のように柔らかな気持ちになったかと思うと、突然黒い絵の具で塗り込まれたようなドス黒い雲にすり替わり、俺の心の裏側に居る悪魔が顔を覗かせる。

縛られるのが嫌なくせに…

韩庚に執着している自分とのギャップにもう限界が来ていた。

ベッドに入っても頭の中がグルグルして寝付けやしない。


気がつけば韩庚の部屋の前に立っていた。

こんな気持ちになるまでは、軽くそのドアノブを捻っていたのに…

10分…

20分…

完全に冷え上がった身体に限界がきたとこで、俺は大きく深呼吸してその空間に押し入った。

突然の侵入者に驚いていた韩庚だけど、いつものように温かく俺を迎え入れてくれる。

韩庚の身体の温かさ、そして大好きな匂いに覆われた俺は、あんなに眠れずにいたのがウソのように、眠りに堕ちていった。




希がこうやって隣でスヤスヤと優しい寝息を立てながら眠るようになって、もう何日になるんだろ…

昨日希が俺の右頬に突然唇を当てたかと思うと、

「おやすみのKISS♪」

なんて、突然のことできょとんとした俺の顔を見ながら悪戯っぽく微笑んだ。

俺はそんな希のジョークにも笑って応えられないほど、俺の中の希の存在が大きさを増していた。

どうにかしたい…

わけじゃない。

ただ、このまま一緒に居ると自分のことをコントロールできないような気がして怖いんだ。

現に今も、希の柔らかな唇にそっと指を押し当て、その指先から伝わる希の体温を感じている。

それだけで幸せなのに…

俺はこの先こんなことくらいで満足できないまでに陥ってしまいそうなんだ。

そんな俺の心も知らずに希は今日も俺の隣りで体を休めている。




あっ

韩庚の指が俺の唇に触れた時、思わず声を上げそうになった。

何してる?

指で触れてもしょうがないだろっ

こんなに無防備に自分をさらけ出してるっていうのに、なんで韩庚は俺を求めてこないんだ?

そんな勝手なことを考えながらも、俺の神経細胞は、韩庚の指の感触を覚えようと、韩庚と触れ合っているその部分に一斉に向かうほど繊細だった。

唇から身体全体を目まぐるしく熱い動脈が波を打つ。

このままこの指を甘噛みしたら韩庚はどうするんだろ…

きっと…

いや…

その答えが出せるほど、今の俺には到底そんな自信がなかった。




明日旅立つために、俺はいつも荷物多すぎだよって笑われるくらいのモノをキーポルに詰め込んでいく。

コレがきっかけになるのかな。

たぶん俺が帰ってきても、希はもうココには来ない気がしている。

今夜一晩俺の理性が利くうちに、こんな不安定な関係は終局を迎えた方がいい。

そう、自分に言い聞かせていた。

カーテンから漏れる月明かりが今日はやけに冷たく感じている。

あたかもこんな俺の事をせせら笑うように…


「韩庚、また明日行くのか?」

「ああ…でも俺が居なくてももう寒くないだろっ」

「… … …」

自分に言い聞かせるように放った言葉に希の返事が無く、まるで真空の中に取り残されたような気になった。

「まだ眠らないのか?」

「ん?PSPの明りが眩しいって言いたいとこ?」

「そうじゃない…韩庚、じゃあおやすみの…」

といつものように希は俺に顔を近づけると、そのふっくらとした唇を俺の唇に乗せてきた。

突然のkissに動揺した俺は、希の体を押しのけるようにそのか細い肩を掴んだ。

「…んっ、ヤメロ…って…」

見た目はそこら辺の女の子よりずっと愛らしいくせに、手加減してたらビクともしない。

「希、ヤメロっ」

無理やり自分から希を剥がすと、俺は希の行動を非難するようにその瞳をにらみつけた。

「韩庚…俺を否定するなよ…」

今にも泣きだしそうな希をどうやったら突き放せるっていうんだ?

俺は壊れてしまうんじゃないかってほど、希をぎゅっと抱きしめた。

「否定なんかしない…ただ…俺は自分をもうコントロールできないんだ」

「なんで自制しなくちゃならないんだ?」

「俺はお前を縛り付ける…そうなりたくないんだ」

「縛り付けたっていい。むしろ…俺がすり抜けられないように雁字搦めに束縛しろよっ」

さざ波がやがて何もかも飲み込むほどの荒れ狂う波となり、俺の気持ちを乱していく。

「希…」

俺は希から体を離すと、その柔らかな唇にそっと接吻(くちづけ)し、やがてそれは舌を絡めるほどの濃厚なものへと発展していった。

ああ…

どうして俺はこんな確かなものを今まで確認しようとしなかったんだ。

俺は希の首筋から肩にかけて舌を滑らせると、静まり返った部屋に希の甘い吐息だけが聞こえる。

その声に導かれるように希のTシャツを捲り上げ、俺はゆっくりと手を忍び込ませた。

滑らかな肌を軽くこの手で味わうと、徐々に硬くなった果実を摘まんでみる。

「んっ」

声を上げないように必死に堪えている希が、カーテンの隙間から洩れる月明かりに映し出されると、抑えの利かない感情が俺の中で弾け、それはもう誰にも止められないものになっていった。

「希…希、声を聞かせて」

俺がそう耳元で囁くとそれまで聞いたことのない美しい声で希は啼いた。

俺はすばやく右手を希の太腿から這うように中に潜らすとカレを捉え、ゆっくりと摩擦した。

「韩庚…ひとつに…ひとつになりたいっ」

繋がった二つの身体…

もう離れることのない二つの感情…

「韩庚っ」

力の抜けた希の右手が、俺のベッドから死んだようにダラリと滑り落ちていった。


AX








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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown ()
2009-06-08 00:45:54
新いフィクションだ!!!
新しいフィクション出てきてから、私の出番じゃ~~~

ほほほほ~~訳させていただきます!!
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いつもありがとうW (芹香)
2009-06-08 01:49:21
猪ちゃん、また書いてみたよ。
どうかなぁ?楽しめるかなぁ?
よかったら、猪ちゃんの感想を聞かせてね。

いつも訳してくれて本当にありがとう。
大変だと思うけど。。。よろしくお願いします。
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Unknown ()
2009-06-15 03:12:00
これは、芹ちゃんのHデビュー?
よかったよ~~すくなくとも、私が好きだった。

相変わらず、柔らかで穏やかな感じしてたんだ。

お互いに好きだっといてなかったが、その好きっての気持ちはいっぱい伝えてきたよ~~

改めて、皆さんの感想も報告するわ~~
頑張ってください~~~
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うん。頑張るぅ (芹香)
2009-06-16 00:40:18
猪ちゃん、感想をありがとうw
あはは、そうだね。芹香のH文デビューだね。
初めてだから緊張したけど、猪ちゃんが好きって言ってくれたから、嬉しいよw
続きじゃないけど、また新しいFFを書いたよ。
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新しいのはどこ? ()
2009-06-16 00:59:08
実はね、芹ちゃんはFFで天道に知れ渡っていたわけじゃないんだ。だって、芹ちゃんの庚希関係の情報はあまりにも面白いし、更新早かったもの~~だから、皆さんは芹ちゃんというと、このBlogのほうは印象的だった。

しかし、今度のH文は本当に皆の視線を捕まったよ~~「え~~芹ちゃんはこんなのもできるのだ」とか、「意外と文章力も上手だね」とか、「そんなに魅力ありの外国庚希FFは初めて読んだ」とか、いろいろあったんだ。

Hとは言え、なんか下品な感じは全然無く、H嫌い人も好きになれそうな文章だと言う人もいた。

「続きじゃないけど、また新しいFFを書いた」っていうことは…私の仕事はもう出た?どこ?ね、どこ?…ちょうだい~~~

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「届かない想い」だよ (芹香)
2009-06-16 01:28:08
猪ちゃん、早速みんなの感想をありがとうw
天道さんではブログをいっぱい訳してもらってるからね。みんなそれを読んでくれているんだね。
でも、ちょっと安心した。気に入ってくれた人もいるんだってわかったから。
猪ちゃんのおかげだよw文章とかは、訳してくれた人の影響が強いから~。
あ~次のFFはね。。。ちょっとH過ぎるかも^^;
元々「庚明頂」ってサイトにupするために書いたFFだから、CPも希京なの^^;中文に友達が訳してくれてるから読んでみてね。
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