京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

毒溜め、毒痛め、毒矯め、蕺草

2020-06-03 07:03:45 | 雑学・蘊蓄・豆知識
はびこるように生えてくるので、状況によっては嫌われ者のドクダミ(蕺草)ですが、ちょうど今あちこちで花が咲き始めています。鞠小路通にある保育園の周囲でも咲き始めていました。



4枚の白い花弁状のものは総苞であり、本来の花に花弁はありません。その花は中央の蕊のように見える花穂に集まって咲いています。



なお観賞用の品種には、総苞片が幾重にも重なった八重咲きになるものもありますよ。

東鞍馬口通の美容院の玄関先の寄せ植え鉢で咲いていた八重咲き(2020年5月撮影)


このドクダミの葉には独特の臭気がありますよね。中国でもやっぱりドクダミの葉は臭うと思うらしく、中国語では「魚のような生臭い匂いのする草」という意味の「魚腥草」と名前が付けられています。



日本語のドクダミという名前の由来は諸説あるようで、葉の臭気にちなむものがありますが大きく分けると以下の3つになるでしょうか。

毒溜め:葉から漂う独特の臭気(毒気)が立ち込め、毒が溜まるという意味から。
 
毒痛め:解毒や痛み止めに効果があり、毒痛みを治すという意味から。
 
毒矯め:薬効があり、体の悪いところを矯める(矯正する=治す)という意味から。


ドクダミはゲンノショウコ(現の証拠)やセンブリ(千振)とともに古くから民間療法に用いられており、日本三大民間薬としても知られています。生薬としては「十薬」という名前で用いられています。

なお、冒頭に記しました漢字表記の「蕺」とはドクダミのことです。この「蕺」の音読みは「シュウ」で、先ほどの「十薬」も本来は「蕺薬」と書いたという説があるそうです。古くは「大和本草」という文献に「十種類の薬効があることから名付けられた」とありますが、蕺薬を簡略化して十薬と表記したという考えもあるようです。

また「蕺」には江戸時代中頃まで呼ばれていたドクダミの古語の「しぶき」という訓読みが当てられることもあります。古くは「和名類聚抄(和名抄)」に「之布岐」「之布木」の名で記されているそうですが、このドクダミの古語の「しぶき」とは「滞る」という意味の古語の「渋く」にちなむとされています。つまり古語も葉の臭気が「渋く=滞る」ことから名付けられているんだそうです。

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