In the Field/大和国中の大地からエッセイ

奈良に暮らす名もなき人間のつたないブログ

現時点での私たち

2015年10月25日 | To die in vain

 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、透析医療は日進月歩で進化し、そして多くの方の命を今現在も支えています。そして、その透析医療は比較的若い医療つまりはここ数十年で確立され、進化を遂げてきました。

 

▼さかのぼること、その昔日本の透析医療黎明期からしばらく経った1970年代は、透析医療自体も知られず、また透析医療の水準も未熟で、透析を行う機械の絶対数が足りず、45歳以下の慢性腎不全患者しか透析を受けられない時代がありました。当然すべての慢性腎不全が透析を受けられるはずもなく、また患者を支える医療スタッフの養成も遅れ、何より患者自身に高額の医療費負担が圧し掛かったと言われています。

 

▼それから40数年が経過し、今や透析患者は31万人以上を数え、一方その間透析医療は目覚ましい発展をし、医療施設が増え・透析に係わるスタッフは数多く養成され、透析に関する機械および透析膜を始め、透析に関する多岐に亘る医療機器も高度化し、何より先人の血の滲むような努力のおかげで公的医療保険制度の確立によって、私たち慢性腎不全患者は、現在の進んだ透析医療を受けることができます。

 

▼こうした現在の透析医療を受けられるのは、40数年前の透析患者の血の滲むような努力、まさしく命がけの闘いのおかげで、私たち現在透析を受ける者はひとり残らず、若くして亡くなられた方々およびその後バトンを受け継いで生きてこられたすべての方々の献身によってこそ、今の生を享受していることを死ぬまで決して忘れてはならないのです。それは現在透析を受ける私たちの中で、老若男女つまり年齢性別関係なく言えることです。例えば、自分は現役世代ではないとかもう年だからという言い訳は決して言ってはならないのです。

 

▼そのことを肝に命じた上で、一体私たち現在透析患者が、果たして将来のために、つまりは残念ながら将来透析を受けざるを得なくなってしまう人たちへ、今私たち透析患者が出来ることすなわち新たな課題を克服するために、先人の献身と同じように、私たちが出来ることをしていくことが、何より先人への恩返しとなると思います。まずは現在恩恵を享受していることへの感謝いたした上で、新たな課題の克服のためやらなければならないことを進めるのが私たち現在透析を受ける者の使命であると思います。こちらも年齢性別関係なく私たち現在透析を受けている患者すべてひとり残らず、課題に立ち向かう必要があるのです。現在全国透析患者が31万人以上数多くいらっしゃっても、何ら変わらないことです。

 

▼彼らに恥ずかしくない生き方が出来ているでしょうか。また、毎日目標を持って生きているでしょうか。生きがいを持って、人生を楽しんで過ごしているでしょうか。ただ日々命を繋ぐだけの時代はとうに終わりました。彼らの献身に報いるためにも、新たな課題を克服しなければならないのです。そのひとつが私は、献腎移植医療の普及推進であると思いますが、いかがでしょうか。