いとせばき小路なれば、1え歩み隠れず。片そばみて、傘を 垂れかけてゆけば、雑色ども、
とても狭い小路なので、( 1 )。(二人は)道の片側に身を寄せて、傘を斜めにさしかけて行くと、衛門府の役人達が、
A 1 歩いて隠れることができない
「このまかる者ども、しばし まかりとまれ。2かばかり雨もよに、夜中に、ただ二人行くは、 3けしきあり。捕へよ」
そこの通り過ぎる者たち、ちょっと止まれ。( 2 )雨模様に、夜中に、たった二人で行くのは( 3 )。捕まえろ」
A 2 これほど 3 怪しい
と言へば、4わびしくて、しばし歩みとまり て立てれば、火をうち振りて、「人々、足どもいと白し。5 盗人にはあらぬなめり」と言へば、
と言うので、( 4 )、しばらく立ち止まっていると、(たいまつの)火をかざして「この人びとの足はとても白い。( 5 )」と言うと、
A 4 困って 5 盗人ではないようだ
「まことの小盗人は足6白く こそはべらめ」と、行き過ぐるままに、「かく立てるは、なぞ。 居はべれ」とて、
本当の小盗人は足が( 6 )」と(言って)通り過ぎるときに、「このように立っているのは、どうしてだ。座れ」といって、
A 6 白いでしょう
傘をほうほうと打てば、屎のいと多かる上に かがまり居る。
傘をポンポンと打つので、屎がとても多くしてある上にかがんで座る。
また、うちはやりたる人、「7強ひてこの傘をさし隠して顔を隠すは8なぞ」とて、行き過ぐるままに、大傘を 引きかたぶけて、傘につきて屎の上にを居たる。
また、別の気の早い人が、「( 7 )この傘をさし隠して顔を隠すのは( 8 )」といって通り過ぎるときに、大傘を引っ張って傾けてしまい、傘にくっついて屎の上に座り込んだ。
A 7 無理矢理 8 どうしてだ
火をうちふきて、 見て、「指貫着たりける。身貧しき人の、思ふ9女のがり行くに こそ」など、口々に言ひて、おはしぬれば、立ちて、
たいまつの火を吹いて(明るくして)、(二人を)見て「指貫を着ている。身分が貧しい人が、思いを寄せる( 9 )行くのだろう」などと、口々に言って、行ってしまわれたので、(二人は)立って、
A 9 女の所へ
「衛門の督 のおはするなめり。われを嫌疑の者と思ひて10や捕ふると思ひつる にこそ死にたりつれ。われ、足白き盗人とつけたりつるこそ、 11をかしかりつれ」など、ただ二人語らひて、笑ひたまふ。
「衛門の督が参内するのであるようだ。私を怪しい疑いのある者と思って( 10 )
と思うと死にたくなった。私を『足の白い盗人』と名付けたのは( 11 )」などと二人で語り合って、笑いなさる。
A 10 捕まえるのか 11 おもしろかった
「12あはれ、これより13帰りなむ。屎つきにたり。いとくさくて、 行きたらば、14なかなかうとまれなむ」とのたまへば、
( 12 )ここから( 13 )。屎がついてしまった。とてもくさくて、(このまま)行ったなら、( 14 )」とおっしゃるので、
A 12 ああ 13 帰ってしまおう 14 かえって嫌われるだろう
帯刀、笑ふ笑ふ、「かかる雨に、かくておはしましたらば、15御志を思さむ人 は、麝香の香にも嗅ぎなしたてまつりたまひてむ。
帯刀は笑いながら、「このような雨に、こうしていらっしゃったならば、( 15 )を思う人は、麝香の香りにでも嗅ぎもうしあげてくださるでしょう。
A 15 ご愛情
殿はいと遠く なりぬ。ゆく先、いと近し。16なほおはしましなむ」と言へば、
御殿はとても遠くなりました。行く先はとても近い。(16)」と言うので、
A 16 やはりいらっしゃるのがよいでしょう
かばかり17志深きさまにており立ちて、18いたづらにやなさむと19思し て、20おはしぬ。
これだけ深い( 17 )様子で身を入れて、( 18 )と( 19 )、( 20 )。
A 17 愛情 18 無駄にしてよいだろうか 19 お思いになって 20 いらっしゃった
登高 と 石壕吏 の通釈をはやめにブログにのせていだだけるととてもありがたいです。
お願いできますか?よろしくお願いします