日々徒然

どこにでもいる(と思う)毒男のごく普通(と思う)の日常

NHKスペシャル「闘うリハビリ」

2008年02月12日 | 気ままな日常
一昨日と昨日に放送されたNHKスペシャル「闘うリハビリ」。何日か前に番組のことを知って、見ようと思っていたのだけど当日になってすっかり忘れてました。
仮面サムライダー君がちょうど昨日の放送直前の時間にブログにコメントをくれ、その番組のことに触れられていて、あぁぁっ!と思い出して、二夜連続放送の2日目の方は見ることができました。
すばらしいタイミングにコメントありがとう。

二夜目は、今まで症状が落ち着くまで安静がそれまでの常識を覆し、脳外科医とリハビリ医が連携して、ICU収容状態からリハビリに取り組む病院の模様を中心とした構成でした。
リハビリ開始が遅れれば遅れるほど廃用状態になっていく(使わない筋肉や心肺機能が衰えていく)ため、とにかく早くリハビリを始めることが肝要で、実際に早期にリハビリを始めると、多くの患者さんが1ヶ月ほどで退院できるようになったそうです。

私が横浜で入院していた病院は小規模な脳外科病院だったので、リハビリ施設はなく療法士も配置されていませんでした。
殆ど寝ている状態から明け、尿チューブが抜かれた入院4日目だか5日目。尿瓶にどうしても排尿することができずに途方に暮れる私。再度尿チューブを挿されるのかなあと思いましたが、車椅子に乗せられてトイレまで連れて行かれました。
ベッドで用を足すことがどうしてもできなかったという要因もありましたが、結果としてそれがリハビリがわりになったようです。
リハビリがない分、看護師さんやヘルパーさんもはトイレ以外にも体拭きなどで自分でできることは極力自分でやらせるようにしてました。
病棟内の移動は基本的にトイレに行くためでしたが、最初はベッドから降りるのに手を借り車椅子を押してもらい、その次は自力で車椅子に乗りひとりでトイレへ、そして歩行器を使い、最終的には自立歩行でと。

そして、テレビは病院を退院して家庭に戻ったリハビリ患者の厳しい現実も。
リハビリ入院中に回復しても、家庭に戻り症状が悪化する例も多いそうで。
これは、自分も今よりこの先がやっぱり不安です。

ある、初老の婦人が取り上げられていました。
ひとり暮らしで、病を患う以前は近所で暮らす息子夫婦と孫に手料理を振る舞うのが、何よりも楽しみたっだそうです。
しかし、退院して家に戻っても半身麻痺の状態は思わしくなく、ふさぎ込む日々。
なんとかすることはできないかと思案する作業療法士さん。事案を病院に持ち帰り話し合って、以前からの楽しみである料理ができるようにならないかということで、まな板に釘を刺し、そこに食材を固定できるようにして、その婦人が今の状態でもなんとか料理ができるように工夫しました。
久しぶりにキッチンに向かった婦人、作った料理はカレーライス。
息子夫婦の家に「カレーができたので食べにいらっしゃい。」と電話をかける表情には、ふさぎ込んでいた面影はなく、喜びに満ちていました。
そして、俺は号泣。

やっぱ、番組中でも言っていたし、サムライダー君もコメントで言っていて、そして自分の実感でもありますが、人を動かすのは目標や意欲だなあと。
自分も、今、また職場に戻りたい、またバイクに乗りたい、またライブを見に行きたいと様々な目標に突き動かされてリハビリやってます。

ただ今回、運良く後遺症が軽く済んだので、先述のような目標も立てられたのですが、もしも、もう仕事は続けられない、バイクにはもう乗ることができないくらいまでしか回復の見込みがないと言われたらどうなってただろう。なにか、目標をたてることができただろうか。いや、きっとふさぎ込んでリハビリなんてやる気も起きなかっただろうな…。
正直、それはそういう状況になんないとわかんないと思う。

終盤で、コメンテーターとして出演した綾戸智絵さんの言葉が心に響きました。
綾戸さんは、母親が脳梗塞を患いリハビリを経て、その後も麻痺が残っているそうです。
家族のリハビリの様子を見てきて、そして母親にリハビリがいつまで続くか問われたときに。
「リハビリは生きている間ずっと続く、生きることがリハビリでもある」そして、「リハビリを終えるときは死ぬとき」というようなことを言ったそうです。
これは目から鱗でした。
自分も、これからはたぶん日常生活には支障はなくとも完全には消えない麻痺と、脳卒中再発の恐怖と一生つきあって行くことになりますが、これまであまりに不摂生すぎ生活を改めることなど全部ひっくるめて、「生きることがリハビリ」を忘れずにいたいと思います。

そうそう、綾戸さんのお母さん、綾戸さんにイタリアに行きたいとせがんでるそうです。
向こうは道がでこぼこで車椅子が倒れてしまうけど、優しいイタリア男たちが手をさしのべてくれると(笑)
いいなあ。この前向きさ。自分も見習おう!

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2 コメント

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Unknown (hassie)
2008-02-12 22:33:55
一昨年亡くなった私の恩師が、「病気も個性のひとつ」ということを言っていました。
恩師は中学時代に筋ジストロフィーを発症して手足が不自由となり、
二十歳までは生きられないとまで言われましたが、その不自由な身体で
生死と向き合い、人と向き合い、自分と向き合い、平凡な言い方ですが
とっても前向きで魅力的な方でした。
手足が不自由だったので、車椅子で出歩くのも大変だったのですが、
誰よりも自由に羽ばたいていたような人でした。

「病気も個性のひとつ」。
この言葉には色々と考えさせられますが、おそらく、「病気になったことで
新たに見えてくるものがあり、それが自分の糧となってそれ以降の人生を
豊かにする」と言うようなことをきっと言いたかったんだと思います。

そりゃあリハビリで完全に元に戻るに越したことはありませんが、
もしかしたら完全には元に戻らないこともあるでしょう。
でも、それは人生全体を俯瞰したときにはきっと、「マイナス」ではなくて
「プラス」になるはず。・・・と思いたいですよね~。
長い人生の中でみたら、喜びも悲しみも、全てが良い経験であると。

ただ、病気になった本人がそういう心境にまで至るのは、かなりの
葛藤と苦悩を経験した後のことでしょう。。。
当事者でない私が言うのはちょっと気が引けるのですが、
恩師の言葉の紹介として書いてみました・・・(^-^;
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Unknown (くら太)
2008-02-13 19:35:48
hassieさん>
自分が突き落とされた場所は、hassieさんの先生と比べてはるかに浅いところだったので、先生よりは浮かびあがってくるのには時間もかからなかったし、あまりもがかずに水面まで戻ってこれました。
だけど、いろいろなことを考えるには十分な時間で先生の言葉やhassieさんも解釈もわかるような気がします。

「マイナス」はたくさんありましたが、「プラス」がない訳じゃない。
今回だって、今だからこれですんだけど発症がこの先何年か遅れていたらもっと取り返しのつかないことになっていたかもしれないし。
結局、どっちに取るかは自分の考え方匙加減次第なんですよね。
ならプラスに思うことにしておきます。
ニンゲンはいつだって、見たいものだけを見ようとする勝手な生き物 by 篠原 なんですから(笑)

先生の足下には及びませんが、先生のように素敵な人生を送れるように頑張ります。
コメントありがとうございました。

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