文化大革命を生きて

1956年に中国遼寧省で生まれ、10歳から20歳まで続いた文化大革命を生き抜いてきた体験談などを綴ります

大串聯

2010-01-19 11:45:56 | 日記
1968年に国中の学生や労働者たちが「大串聯」といって、
全国各地に出かけて、よその革命の様子ややり方を見習ったり、自分のところのやり方を宣伝したりしていました。
特に北京に行って、毛沢東に会いに行くことはみんなの夢でした。

汽車にはただで乗り、行く先々では宿も食事も用意されました。
毛沢東は天安門広場で8回も紅衛兵たちに接見しました。
毛沢東と握手ができた人はその手を何ヶ月も洗わず、人と会うたびにその話をし、握手を求められたことをよく聞きました。

そうこうするうちに、大串聯も進化して、
その昔、人民解放軍の前身「紅軍」が国民党軍の掃討を逃れるために行った
2万5千里にも及ぶ長征を真似て、各地から徒歩で上京することが流行りはじめました。

姉の同級生が醤油を買いに出かけ、醤油瓶をもったまま北京に行く大串聯の汽車に乗ってしまったことがあります。
携帯電話どころか電話すらない時代のことです。親がどんなに慌てたでしょう。
混乱の時代だけど、それでも治安が良かった時代でした。

ある日、姉が中学生の友達と大串聯に行くという計画を聞いた私は
是非連れていってほしいとねだりました。
やっと姉を説得したのに、家族にばれてしまい、止められ、私は行けませんでしたが、
姉はついに決行して、一週間かけて長春まで行ってきました。