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ピタゴリアンの考察シリーズ

ピタゴリアンが真実を探す旅の中で見つけた真実を考察していきます。

エスキモーに氷を売る02

2024-01-22 00:46:48 | 日記

エスキモーに氷を売る02

アイデアの転換 

** その1 海苔から紙へ **

「シュレッダーバサミ」をご存知でしょうか?

 

その名の通り、シュレッダーの役割を果たすハサミですが、
普通のものと違い刃がたくさん付いていて、
一切で、紙を細かく刻んでくれます。

 

領収書や銀行の残高明細など、ちょっとした紙はこれで十分。

実はこのシュレッダーバサミ、
できた当初は「刻み海苔」を作るためのものでした。

なぜ紙用になったのか?

 

それは、
「うちはシュレッダーとして使ってるよ!」
というお客さまの一声があったからです。

 

海苔用として売っていた当初は、3万本程度の売り上げだったのが、
安くて早くて簡単なシュレッダーとして大ヒット!

なんとその後5年間で、100万本も売り上げたそうです。

 

ちょうど売り上げが停滞気味だった時に聞いた、お客様の声。
まさに、鶴の一声だったようです。

 

海苔も紙も簡単に切れる、使うと便利です。

** その2 建築現場から女の子へ **

 

「マスキングテープ」という名前を聞くと、
もしかすると男性と女性でイメージするものが異なるかもしれません。

 

女性が聞くと、カラフルでデザイン性のある
可愛いテープを思い浮かべるのではないでしょうか。

 

ノートの表紙を可愛くしたり、小物に貼ってカラフルにしたりと
何にでも使える素材として女性に大人気のマスキングテープ。

でも、元々このテープを作っている会社は、ハエ取り紙や、
建設現場などで使う無地のマスキングテープを作っていました。

 

ところがある日、この会社の工場に女性3人が訪ねてきます。

マスキングテープの大ファンだという彼女たちは、
ぜひ工場を見学したい!とやってきたのです。

 

工場を見学した後、
彼女たちから「オリジナルのテープがほしい!」という声が

あがりました。

 

しかし、元々テープは工業用のため、
“オリジナルテープを一つだけを作る”ということができません。
一度はオリジナルの製作は難しいと断念しかけました。

しかし「不可能に思えることにも“ノー”と言わない」
が信条の、この会社。

なんと、実際に制作することを決めてしまったのです!

それから約1年半の歳月をかけて、
この会社は彼女たち3人と共に、新たなテープを生み出しました。

 

それこそが今女性に大人気の、
あの可愛いマスキングテープなのです。

 

今や世界的に有名となったカラフルなマスキングテープも、
彼女たちの熱い要望がなければ、存在していなかったでしょう。

** その3 食器からプラモへ **

型落ちした「食器乾燥器」。
これが、意外な層にヒットしました。

 

主婦ではありません。
では一体誰に?

 

その答えは、
某・大型ネットショッピングサイトにありました。

「食器乾燥器なんて名称が付いていますが、何かの間違いのようです。」

「模型用の乾燥ブースとしてのシェアNo.1じゃないでしょうか」

こういったレビューからも分かるように、

「プラモデルが好きな人たち」
彼らが、この乾燥機の主な買い手です。

 

「大容量、タイマー付き、安価」という点が、
彼らがこの食器乾燥機を重宝する理由のようです。

 

最初に目をつけた方の着眼点が素晴らしいですが、
さすがに食器乾燥器を作った会社も、
プラモデルを乾かすために使われるとは思っていなかったでしょう。

 

お客さまの声を聞いて「売り方」を考える

以上は、いずれも商品本来の用途とは別のところに
意外な需要があったという例です。

 

商品を購入した後、
どのように使用するかはお客さまの自由。
思いも寄らない使われ方をしている商品は多いはずです。

 

だからこそ、お客さまの声を聞くことが重要なのです。

特に、まだ市場が小さかったり、あまり売れていない商品は、
一度お客様にフィードバックをもらうと良いと思います。

 

“良かった・悪かった”だけではなくて、
「どうやって使っているか、どんな風に良いか」
と詳しく聞いていくと、そこに新たな市場があるかもしれません。

 

シュレッダーばさみなどはまさにその例です。
違った用途向けにパッケージや商品名を変えて売り出したとたん、
瞬く間にヒット商品となりました。

 

「商品はまったく変わっていないにも関わらず」です。

お客さまの声を聞くだけでヒットするかもしれないとなれば、
やらない手はないでしょう。

 

つづく


エスキモーに氷を売る

2024-01-21 20:19:28 | 日記

エスキモーに氷を売る

 

かなり昔に少々話題になっていたこの本、エスキモーに氷を売る

(副題:魅力のない商品を、いかにセールスするか)

 ジョン・スポールストラ著。

刺激的なタイトルだなーと思って頭には残っていたのだが、この本を

読めば、エスキモーに氷を売ることも可能、と思わせるが、

実はエスキモーに氷を売る方法自体は出てこない。

 この本は、NBAの弱小チーム、ニュージャージー・ネッツの元社長で、

マーケティングコンサル会社を経営する筆者が、そのネッツを題材に、

ジャンプ・スタート・マーケティングという筆者独自の

マーケティング手法を解説したものだ。

 

(ちなみに筆者が冒頭で書いているように、筆者は

このジャンプ・スタート・マーケティングは

スポーツでなくても適用可能と考えている。)。

筆者の言うジャンプ・スタート・マーケティングは、

以下のようなものだ。そのまま羅列してみる。

1 自分が誰かを見誤るな
2 顧客の購入頻度を高めよ
3 自分の商品のエンドユーザーの名前と住所を入手せよ
4 新しい顧客の獲得には、トップが率先して取り組め
5 小さな実験をすることで、大きな変化をつくりだせ

6 いますぐ、革新的なマーケティングをせよ
7 自分のアイディアを上役に認めてもらうために万全の努力をせよ
8 「誠意ある販売」に努めよ
9 顧客がいるところへ行き、その場の雰囲気を「感じ」とれ
10 自社の商品に関心を持ってくれる人だけをターゲットにせよ

11 リサーチに決定権を与えるな
12 年次報告書をクライアントに提出せよ
13 社内のスーパースターがやる気をなくす要素を排除せよ
14 意図的に”よすぎる”条件をもちかけよ
15 バックルームをマーケティング・ツールとして活かせ

16 大口の顧客と小口の顧客を区別せよ
17 経営がきびしくなったら、セールススタッフ(変動費)を増やせ


ジャンプ・スタート・マーケティングによることで、日本語タイトル通り、

エスキモーに氷を売るような、厳しいセールス環境でも、

立派に売り上げを作ることができるとのこと。

 

読み取った、ジャンプ・スタート・マーケティングの重要な要素は、

 

・自分たちが何者であるかをしっかり把握する


・過去の購入顧客リスト等で、自社に興味のあるすべての人を

 リストアップする


・そのリストに対して特別なオファーなどを提供し、購買誘導する

 (筆者のいうところの”一つだけのセグメントに対してマーケティン  グする”)


・マーケティングのイノベーションに意識的に取り組む



リストの重要性と、そのリスト内のユーザーとのコミュニケーションの開発、

イノベーティブなマーケティング手法に取り組むことの重要性、が強く伝わってきた。


昨今、コンテンツマーケティングということが言われるが、やはり、顧客リストを作り、

それの中を分類し、自社に対して関心を持ってくれた人に対して適切にコンテンツを

提供してゆくことが大切だと再度感じた。


また、個人的には7の上役への説明時の準備の重要性という話も参考になった。
(電気イスを免れるために、最高裁判所へ向かうぐらいのつもりで準備せよ、とあって笑った。)


特に売れない商品のマーケティング担当になった時にどうやって

ゆくかを考える際に参考になる、結構いい本だと思う。


■一文ピックアップ

人々が商品を買わないのには理由がある。それは偶然に起こるわけではない。

ジャンプ・スタート・マーケティングというのは、誰も欲しがらない商品を

消費者に無理に押しつけることではない。それは、誰も欲しがらない商品を

とりあげて、その販売戦略を変え、作り直し、あるいは中身を入れ替えて、

お客が買わずにはいられないものにすることである。 p235

 




エスキモーに氷を売る目次

 

商品には、あってはまずいところに欠点があるもの

顧客一人ひとりに、もう少し買ってくれるように直接頼む

顧客が買おうと思い立つ少し前に、アプローチする

少額だが、非常に目につくお金をクレージーなアイデアに使う

 

ミスにボーナスを出す

 

自社の商品が、われわれを救うことはない

 

「テロリスト・グループ」をつくり、状況を変える

 

顧客が買いたがる商品だけ売る、少しだけ多く売る

 

エド・ゲルスソープのルール

 

一つだけのセグメントへのマーケティング

 

リサーチにだまされない

 

クライアントをヒーローにする

 

「わが社ではいつもそうやってきた」は、何かが間違っている最初の警告

 

買わずにいられない商品をつくる

 

どうすれば、バックルームを顧客のための部署にできるか

 

すてる顧客を選べ

 

60万ドルと3万2000ドル、どちらを選ぶ。

 

つづく

noteエビングハウスの忘却曲線