熊本の川柳吟社で発表句となる柳誌を発行しているのは、「川柳 ふんえん」(毎月発行)と「壺」(年4回発行)の2つだけです。記録や歴史に残る尊い活動です。このたび編集と印刷所も新たになった「壺」が発行されました。
「壺」 第23,24合併号 (2021.4.10)
発行人 黒川孤遊 / 編集人 井芹陶次郎
「壺」表紙
熊本番傘お茶の間川柳会は2015年4月に熊本市中央区坪井で誕生しました。当地には種田山頭火ゆかりの報恩禅寺があり、その境内には壺型の井戸跡が残っています。それが「坪井」という町名の謂れになっています。
「壺」という誌名は、川柳という「壺」に多くの仲間を集め、明るく楽しく進んでいきたいと願い命名されました。
「壺」は創刊号から、黒川孤遊代表が企画、編集、出版を担っておりましたが、会員も増加し、代表の負担が大きくなったこともあり、7年目を迎えるにあたり、「編集部」を立ち上げました。井芹陶次郎、津下良、中村勝則、清水まち子、草間呱呱の素人ばかりのメンバーながら、手探りの中で何とか23,24合併号を発行することができました。まだまだ反省する点は多々ありますが、今後は、添削指導や会員のエッセイなど掲載し、初心者からベテランまで多くの人に親しまれる「壺」にしたいと思います。 (編集人 陶次郎)
「壺」第23、24合併号〈壺の詩〉自選句から抄出
生き残り組を指折る長電話 森園かな女
群青に皇帝ダリア満ち足りる 清水まち子
旧友と傷なめあって露天風呂 岡田理子
ハイカジよざわわざわわとさとうきび(ハイカジ=南風) 草間呱呱
したたかな的を接待漬けにする 徳永勝馬
春野菜蒔いてレシピは決めている 古閑萬風
一介のネジに徹して無位無官 井芹陶次郎
瘡蓋を撫でて青春呼び戻す 村上哲子
消しゴムの屑にまぎれている誠 黒川孤遊