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にわか映画特集

にわか映画マニアが好きなマイナー映画などを紹介するブログです

バッファロー’66 ~ハイパー駄目男と天使の奇妙なラブロマンス~

2015-06-13 21:17:30 | コメディ
今回は「バッファロー’66」を紹介します。監督・主役はヴィンセント・ギャロ。映画タイトルの意味は主人公の故郷と出生年です。

主人公は無実の罪で刑務所に投獄されたダメンズ。何やってもドジばかりなマヌケの癖に、自尊心だけは一丁前にデカく、美人の彼女がいたとか自分はCIAの職員だとか虚言癖が酷い。美点が一切ない男。たまにいるよね、こういう人。

出所後、男は人生に絶望したまま故郷のバッファローに帰るのですが、早速オシッコが漏れそうになり、アチコチのトイレを探し回ると言うダメっぷりを披露します。

用を足した後、男はママに電話するのですが、美人の嫁さんがいると言う大ウソを吐いてしまい、その嫁さんを実家に連れて帰ることになります。
当然男には嫁はおろか彼女すらいません。なので、偶然出会った美少女を拉致して嫁さんのフリをするよう頼みます。

美少女は初めは見るからにダメダメな男に対して冷淡な態度を取っていました。けれど、男があまりにダメすぎて母性本能が働いたのか、次第に男に惹かれるようになります。また、男の方も美少女と語り合ううちに、彼女に惹かれるようになり、次第に生きる希望を見出していきます。

ストーリーは笑えて笑えて時たま泣ける実に面白い出来となっています。また、映像表現も、コーナーワイプを次々と貼りつけていく冒頭のシーン、発言する人物だけを映していく男・美少女と男の両親の談笑シーン、美少女のダンスシーンなど、斬新な演出が盛りだくさんで、その点に注目して鑑賞しても面白いと思います。

ちなみに、監督のギャロの次回作に「ブラウン・バニー」と言うのがありますが、これは観なくてもいいと思います。ギャロが「バッファロー’66」で才能を使い果たしたことが判明するだけなので。

悪魔の毒々モンスター 東京へ行く ~ホラーの皮を被った超絶おふざけコメディ~

2015-05-30 06:39:53 | コメディ
お久しぶりです。今回は「悪魔の毒々モンスター 東京へ行く」をご紹介します。
この映画は第一作「悪魔の毒々モンスター」の続編なのですが、まあ見なくても大して問題はありません。

平和な田舎町「トロマヴィル」。そこのゴミ捨て場に住まうは、化学物質を全身に浴びて怪物に変身したメルヴィン。
彼は前作でトロマヴィルの悪人共を一掃しており、町のみんなから英雄扱いされています。彼女も出来ました。醜い怪物の癖にリア充。
しかし、彼はそんな平和な日々に退屈さを感じています。悪を滅ぼす欲求に駆られていたのです。

それでまあいろいろとあって、メルヴィンは自分の親父が日本人であることを知り、ヨットに乗って東京へ行くのでした。

東京でメルヴィンはパチンコをしたり、たい焼きを喰ったり、相撲をしたり、敵をシャブシャブにしたり、ジャパニーズニンジャの真似をしたり、東京観光を満喫します。ダミ声が気になる日本人ガールフレンドも
出来ますし、カタコトの日本語も連発します。



メルヴィンと一緒に1989年の日本を満喫することが出来ます。

あと、関根勤(今とあまり変わっていない)や安岡力也(英語で話すと声が甲高い)なんかもゲスト出演します。



本作の目玉はやはりメルヴィンの東京観光ですが、前作同様のシュールなギャグも目白押しです。
バラエティに富んだ敵やユニークすぎる敵の殺し方も必見ですし、「詳しいことは第一作を参照にして」「このままじゃ、毒々モンスター3が制作されない!」などメタ発言も目立ちます。

ノリが「ピンクフラミンゴ」と同じなので、「エログロナンセンス」や「メッセージ性一切なし」に耐性がある方は是非ご鑑賞ください。

赤い影

2015-05-17 16:00:35 | 映像芸術
今回はイギリス・イタリア合作映画「赤い影」(原題「Don't look now」)を紹介します。

本編全体を全体で通して赤を意識したイメージが散りばめられたり、主人公夫婦の視点が交互に変わるカットバックが多く用いられたりするなど、視覚映像にこだわった作品です。

ストーリーはオカルティックな内容です。以前娘を失くした夫婦が教会修復の仕事をしに、ベニスに赴くのですが、そこで謎の老姉妹に出会います。妹の方は盲目ですが霊感があり、「死んだ娘さんがアナタ達に『早くベニスから立ち去れ』と警告している」と教えてくれます。しかし、夫は彼女の言うことを全然信じません。その結果、衝撃のラストが……。

ラストが本当に衝撃でした。「え?こんなん出ちゃうの?」って感じです。ほんわかファンタジー映画にいきなりグチャグチャのゾンビが現れたような、そんな気持ちです。ポカンとなりました。

ストーリー自体は「んん?」ってなるところが多いですが、映像は前述の通りかなり凝っており、作品のオカルティックな雰囲気が十二分に伝わってきます。イギリスでは知名度も評価も高い作品なのですが、日本ではあまり知られていません。「ウィズネイルと僕」と同じですね。

ビヨンド・サイレンス ~実際の聴覚障害者が出演する珍しい親子ドラマ~

2015-05-14 06:31:14 | ヒューマン
今回はドイツ映画「ビヨンド・サイレンス」です。

主人公の少女の両親は二人とも聴覚障害を抱えています。母は心優しい人物なのですが、父は幼い頃からコンプレックスを持っており、かなり捻くれて頑固な性格です。その父の性格は、母が聴覚障害が原因で事故死して以降、より酷くなっていきます。
少女には音楽の才能があり、父と仲が悪い叔母の指導のもと、音大を目指します。父はそれが気に喰わず、娘に辛く当たってしまいます。娘の方もそんな父を煙たがるようになります。果たして親子の絆が回復する時は来るのでしょうか?

主人公の両親役の二人は実際に聴覚障害を持ちながら俳優活動をしている方です。本編でも普通に会話するシーンより手話で会話するシーンの方が多いです。父役の俳優さんが本当にいい演技をしていますので、次第に成長していく娘と対照にしながら鑑賞すると面白いと思います。

ロストチルドレン ~『アメリ』の監督が描く退廃的ファンタジー~

2015-05-11 06:02:26 | ファンタジー

今回紹介するのはフランス映画『ロストチルドレン』です。監督は恋愛ファンタジー映画『アメリ』と同じ人です。

舞台は近未来の退廃しまくったダークな世界。夜な夜な子供が何者かに誘拐される事件が発生しています。
実は、犯人は海上に浮かぶ孤城に住まう博士一味で、博士は夢が見たいあまり、攫った子供達の夢を奪おうと考えていたのです。
主人公の芸人の男も小さい弟を攫われてしまいます。男は偶然出会った盗人の幼女と一緒に弟の行方を捜します。

デビュー作の『デリカテッセン』もそうですが、世界観がとてもユニークです。退廃的で闇に覆われ夢も希望もない荒んだ世界で、悪夢みたいな映像が矢継早に流れてくるにもかかわらず、軽妙洒脱でコメディチックでどこか楽しい雰囲気が終始感じられます。その最大要因はやはり登場人物たちの魅力にあるでしょう。
心優しい怪力芸人、その芸人に恋をした盗人家業の幼女ヒロイン、夢を見ることに執心する博士、脳味噌だけの叔父さん、小人のおばさん、おそまつ君、シャム双生児のイジワルババアなど、キャラが濃すぎる人々がスクリーン上を楽しそうに動きまくるので、鑑賞しているコチラもウキウキした気分になります。

あとヒロインの少女が、今まで見た映画の中でもかなり可愛い方です。