京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

小正月は小豆粥で無病息災

2020-01-15 06:49:17 | 歳時記・文化・芸術
今日1月15日は「小正月」です。本来は陰暦の1月15日のことですが、京都では今日までが「松の内」になります。関東でも古くは1月20日までが松の内とされていましたが、江戸幕府の三代将軍である徳川家光公が4月20日に亡くなったため1月20日は月命日にあたり、江戸を中心にこの20日を「松の内」とするのはよくないのではという考えが広まったことで、ついに幕府が「飾り納めは1月7日」と通達し、それ以来1月7日までを松の内とし、鏡開きも1月11日に行うことが全国的に広がり、現在に至ります。

1月15日を『小正月』と言うのは、陰暦ではちょうどこの日が満月の頃にあたり、二十四節気の立春後初めての満月であることから、古来はこの日を「元日」としていた名残りとされています。そのため、現在は元日と呼んでいる1月1日を「大正月」とも言います。

さて、京都では小正月の1月15日の朝に『小豆粥』をいただく風習があります。

小正月に小豆粥を食べる風習は、古代中国では小豆のような赤い色をした食べ物は邪気を払うと考えられ、小豆粥を食べて家族の健康を祈った風習が日本に伝わったことが由来とされています。また日本では豆は「魔を滅する」と考えられ、邪気や病気を払うということから節分の豆まきや夏越祓の日に食べる水無月にのった小豆も「魔除け」の意味が込められています。


(小豆)



(秋に高野川河川敷で咲いていた小豆の原種、藪蔓小豆の花)


また、地方によっては小正月に餅花を飾って豊年満作を祈る行事が行われます。そして、左義長といって正月飾りや書き初めを燃やし、この煙に乗って歳神様が天上までお戻りになることをお見送りする行事も行われ、この燃やす火は「どんど焼き」あるいは「とんど」とも呼ばれます。


(どんど焼き・火を入れる前)


なお、祝日法が改正される1999年までは、この15日が「成人の日」でした。これは江戸時代まで男性が成人になった証である儀式「元服の儀」が1月15日に行われていたことによります。おそらく新年最初の満月の力を取り入れることで、より立派な男性、成人となるようにという祈りも込められていたのではないでしょうか。

暮らしが豊かになるにつれ、特に都市部において、こういった普段の生活に密着していた年中行事や文化が忘れられていくように感じ、ちょっと悲しいですね。お粥さんに茹で小豆を混ぜるだけでも立派な小豆粥です。今晩にでも召し上がって無病息災を祈ってみてはいかがでしょうか?

また京都は1月4日ですが、松の内を15日までとする地域では小正月に鏡開きの日とするところもあるので、お餅を入れたおぜんざいでもよいかもしれませんね。




いままで変わらずに、でも時代に応じて変わりながら、いにしえから受け継がれてきた知恵が育む文化を嗜むのも、古くて新しいことではないでしょうか。

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