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ハンギョンとヒチョルを応援します!

アイツとの距離 -前編-

2009-09-05 | FanFiction(ハンチョル)
ピーーーーーーーッ

終了のホイッスルが鳴った。

ジリジリと照りつける太陽。

茹だるような暑さの中、1時間近くも走り続けた俺たちは、先生への敬礼もそこそこに一斉に水飲み場へと走った。

「あー、生き返ったっ」

「まぢ後5分で死んだっつーの」

「真夏にサッカーなんてありえなくね?」

生ぬるい水道水で息を吹き返したヤツらが口々に不満を漏らす。

いくらカリキュラムにあるとはいえ、“変更”とかできたはずだよなぁ…

どこまでも続く青い空。

雲ひとつないこの空がなんだか恨めしい。


バサッ

ぼぉっとしたまま突っ立ってた俺の頭にタオルが投げられた。

「教室戻るぞ」

「ああ」

俺の半歩前を歩いているこの美少年。

エスカレーター式のこの学校で何の腐れ縁か、もう4年も同じクラスでいる。

「はぁ…この階段昇るのもかったるい…ヒチョル、後ろから押してくれっ」

「やなこった。授業をまともに受けるお前がバカだっての。俺と一緒にテントの下で休んでりゃイイものを…」

「あのね…キム・ヒチョルくん。授業をサボるのはイケナイことだって習わなかった?」

「はい、はい。優等生のハンギョンくん。そんなこと言う元気があるんだから、地味ぃ~に一人で昇ってくるんだね。俺付き合いきれないから先行くわ」

「待てよっ」

階段を駆け上がるヒチョルの腕を俺は慌てて捕まえた。

うわっ

と思った瞬間にはもう遅かった。

突然腕を引っ張られた形になったヒチョルはバランスを崩して、俺の方向に落っこってくる…

そして…当然俺も…

バタンっ

うげっ

階段の下でヒチョルに乗っかるような形で着地した瞬間、ヒチョルの頬に唇が触れた。

「うわわぁっ」

俺は慌ててヒチョルの上から飛び退いた。

ゴシゴシゴシゴシ…

右手の甲で唇をひたすら拭う。

「お前さ…命の恩人を助けもせずに何やってるわけ?」

起き上がることも無くそのままの状態のヒチョルの目線が冷たい。

「ごめっ…大丈夫か?」

「大丈夫なわけないだろっ。お前のデカイ体を全身で支えたんだからなっ。あ~ 痛ってぇ…ヤベ、まぢ折れたわ、コレ」

「………」

大げさなヒチョルの態度に頭にキタ俺は、寝転がってるヒチョルの体を救い上げるように両腕で抱き上げると、そのまま保健室へ続く廊下を歩いて行った。

「ハンギョン、下ろせよっ」

ジタバタするヒチョルを無視して俺は黙々と歩き続けた。


「先生~ 転んで骨折したみたいです。よぉく見てもらえませんか?」

「あらぁ~ どこかの国の王子様とお姫様みたいね。えっと、お姫様の骨が折れたってことね」

先生、俺ラノ病気診ル前ニアナタノ頭調ベタ方ガイイデスヨ。

このお姫様抱っこみたいなのがイケナイんだな…

クッションの思いっきり悪そうな保健室のベッドにドサっとヒチョルを下ろすと、なるべく関わり合いを持たないように俺はベッドから遠く離れた椅子に腰かけた。

昔っから気分次第で授業をサボるヒチョルとココ(保健室)の先生は仲良しらしい。

俺は…

っていうと、なんだかいっつもヒチョルを迎えに来る度にクスクスと笑われてるような気がして、どうも苦手だ。

まーた二人でコソコソと話してるし…はぁ。

「ハンギョンく~ん」

はい、はい。お呼びでしょうか。

俺はわざとゆっくり立ち上がり二人の居る方へと近づいて行った。

「骨折じゃないんだけど…ちょっと足首を捻ってるみたいだから、今日はヒチョルくんを送って行ってあげるように。わかった?」

言われずとも送るつもりだったけど、敢えてそう言われるとちょっと何か言いたくなる。

「あー、俺。今日は生徒会の仕事があるんですよね…かな~り遅くなるなぁ…」

「なぁに、この緊急事態にそんなコト言ってるの!顧問の先生には私から伝えとくから、ホームルームが終わったらサッサと送って行きなさい!!」

ヒチョルと二人、投げ出されるように保健室を出た。

「…ハンギョン…」

「何?」

「…送んなくていいからさ。生徒会に行けよ」

「バーカっ。さっきの話し気にすんなよ。今日はただ資料を閉じるだけだから、他のヤツに俺の分までやってもらえるように頼むからさ」

そう言うとヒチョルの顔にいつもの笑顔が戻った。

口ではいつも強いこと言うくせに、人一倍気を使ってるんだよな…コイツ。


AX

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