北海道立釧路芸術館

北海道立釧路芸術館のブログです。北海道釧路からさまざまな情報をお届けします。

大漁旗展、開催中です! ~「いろどる」大漁旗~

2020年09月10日 10時17分53秒 | 日記
 
釧路芸術館では9月27日(日)まで、フリーアートルームにて「大漁旗展 つたえる、いろどる」を開催しています。
本日のブログは昨日更新分の続き。展覧会名の副タイトルにもある「いろどる」をキーワードに、本展をご紹介します。


新造船のお披露目の場である進水式。この特別な日を華やかに盛り上げるのが大漁旗です。
大漁旗があると、いつもの景色がぱっと華やぎます。


こちらは当館ロビーの写真。普段は落ち着いた雰囲気ですが、大漁旗を展示すると、たちまちパワフル!な空間になりました。

多くの大漁旗は、伝統的な染色技法で制作されます。
白色の木綿の生地に防染糊を筒袋から絞り出して、白くあらわしたい部分に糊をおきます(筒描き)。
防染糊が乾いた後、白色以外にする箇所を染料を含ませた刷毛でさまざまな色に染め分けます(刷毛引き染め)。
防染糊をおいた箇所は染料が染みこまないため、最終段階で生地を洗うと、生地そのものの白色があらわれます。
「第」や「贈」など定番の文字は型を用いて糊をおくことも。
旗を表側から見ても裏側から見ても、染めの仕上がりに差はありません。このために、海風にはためく大漁旗はどの向きから見ても美しく目に映ります。


染めの仕事に用いる道具類も展示しています。

季節柄、漁に関するニュースが聞こえてくる今日この頃。
「おめでとう」「どうか安全に」「たくさんの幸がもたらされますように」……。
願う心・祈る心の“温かさ”と手仕事の“温もり”が感じられる大漁旗の世界を、この機会にぜひ堪能していただければと思います。


そして、あなたも大漁旗を「いろどって」みませんか?
本展の会期中、「塗ってみよう!貼ってみよう!大漁旗」を開催しています。


写真は受付でお渡ししている台紙。まわりの文字や図を切り取り、好きな色を塗って貼ると……。

 
あなただけの大漁旗が完成します!


好きな字やイラストを入れてもいいですよ♪

館内で実際の大漁旗を見ながら取り組んでも、おうちでじっくりつくってもOKです。
完成作品はハッシュタグ「#みてみてわたしの大漁旗」をつけてSNSに投稿してください。みなさまの自信作、お待ちしております。

9月13日(日)午後2時からは担当学芸員によるギャラリーツアーも開催。予約不要、聴講無料です。


また、ミュージアムショップでは本展にちなんだ商品をお買い求めいただけます。

★株式会社近藤染工場の手ぬぐいとコースター
職人の手で、大漁旗と同じ技法で作られています!


★前田育子さん主宰「大漁 育(Tairyo Hug)」のがま口やバッグ、缶バッジなど
役目を終えた大漁旗をリメイクして生まれた作品。同じ柄は2つとありません。

いずれも9月27日(日)の「大漁旗展」最終日までのお取扱いです。



それでは、皆さまのご来館を心よりお待ちしています!


大漁旗展、開催中です! ~「つたえる」大漁旗~

2020年09月09日 17時18分51秒 | 日記


釧路芸術館では9月27日(日)まで、フリーアートルームにて「大漁旗展 つたえる、いろどる」を開催しています。
釧路の街でたまに目にする大漁旗……じっくりご覧になったことはありますか?
本展では厚岸町海事記念館、株式会社近藤染工場、釧路市立博物館、北海道博物館のご協力のもと、1枚の旗にこめられた思いをたどります。
本日は、展覧会名の副タイトルにもある「つたえる」をキーワードに、本展をご紹介します。


現在私たちが思い浮かべる大漁旗は、漁船を初めて海に浮かべる進水式に際して、漁師仲間などから船主へと贈られるものです。
「祝」の字や「のし」は、大漁旗がご祝儀であることのあかしです。
大漁旗を構成する図柄にも意味があり、「豊漁となりますように」「事故なく漁ができますように」という願いが込められています。


たとえば、おめでたい魚である「鯛」。異郷から宝をもたらす「えびすさま」。富や幸福の到来をイメージさせる「宝船」など。
「だるま」は開運や商売繁盛といったイメージに加え、倒れてもすぐ起き上がることから、船が転覆などせず安全に航海できますように、という祈りの気持ちも込められています。
鋭く獲物をとらえるイメージから「鷲」や「鷹」、「金太郎」など力自慢の昔話の主人公、「鮭」「ほたて」など、贈る船が獲ろうとする魚などをあらわすことも。


大漁旗がいつから使われてはじめたのかは判然としていませんが(一説には江戸時代から)、当初は船の上から陸に大漁を知らせるために使われていました。
こうした大漁旗には「大漁」の文字と、屋号や「○○家」といった家名だけがあらわされます。
まだ無線などが無い時代、大漁となった船が大漁旗を掲げることで、陸では水揚げの用意を進めておくことができました。たくさんの魚を新鮮なまま処理するための工夫です。
この旗が掲げられるということは、海から陸へ富がもたらされること、漁師が無事に海での仕事を終えたことの報せでもありました。
大漁旗は、情報の伝達手段である以上に、海で暮らす人々の心の拠り所であったことが想像できます。

こうした大漁旗も、戦後は無線の発達などにより、必ずしも情報の伝達という目的で使われなくなってしまいます。
それでも、大漁旗というモノへの思いは特別。今度は進水式のためのご祝儀として親しまれるようになったのです。
大漁旗は時代とともに「海から陸への情報伝達」から「船主から仲間への贈り物」へと変わりましたが、豊漁と安全を願うシンボルであるということはいつの時代も変わらないのです。



今日のブログの続きは明日公開します!テーマは「いろどる」。お楽しみに!

荒川好夫写真展&栗谷川健一ポスター展 終了のご報告

2020年08月04日 13時18分56秒 | 日記
「北海道・鉄道開業140年」が先日、無事閉幕を迎えました。
会期は4月25日(土)~7月1日(水)としておりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言のため、やむを得ず4月25日~5月25日を臨時休館とさせていただき、5月26日(火)より皆様にご覧いただけることとなりました。
当初のスケジュールより1ヶ月短い会期となってしまい、ご観覧をご予定いただいていたにも関わらずお越しいただけなかった方には大変心苦しく感じております。

北海道初の鉄道である官営幌内鉄道が札幌~手宮間に開通したのが1880(明治13)年。今年は北海道に鉄道が通ってから140年目となります。本展では写真とグラフィック・デザインという表現方法の異なる作家の作品を「鉄道」をテーマにつなぎました。

なお、本展は北海道教育庁がおこなう「アートギャラリー北海道」の事業の一環として、有島記念館(ニセコ町)、北海道立図書館(江別市)、北海道立近代美術館(札幌市)の協力のもと開催しました。



展覧会の観覧券は、国鉄の硬券をイメージしたデザイン。受付で「パチン!」と入鋏してから展示室にお入りいただきました。




ちらし、ポスターは春らしい鮮やかな黄色が印象的です。

Part1 急行「ニセコ」1971年冬~蒸気機関車C62栄光の記録~ 荒川好夫写真展




 
国鉄の専属カメラマンとして活躍した鉄道写真家の荒川好夫(1946生)。現在にいたるまで全国各地で鉄道を撮影しています。本展では1971(昭和46)年冬、C62重連(連結された2両の蒸気機関車)がけん引する急行「ニセコ」の雄姿を、駅舎のたたずまい、機関士や旅客らの表情とともに、情感深くとらえた写真作品57点を展示しました。

荒川氏が写したのは、C62の凛々しい姿だけではありません。機関士や駅長など懸命に働く国鉄職員の働く姿、駅に集ったり、車内でくつろいだりする市井の人々……。鉄道をとりまく人間へのリスペクトと愛情深いまなざしを、モノクロームの階調の中に感じられます。




6月20日には「鉄道写真家と学芸員の鉄道・あいトーク」を実施しました。
ご登壇いただいた伊藤大介氏(ニセコ町有島記念館主任学芸員)の横には……荒川好夫氏の等身大パネル?!
東京在住の荒川氏はご来館いただけなかったものの、イベント中に電話をお繋ぎして、リアルタイムでお話を伺うことができました。


Part2 ロマンチック北海道への旅~ 栗谷川健一ポスター展




 
栗谷川健一(1911~1999)は岩見沢市生まれのグラフィック・デザイナー。
映画の看板描きや印刷工の仕事を経て、戦後からフリーのデザイナーとして活躍しました。官公庁から民間企業まで、さまざまなクライアントの仕事をこなす中でも栗谷川の名を広く知らしめたのが、北海道の国鉄をPRし、北海道への観光を呼びかけるポスターでした。
ポスターには北海道各地の自然ゆたかな景観、この地に生きる動植物、そして人々の姿が、まるで映画のワンシーンのような構図で描かれます。国鉄の観光ポスターは全国の国鉄の駅に貼り出され、日本中の人々の旅情を誘いました。
本展覧会では国鉄のための観光ポスターに加え、「さっぽろ雪まつり」や「札幌冬季オリンピック」など、栗谷川健一の仕事を語る上では欠かせない作品、スケッチやエスキースも含め、主に北海道立近代美術館のコレクションから計104点を展示しました。





 
展示室内には「のりもの絵本コーナー」も。機関車や列車、電車はいつの時代も子どもたちのドキドキ、ワクワクを誘ってきました。北海道立図書館の蔵書から、戦後~近年に出版された選りすぐりののりもの絵本をご紹介しました。(感染症予防のため、実際にお読みいただけなかったのが残念です)


臨時休館に伴い、「北海道・リモートミュージアム」として担当学芸員が展覧会を紹介する動画を作成しました。
現在も公開していますので、ぜひ何度でもご覧ください。


















5月14日~6月21日に開催した〈新収蔵展示 「時の啓示」 池田良二版画展〉の動画もご覧いただけます。



動画の作成にあたり、北海道教育大学釧路校の佐々木宰教授、同大学大学院修士課程の木田美也子さんに多大なるご協力をいただきました。




 
ただいま、釧路芸術館では〈毛綱毅曠の建築脳〉を開催しています。
釧路市生まれの建築家、毛綱毅曠(1941~2001)が建築に込めた思いや哲学、この建築の中で時を過ごす人々の言葉……。地域の文化遺産としての毛綱建築を、没後20年を前にした今、もう一度見つめる展覧会です。
釧路芸術館の近くには「フィッシャーマンズワーフMOO」「釧路キャッスルホテル(現・釧路センチュリーキャッスルホテル)」、少し足を伸ばすと「反住器」「ふくしま医院」「釧路市立博物館」「釧路市立東中学校(現・釧路市立幣舞中学校)」などの毛綱建築がございます。ご来館に合わせて、毛綱建築をめぐる散策をしてみるのも楽しいかもしれません。皆様のご来館をお待ちしております。

【 池田良二版画展を終えて 】

2020年07月09日 08時39分55秒 | 日記

当館フリーアートルームでの『新収蔵展示「時の啓示」 池田良二版画展』が、先月21日に閉幕しました。





本展では昨年度、作者からのご寄贈により当館コレクションに新しく加わった10点の作品を中心にご紹介しました。その作品名を、展覧会名の一部に使わせていただいた2002年の作品《Revelation of time(時の啓示)》を冒頭に展示。つづいて1980年代後半から2010年代まで、ゆるやかに年代を追う展示構成としました。




1980年代後半は、作者が自身の出自に表現の動機を見出した時期にあたります。以降、故郷・根室の風景、とりわけ旧落石無線送信局跡を池田は繰り返し作品のモチーフとするとともに、その建物を自らの手で改修し、ひとつの重要な活動拠点としてきました。明治、大正から昭和にかけて太平洋沿岸における海上通信において重要な役割を果たした無線局。1985年、母と死別した喪失感のなかこの地を訪れた池田にとって、最果ての廃墟と化したその空間は、自身の表現を追求するための母胎のような存在になっていったといえるのかもしれません。




落石のシリーズにつづき、写真左端は2007年の作品《Landscape with Tracks(軌跡のある風景)》。波打ち際で、複数の球が半円の弧を描くように並べられた情景がとらえられています。2000年代中頃から、池田は円環をテーマとした作品に取り組みます。自身の消息を示す図として取り入れたというこのフォルムは、記憶や自然、生命の循環をも想起させます。このシリーズで、池田は自然のなかに自らの手で石や卵などをインスタレーションし、それを撮影した写真をもとに版画として完成させています。写真をもとにしたフォトエッチングを中心とする池田の制作をこうした一連の行為をも含んだものとしてとらえると、その版画作品が情景としてよりもなお深く身体性を備えた表現であるようにも筆者には感じられて、大きな発見でした。




若い世代の表現者たちとともに、池田が2008年より継続して携わっているアートプロジェクト「落石計画」を中心とした文献資料も、当館作家アーカイブより抜粋してご紹介しました。




2013年の作品を並べたコーナー。フォトエッチングを中心に、複数の銅版技法を駆使したその緻密で重層的なイメージ世界は、古くから現代にまで積み重ねられてきた時間、そして自然と一体となった時間の深い奥行きやさまざまな意味を、私たちに問いかけてくれるように感じられます。
なおキャプションとともに添えた短いテキストは、2013年に、カナダ大使館高円宮記念ギャラリーでのカタログ制作資料として作者が記したもの。制作への思念が凝縮したひとつひとつの言葉は版画と響き合い、作品世界の内面に深く触れるための大切な手引きとなったと感じています。




特別展を出たロビーにも1点、以前から当館に収蔵されている1996年の作品《Postscript of absence(不在の再考)》を展示し、池田良二の世界へ誘う道標としました。いつか釧路芸術館にある池田良二作品全14点を一堂にご紹介できれば・・・という夢もふくらんでいます。


この会期中、外出が叶わなかったり、控えられた方も多かったことと想います。ご来場くださった方はもちろん、遠く東京のスタジオKAFUより見守ってくださった池田良二先生をはじめ、お気にかけてくださったすべての皆様に心からの感謝を申しあげたいと思います。(藤原乃里子/当館主任学芸員)


--
■新収蔵展示「時の啓示」 池田良二版画展
□会期:2020(令和2)年5月14日(木)~6月21日(日)〔5月14日(木)~25日(月)は感染症予防対策のため休館し、5月26日(火)よりオープン〕
□会場:北海道立釧路芸術館 フリーアートルーム
□関連事業/ギャラリーツアー
日時:6月14日(日)午後2時~2時30分、案内:当館学芸員

釧路芸術館の感染防止対策の様子について

2020年06月10日 10時30分03秒 | 日記
現在、釧路芸術館では徹底した新型コロナウイルス感染症予防対策を講じ開館しております。
ご来館にあたってのお願いや展示室においてのお願い、当館の感染症防止のとりくみにつきましては当館のHPをご覧ください。
「新北海道スタイル」実施中!
ご理解、ご協力をお願い申し上げます。

さて。
釧路芸術館での感染防止対策の様子をご紹介いたします。

来館されましたら、まずは入口に設置している消毒液で手・指の消毒をし、受付へ。




受付にて。非接触型温度計で検温をいたします。体温が37.5度以上の方の入館はお断りしています。
どうかお体お大事に! 37.5度以下になってから来館くださいね!

次に緊急連絡先に記入をお願いしています。
館内に掲示されているQRコードをスマートフォン等で読み取って登録もできますよ!

混み合う時は床に設置されているマークに従ってお並びください。
ソーシャルディスタンス。大事です!
館内では展示室はもちろんロビーやソファ、閲覧コーナーなど様々な場所で適度な間隔を空けてください。
このようなマークが目印です。








受付や売店では飛沫防止のためにバリアを設置し料金はトレイにて受け渡ししています。




どうぞ皆さま。
マスクを着用し、是非!釧路芸術館へお越しください!!


ももちゃんもマスクを着用中です!





〇北海道・鉄道開業140年 荒川好夫写真展/栗谷川健一ポスター展 7月1日(水)まで開催(要観覧券)
〇「時の啓示」池田良二版画展 6月21日(日)まで開催(観覧無料)
*イベント予定は当館HPをご覧ください。