京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

次々と新芽が顔を出し始めました

2022-02-26 18:36:39 | 園芸・植物・自然環境
先日、こちらの記事で紹介したベランダ園芸で育てている鉢植えのシモバシラ(霜柱)ですが、あちこちから新芽が顔を出し始めていることに今朝、気づきました。和名の由来でもある、シモバシラの『霜柱』ができない代わりというわけではないでしょうが、今年はかなりの数の新芽が出ているようです。





昨年は、この状態ではなく、もう少し芽が伸びてから発芽していることに気づいたので同じかどうか比較できないのですが、かなり赤みを帯びているということは、やっぱり今年は寒いのでしょうか。昨年の新葉も少し赤みを帯びていますが、今年よりは緑色っぽい?

昨年(2021年)のシモバシラの新芽(過去記事より再掲。2021年3月撮影)


なお、先日の記事で紹介した腋芽ですが、成長しているのはそのうちの一番大きかった芽だけのようです。



前回と撮影の向きが違い、ちょうど後ろ側から撮影したことになりますが、この位置の腋芽です。




撮影していない位置からもぽつぽつと新芽が出ているので、植え替えも兼ねて今年は株分けに挑戦してみようかな。

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ベランダでシモバシラの新芽を撮影してから部屋に戻ると、窓から差し込む朝日を浴びた小鳥?らしきシルエットが壁に浮き上がっているのを見つけました。大きさはスズメ大ほどですが、顔つきや足の太さはワシやタカなどの猛禽類?



種明かしすると、戸棚に片付けようとして仮置きする場所がなく、いったん床に置いていた電気ケトルの蓋が開いていて、光線の加減で鳥のシルエットのように見えただけでした。



埃まみれなので、ちゃんと拭いてから片付けました。
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花色は違うけれど原種に近い咲き方?

2022-02-24 18:35:46 | 園芸・植物・自然環境
数日前のこと。志賀越道近くの細道を入った住宅街にある小さな花壇に植えられていたツバキ(椿)が一輪だけ花を咲かせていました。



数本の雄しべが弁化して旗弁になっていますが、おそらく一重咲きのツバキだと思います。花芯が放射状に広がったいわゆる「梅芯」と呼ばれるものですが、なんとなく花糸の色が黄色みを帯びているように見え、花も平開する咲き方なのでなんとなくユキツバキ(雪椿)系の園芸種でしょうか。もう6年前になりますが、京都府立植物園の植物生態園で咲いていたユキツバキがこちら。


ユキツバキ(京都府立植物園の植物生態園で2016年3月撮影)

ユキツバキは日本在来のツバキのひとつで、日本海側の豪雪地帯に分布しています。原種は株ごとに花の形状や咲き方に違いがあるそうで、近縁種のヤブツバキ(藪椿)とは樹高や枝振り、花の咲き方や葉の形状などで違いがいくつかあるのですが、その点についてはあらためて取り上げることにしたいと思います。このユキツバキは、たしか樹勢があまり良好に見えなかった記憶がありますが、そのためか花も小振りでした。




先ほど、違いがあると述べたことに関して、一部だけ取り上げてみましょうか。葉の鋸歯に違いがあり、ユキツバキは少し尖った形状で鋸歯が入りますがヤブツバキはゆるく波打った形状になりやすいようです。また葉先もユキツバキのほうが尖りやすいそうですが、このあたりは個体差がありそうな気がします。

1枚目の花の葉(ユキツバキ?)


ヤブツバキの園芸種と思われる葉


また、葉を透かしてみたりしてみるとユキツバキのほうが葉脈がはっきり浮き出るようですが、こちらもどうなのでしょうか。ユキツバキは葉柄に微毛も見られるとのことですが、新しい葉にはそれらしいものが見られましたものの古い葉は「?」でした。

1枚目の花の葉を裏側から透かしてみたところ


ユキツバキ系の園芸種で有名な品種に乙女椿がありますので、巷でユキツバキの系統を見かけることが珍しいわけではないのですが、原種に近い咲き方をしているのはあまり見かけないかもしれません。

乙女椿(過去記事より再掲)


ちなみにヤブツバキもユキツバキも原種は紅色(赤色もしくは朱色)とされていますが、ユキツバキは白色の原種も確認されているようです。また、このユキツバキとヤブツバキが交雑したものにユキバタツバキ(雪端椿)がありますが、こちらも原種は紅色です。京都府立植物園のつばき園には白色の八重咲きが1本植えられています。


八重で白花のユキバタツバキ(京都府立植物園のつばき園で2017年11月撮影)


八重咲きなので一重咲きとの比較は難しいかもしれませんが、花芯はユキツバキ譲りでしょうか。




ついでながら、こちらも園芸種ですがヤブツバキもどうぞ。


ヤブツバキ(過去記事より再掲。2016年11月撮影)


ヤブツバキの咲き方はお椀や猪口のような形状で、花芯が筒芯と呼ばれる形状の品種が多いと思います。

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さて、来月3月25日から27日の3日間、京都府立植物園との共催で第61回つばき展を開催する予定ですが、この時期には本来たくさんの蕾を膨らませ始めているのに今年はその蕾すら見られない株が多いような気がします。まわりに聞いてみると昨秋のうちに蕾を落としたものもあるとのこと。生理的落蕾なのかどうかわかりませんが、昨年8月の戻り梅雨のような長雨等が影響しているのでしょうか。はてさて花を集められるのかどうか、ちょっと気掛かりです。
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春らしさが感じられる「黄色」の花たち

2022-02-22 19:16:09 | 園芸・植物・自然環境
京都市内中心部で積雪は見られなかった先週の木曜日。2日前の火曜日には北陸地方で昨年より5日早く「春一番」が観測されたそうですが、今しばらく春はお預けといったところなのでしょうか。それでも、この時期に黄色い花を見ると、何となく春の足音が聞こえてくるような「春らしさ」を感じます。特に好きな花だと余計にそう思ってしまうのかもしれません。

手もかじかむ寒い朝でしたが、好きな花のひとつ、ラナンキュラスの花を岡崎道バス停近くで見つけ、そう感じました。



ほころび始めた蕾は、まるで咲き始めのバラのようにも見えますね。



そして、以前から気になっていた、こちらの花も咲いているのではと思い、平安神宮や岡崎界隈を横切って仁王門通との交差点近くの神宮道沿いの植え込みを見てみると……



咲き出していました。マンサクの花です。名前の由来どおり、春に「まず咲く」といったところでしょうか。

色彩心理学で「黄色」はポジティブな印象として「元気」「希望」「にぎやか」「若さ」を与える色とされ、さまざまな命が萌え出ずる「春」にふさわしい色なのかもしれません。

また送粉者として重要な役割を担う虫たちも私たちと同じ色を見ているとは限りませんが、早春からいち早く活動し始めるハエやアブたちは人間が「黄色」に見える色に敏感だという報告もあるそうです。

そういえば、先日見つけたチューリップも「黄色」でした。

黄色のチューリップ(過去記事より再掲。2022年2月撮影)


やっぱり、花の種類に限らず、黄色は「わくわくする色」なのかもしれません。
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サルココッカの花と実

2022-02-18 19:08:45 | 園芸・植物・自然環境
1週間ほど前のことですが、そろそろ咲いているかなと思い、見に行ってみると……



咲き始めていました。サルココッカの花です。コンフサ種とフミリス種が知られていますが、こちらはコンフサ種だと思います。東アジア原産のツゲ科サルココッカ属の常緑低木で、庭木としては植え込み等の地被用途に使われることが多いでしょうか。雌雄異花で、写真の花は若い雄花です。雌花は雄花の付け根につくことが多いらしく、しっかり確認していませんが赤い丸印の花が雌花かもしれません。



花に花弁はなく、花序に2〜3個つく雄花は4本の雄しべが飛び出し、1個つく雌花は2本の角のような花柱が飛び出ているだけです。この花のかたちを見て思い出されるのが、ひょっとしたらフッキソウ(富貴草)かもしれませんね。

フッキソウもツゲ科ですがフッキソウ属に分類され別属です。花序もサルココッカが総状花序であるのに対してフッキソウは穂状花序ですが、よく似ているといえば似ているでしょうか。

フッキソウの花(ザ・リッツ・カールトン京都にて2021年3月撮影)


フッキソウも雌雄異花で、華やかなのは雄花であり、雌花は花序の基部にひっそりと咲きます。

フッキソウの雌花(ザ・リッツ・カールトン京都にて2021年3月撮影)


なお、決定的に違うのは実の色と言えるかもしれません。サルココッカの実は初め赤く色づいて熟すと黒紫色になります。

サルココッカの実


それに対してフッキソウは、1か月ほど前のことになりますが先日の記事で紹介したように、熟すと透明感のある白色になります。


フッキソウの実(過去記事より再掲。2022年1月撮影)


でも、双方とも実の先端にできる2本の柱頭の跡だけは一緒ですね。サルココッカは、さして華やかさもなければ見栄えも優れているというほどではないのに、毎年なぜか気になる植物のひとつです。
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「光琳の梅」と「軒端の梅」

2022-02-16 19:34:55 | 歳時記・文化・芸術
下鴨神社(賀茂御祖神社)の近くを通ったので立ち寄ったところ、ちょっと早いかなと思いながら輪橋のたもとに植えられている「光琳の梅」の開花状況を確認してみたら、咲き始めていました。



江戸時代の画家である尾形光琳が描いた国宝の「紅白梅図屏風」のモデルとなった伝わる梅です。ただ、そっぽ向いて咲いている姿が多く、正面から観賞できる花は数輪だけ。咲き姿で「まだ早いから、もう少し先出してからのほうがいいよ」とでも伝えているのでしょうか。

ふと思い出し、足を伸ばして行ってみたところはこちら。東北院です。和泉式部ゆかりの「軒端の梅」が植えられていますが、咲いているかどうか……



咲いていました。こちらも数輪だけですが、光琳の梅よりはたくさん咲いていました。この後、もうひとつ「八房の梅」はどうかなと思って東本願寺の別院である真宗大谷派岡崎別院まで行ってみたのですが、本堂の整備工事中のため入ることは叶わず。残念なり。

和泉式部ゆかりの「軒端の梅」は、寺町京極の繁華街にひっそりと佇む誠心院と、嵯峨釈迦堂で知られる清凉寺にもあるのですが、双方とも白梅ではなく紅梅らしいのですが、一度確認しに行ってみたいと思っています。
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