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にわか映画特集

にわか映画マニアが好きなマイナー映画などを紹介するブログです

メデューサ・タッチ 恐怖の魔力 ~ラストがタイムリーなホラーサスペンス~

2015-04-23 23:19:00 | ホラー

今回紹介するのは1979年の映画「メデューサ・タッチ 恐怖の魔力」です。

冒頭からいきなりオッサンが何者かに襲われ、重体になります。フランスからやってきた主人公の警部は、この事件の真相の解明に乗り出します。

ストーリーは、警部がオッサンの関係者に聞き込みをして、そのたびにオッサンの過去シーンに移ると言う市民ケーン方式で構成されているのですが、話が進むにつれ、被害者のオッサンの特殊能力及び異常性が明らかになっていき、警部は犯人よりもオッサンの方をどうにかせんといかんと思うようになります。そして、オッサンの邪悪な企みを知った警部は、未曽有の大惨事を防ぐ為に、オッサンの息の根を止めようとしますが……

犯人よりも被害者の方がいろんな意味でヤバいと言う珍しいタイプのホラーサスペンスです。犯人はある意味人類の救世主です。過言ではありません。オッサンは人類を滅ぼすレベルの特殊能力を持っており、その上、洒落にならないレベルの邪悪な野望を持っているのです。

その特殊能力と邪悪な野望がどんなものなのかは、本作を観て確認してください。
オッサンが怖いです。とにかく怖いです。特にラストがタイムリーすぎて怖いです。

カリガリ博士 ~傑作サイレントホラー映画~

2015-04-14 06:17:41 | ホラー

まず何について書こうかなと思いましたが、
やはりここは一番好きな「カリガリ博士」から始めることにしました。

カリガリ博士」とは1920年代ドイツで発表されたサイレント映画です。
いわゆる表現主義と言う芸術思潮のカテゴリーに入る映画です。


(1)表現主義

表現主義とはザックバランに言えば、「感情の赴くままに好きな表現をしようぜ!」と言う思想敵運動で、
芸術家たちは、遠近法や色相学など科学的技法を無視して、文字通り自分の感じたことを絵画や音楽などで表現しました。
代表的な人を挙げれば、『叫び』のムンクや「十二音音楽」のシェーンベルクがいます。

その当時のヨーロッパは、第一次世界大戦が終わって間もない頃で、経済的にも社会的にも精神的にもとことん疲弊していました。
それ以前は「かがくってすげー」と言う進歩的価値観が支配的でした。
人々は科学が進歩すればするほど豊かで幸せな生活になると信仰していたのです。

しかし、そんなオプティミズムも大戦によって粉々になりました。
自分達が信仰してきた科学によって生活が滅茶苦茶になったのだから、
それはもう科学に絶望するしかありません。

芸術でも、印象主義など科学的技法を重宝する芸術思想は廃れ、
感情などの非科学的なものを重視するようになります。


(2)カリガリ博士

そうした背景がこの映画「カリガリ博士」にも明白に表れています。

まず目を見張るのは舞台です。とても現実のものとは思えないほど、グニャグニャでイビツです。



人間の感情と言う不定形なものが舞台に投影されています。
ストーリーのテーマも「夢遊病」と精神病に関するものです。
精神分析家のフロイトの影響を強く受けています。

あらすじとしては、カリガリ博士と名乗るオッサンが夢遊病者を操って人を殺すと言う単純なものですが、
それでも結構楽しめます。

しかし、一番楽しんでもらいたいのは、映像の恐怖的演出です。前述の舞台もそうですが、俳優たちの演技もガチで恐ろしい。
特に夢遊病者のチェザーレは、背が高くて全身黒ずくめで顔が真っ白でまさに怪人。
白黒特有の陰影のコントラストも相まって、見る者を不安にさせます。
ホラー映画としても傑作だと思います。

長々と書いてしまいましたが、是非ご覧になってください。
サイレント映画はつまらないと言う訳ではないことがわかると思いますので。