イラク人質問題。
香田さん殺害のビデオをウェブに掲載=ザルカウィ幹部組織 (時事通信) - goo ニュース
見るんじゃなかった。見るんじゃなかった。
あんなにもおぞましく凄惨な光景がそうそうあるものか。
その日、何時間も下痢が続いていたので私は私にしては珍しく早めに起きた。
PCを使おうと兄の部屋に行くと兄のベッドの上に縫いぐるみが置いてあったので一瞬驚いた。
PCは既に兄が使っていた。
兄は、香田さんの生首切断映像がネットにUPされていると言って、再生した。
とてもじゃないがまともに見れなかった。
音声だけでもぞっとした。
香田さんはうなだれていた。悲鳴は無かった。
テロリストは何度も「アッラーアクバル」と唱えながら香田さんの首を切断し、その首をアメリカ星条旗の上に乗せた。
彼らは歌ってた。狂ってる、と私は思った。とても怖くておぞましかった。
私は気分が悪くなってその場にうずくまった。
喉元から胃腸にかけて妙な感じがした。
私は身体の不快感が収まるまでうずくまり、そして部屋に戻ってベッドの中に入った。
再び起きてから両親とドライブに行くことにした。
私はあの映像と音声の記憶から逃げたかった。
気分転換を必要としていた。
カーラジオからはアメリカ大統領選の開票速報が流れる。
「こんなの、夜になればはっきりわかるよ。別に今聞く必要ないよ」
と私は言った。
(どうせ結果を嫌でも思い知らされることになるんだからさ)
そう思った。同時に心から祈りたくなった。
この日がアメリカの民主主義のお葬式ではなく、アメリカの希望と再生の日になりますように。
もうこれ以上イラクの人人が米軍・英国軍に蹂躙されることない方向へ行きますように。
(だけどケリーにそれが出来るのかな?ブッシュは論外だけど)
思わず一抹の不安が胸をよぎった。
伊賀をドライブしながらそこかしこに咲くコスモスや菊の花を見て、
「ああ、もう香田さんは花を見ることも田園風景を見ることもないんだな」と思うと胸が痛んだ。
今、私の目の前には美しい風景が広がっているというのに、私の脳裏からまだあの凄惨な光景は消えそうになかった。
途中、三重県のBOOK OFFで古本を買った。
買ったのは、本宮ひろ志氏の「
国が燃える 1 (1)」
一巻
と「
国が燃える 2 (2)」と「
国が燃える 3 (3)」と「
国が燃える 5 (5)」である。
実は私が本宮の漫画を買うのはこれが生まれて初めてだ。
というのも、この漫画はなんと南京大虐殺を描いたというだけで、アホ右翼の圧力によって休載にまで追い込まれた作品だからだ。
参照→
【提案】本宮ひろ志『国が燃える』に「グッジョブ!」を
南京大虐殺を描いた回の漫画はネットで無断転載されていたので(
これ)
見たことはあるのだが、単行本の方はまだ読んでなかったので、私はどんな漫画なのかちゃんと読んで確かめたかった。
他にも「
刀神妖緋伝 1 (1)」、「
刀神妖緋伝 2 (2)」、
2巻
「
刀神妖緋伝 3 (3)」、「
刀神妖緋伝 4 (4)」、
そして漫画版の「
ナジカ電撃作戦 1 (1)」を好奇心で買ってみた。
一冊あたり105円で売られていたからだ。
それから
道の駅あやまでお茶を飲んで一息ついてから、
伊賀の里モクモク手づくりファームに行き、
野天もくもくの湯という温泉に入った。
ナトリウム塩化物泉で、舐めるとしょっぱい味がする。
露天風呂も3種類あり、その一つは源泉で人肌と同じぐらいの温度で何十分入っていてものぼせず、リラックスできていい。
石段を上ると、その日はりんご湯をやっていた。
そこでは源泉よりもやや水温は高めであるが、林檎の甘い香りが何とも言えず、いい気持ちにしてくれる。
さらに石段を登ると、一番上のところに岩風呂がある。
温泉から出た後、私達は
農村料理の店もくもくで美味しいヒレカツ定食などを食べた。
また、三種類のビールを少しずつ飲み比べてみた。
やはりピルスナーは美味しい。
私はなぜか疲れていて、帰宅してから寝間着に着替えぬままベッドに入り、
「国が燃える」と「ナジカ電撃作戦」を読んだ。
ナジカ
「国が燃える」は本宮作品の中では一番まともな作品に思えた。
作風が変わったように思える。
ダブル主人公とは本宮漫画にしては珍しいのではなかろうか。
しかも主人公の一人は小作人の息子として生まれた高級官僚で、心優しい人間なのだ。
私ははっきり言って本宮ひろ志の漫画は昔から嫌いだった。
なぜなら主人公はいつもさかってばかりの暴力的な男で、犯罪者と言っても過言でもないようなキャラばかりだったからだ。
ところが驚くべきことにまともな人間が主人公の一人になっているのだ。
そして女性像も変化したように思う。
従来の本宮漫画の女性像は、はっきり言って男にとって都合がいいだけの性的オブジェにしか見えなかった。
だが「国が燃える」に出てくるヒロイン、翔子は男に流されて生きるような女ではない。
また、明花という中国人女性もとても強い心の持ち主で、はっきり自己主張する人間として描かれている。
一体いつの間に本宮ひろ志はこんなに進歩したのだろうか?
私は本宮が進歩することなどないだろうと思っていたのに。
勿論この「国が燃える」に対してもいろいろと言いたいことはあるが、まあ、いい。
古本とはいえ、買って読んでもいいぐらいの出来ではある。
そんなことを考えながら漫画を読んでるうちに私はうとうとと眠たくなってしまった。
そして、いつも見ているアニメも見る気にはなれなかった。