375's ROAD TO BOSTON/ゴールは虹の彼方に

米国在住ランナーの究極目標「ボストンマラソン」とアメリカ50州制覇を目指す人生の旅日記。

【大会レポート】2014年ヒューストンマラソン (2014 Chevron Houston Marathon)

2014年01月26日 | 大会レポート 2014



1月19日(日曜日)、テキサス州ヒューストンで開催されたヒューストンマラソンに参加。

2014年最初のレース。アメリカ国内では「ワールドメジャー」のボストン、シカゴ、ニューヨークに次ぐ「ナショナルメジャー」の筆頭格に位置する人気大会で、参加希望者が多く、数年前から抽選エントリーが採用されている。ただし抽選エントリーが始まる前に先行エントリー期間があり、資格タイムを満たしていれば優先的に出場できるので、今回はその方法でエントリー枠を確保。北米最速の冬マラソンと言われるほどのフラットコースでもあり、当然ながら好タイムを狙って、万全の準備を経て本番を迎えるはずだった。

ところが本番2週間前になって思わぬアクシデント。ただでさえ冬の悪天候で思うように練習ができないのに加えて、氷雨の歩道でスリップして転倒。その後遺症もあって、ベストには程遠いコンディションになってしまった。日常のジョグなら問題ない程度には回復してきたが、フルの距離ではどうなるかわからない不安が残り、今回ばかりは祈るような気持ちでスタートラインに立ったのである。

レース当日は幸いにして、気温は10~15℃程度、無風・快晴の願ってもないコンディション。高い費用をかけて走る以上、それなりの結果も出したかったので、目標はあくまでBQ確保に置き、それをモチベーションにして乗り越えていこうと心に決めた。

Mile 01: 8分41秒(08分41秒)
Mile 02: 8分28秒(17分09秒)
Mile 03: 8分30秒(25分39秒)
Mile 04: 8分17秒(33分56秒)
Mile 05: 8分17秒(42分13秒)
Mile 06: 8分24秒(50分37秒)

スタートは朝7時。まだ夜明けの光も届かぬ中、地元の大リーグ球団ヒューストン・アストロズの本拠地ミニッツメイド・パーク近くの路上からスタート。2マイル過ぎまでワシントン・アヴェニューを西に向かい、そこから徐々にライス大学方面に南下していくという序盤戦のコース。

最初の3マイルは様子見で8分41秒、8分28秒、8分30秒と遅めのペース。これだけゆっくりなのに今一つ余裕がない。もがき苦しんでやっと前に進んでいる感じで、マイルマーカーが見えてくるタイミングも体感より遅く感じる(前回のサヴァンナマラソンでは、これより速いペースでずっと余裕があった)。それでも辛抱して走っているうちに4~5マイルではやや体が慣れてきたようで、8分20秒を切るペースとなるが、それも長続きせず、6マイル目は疲れを感じてスローダウン。どうも体の切れがないし、心肺も苦しく感じる。このまま最後まで走りきれるだろうか、と不安な気持ちにもなる。

この6マイル目からは、3時間40分の女性ペーサー、ドッティ率いる集団に加わる。一人で走っていると際限なく落ちていきそうだったので、ペーサーの存在はありがたい。大柄なドッティのダイナミックなフォームを観察しながら、しばらく様子を見ることにした。

Mile 07: 8分15秒(58分52秒)
Mile 08: 8分09秒(1時間07分02秒)
Mile 09: 8分18秒(1時間15分20秒)
Mile 10: 8分18秒(1時間23分38秒)
Mile 11: 8分30秒(1時間32分08秒)
Mile 12: 8分10秒(1時間40分18秒)
Mile 13: 8分18秒(1時間48分36秒)
中間地点通過: 1時間49分31秒

8マイルの手前で、それまで一緒に走っていたフルとハーフの走者が分かれる。この大会はフルのランナーが多いので、分かれた後もほとんど淋しさを感じることがない。9マイルまではライス大学の北側を通過。ここから西に向かうユニヴァーシティ通りも心地良い並木道が続く。

ドッティ率いる集団に加わってからは、ようやくペースも安定してきて、8分15秒前後のラップを刻めるようになった。一時的にドッティの集団から先行する形になり、10マイル過ぎで第1回目のジェルを補給する。今回の秘密兵器はアメリカで人気急上昇中のハニー・スティンガー。驚異の回復力を生み出すといわれるミツバチ・パワーが、果たして功を奏するか?

12マイル目はフラットなヒューストンのコースでは唯一の橋越え。上りの途中で再びドッティの集団が追いついてきて、ここからはずっと道中を共にする。ほどなく中間地点を通過。1時間49分31秒。このままイーヴンで行ったとしても3時間39分台。またしてもBQに届くかどうかというギリギリの闘いになってきた。

Mile 14: 8分16秒(1時間56分52秒)
Mile 15: 8分34秒(2時間05分26秒)
Mile 16: 8分26秒(2時間13分52秒)
Mile 17: 8分24秒(2時間22分16秒)
Mile 18: 8分31秒(2時間30分47秒)
Mile 19: 8分25秒(2時間39分12秒)
Mile 20: 8分06秒(2時間47分18秒)

中間地点を過ぎるとポストオーク・ドライブという通りを北上。14マイル付近でテキサス最大のショッピング・モールといわれるガレリアの東側を通過する。勾配はずっとフラットなのだが、このあたりから何となく路面が硬く感じられ、15マイル目で8分30秒台にペースダウン。周りの集団も一緒にペースダウンしているので、みんな苦しいのだろう。ここで第2回目のハニー・スティンガーを補給。とにかく、今のペースを守っていかないとBQは遠ざかってしまうので、できるだけ集団から離れないように集中する。

17マイルを過ぎると東のダウンタウン方面に帰還するメモリアル・ドライブに突入。18マイル、19マイルとギリギリの闘いが続く。そして20マイル目の下り勾配でペーサーのドッティが加速。集団は一瞬ばらばらになり、落伍者も続出するが、ここは勝負どころなので必死についていく。8分06秒。苦しい場面でこの挽回は大きい。BQに向けて首の皮一枚残った・・・そんな状況でいよいよ運命のラスト・クォーターに突入する。

Mile 21: 8分26秒(2時間55分44秒)
Mile 22: 8分31秒(3時間04分15秒)
Mile 23: 8分13秒(3時間12分28秒)
Mile 24: 8分17秒(3時間20分45秒)
Mile 25: 8分02秒(3時間28分47秒)
Mile 26: 8分17秒(3時間37分04秒)

20マイル過ぎで第3回目のハニー・スティンガーを補給。すべては「最後の4マイル」に向けての準備である。確実に体力レベルが一段階落ちる22マイル過ぎをどうしたら乗り越えることができるか。自分なりに対策は考えてきた。それがうまく行くかどうか、という実験結果を出す意味でも、今回のレースは重要な意味を持っている。

21マイル(8分26秒)、22マイル(8分31秒)。苦しいながらも、ここまではペーサーのドッティのすぐ後ろについて、どうにか3時間40分のペースを保ってきた。そしていよいよここからが勝負、という段階で思わぬアクシデント。なんと前を行くドッティが転倒!

一瞬「あっ!」と思ったが、こちらも助け起こす余裕がなく、後ろ髪を引かれながらもこのままのペースで先に進む。運命の23マイル目。前回のサヴァンナではここで大きくペースダウンしたが、今回は意地でも強行突破してやる!という思いで、決死のスパート。なんと8分13秒に持ち直す。24マイル目もこの勢いを維持して8分17秒。土壇場になって思わぬ快進撃が始まった。25マイル目はさらに加速して、先行するランナーを次々とぶっちぎっていく。なんと8分02秒の最速ラップ。火の鳥復活とまでは言えないまでも、それに近い「炎の光速ダッシュ」で、宇宙都市ヒューストンの大観衆の待つダウンタウン・エリアに突入していった。

そして最後の1マイル、沿道の大声援を受けながら高層ビル街の大通りを全力疾走! やがて26マイルの表示を過ぎ、左に折れると、遠くゴールゲイトの見えるディスカヴァリー・グリーン沿いの直線コース。スタンドにはアメリカ国旗とテキサス州の旗が揺れ、まるで起死回生の逆転打を放った大ヒーローを迎えるような割れんばかりの歓声の中、信じられないようなストロング・フィニッシュでゴールゲイトを駆け抜けた。

Finish Time 3時間38分42秒(8:21/mile) BQ -1:18

前半ハーフ 1時間49分31秒、後半ハーフ 1時間49分11秒。
-20秒差で自身4度目のネガティブ・スプリットを達成!

スタートから22マイルまで苦しい場面の連続だったが、最後の4マイルだけは、まるで別の魂が乗り移ったかのような驚異の復活劇だった(前回のサヴァンナとは完全な逆パターン)。

そしてゴール後、このレースで最大の殊勲者とも言うべきドッティを出迎える。彼女に引っ張ってもらわなければ、とてもここまでは走れなかった。転倒後は逆にペースを上げたようで、30秒とたたないうちにゴール。感謝とねぎらいの言葉とともに、お互いの健闘を讃え合った。別れ際に彼女は一言、「疲れたわぁ~」。普段のレースペースより遅いとはいえ、フルを走ることに変わりはないのだから、ペーサーも楽ではない。

ともあれ、これで米国23州目となるテキサス州を制覇。
BQ達成州としてはデラウェア州(リホボス・ビーチ)、メリーランド州(B&Aトレイル)、ウィスコンシン州(ミルウォーキー・レイクフロント)、サウスカロライナ州(キアワ・アイランド)、ジョージア州(ロックンロール・サヴァンナ)に続く6番目の州となった。

記録よりも、記憶に残るレースのひとつになるだろう。

■MEMO■
総合順位 1052位/7048人中
男女別順位 835位/4408人中
年代別順位 37位/356人中


★コンヴェンションセンターで行なわれたEXPO。ベンダーの出店も多く、まさにテキサス・サイズの規模だった。


★オフィシャル・スポンサー「スケッチャーズ」のコーナー。最近はおしゃれ靴ばかりでなく、マラソンウェアの開発にも力を入れている。


★地元ヒューストンで開催されるレース「リズム&ブルース・ハーフマラソン」のポスター。テキサス在住であれば参加してみたい大会だ。


★毎年1月1日にテキサス州キングウッドで開催される「テキサスマラソン」の巨大メダル。マニアックの人気度が高い。


★ペーサー・チームが写真付きで紹介されている。3:40の左側の女性ペーサー、ドッティが大きな役割りを果たした。


★「Go Houston!」の看板を掲げ、ゴールに向かうランナーを応援する人たち。


★ゴール後はコンヴェンション・センター内のフードコートで食事が出る。


★チャリティ・ヴィレッジ内のヒューストン・アストロズ投球練習場(?)の前で記念撮影。


★完走メダル、完走シャツ、完走ビールグラスの3点セット。

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