熊本県川柳研究協議会(熊本川柳研)

県内の川柳団体・個人会員が加入しています

新生なった「壺」が発行されました。

2021-04-11 07:51:36 | 川柳一般

熊本の川柳吟社で発表句となる柳誌を発行しているのは、「川柳 ふんえん」(毎月発行)と「壺」(年4回発行)の2つだけです。記録や歴史に残る尊い活動です。このたび編集と印刷所も新たになった「壺」が発行されました。

「壺」 第23,24合併号 (2021.4.10)

                    発行人 黒川孤遊 / 編集人 井芹陶次郎

 

「壺」表紙

 

熊本番傘お茶の間川柳会は2015年4月に熊本市中央区坪井で誕生しました。当地には種田山頭火ゆかりの報恩禅寺があり、その境内には壺型の井戸跡が残っています。それが「坪井」という町名の謂れになっています。

「壺」という誌名は、川柳という「壺」に多くの仲間を集め、明るく楽しく進んでいきたいと願い命名されました。

「壺」は創刊号から、黒川孤遊代表が企画、編集、出版を担っておりましたが、会員も増加し、代表の負担が大きくなったこともあり、7年目を迎えるにあたり、「編集部」を立ち上げました。井芹陶次郎、津下良、中村勝則、清水まち子、草間呱呱の素人ばかりのメンバーながら、手探りの中で何とか23,24合併号を発行することができました。まだまだ反省する点は多々ありますが、今後は、添削指導や会員のエッセイなど掲載し、初心者からベテランまで多くの人に親しまれる「壺」にしたいと思います。                                                                              (編集人 陶次郎)

  「壺」第23、24合併号〈壺の詩〉自選句から抄出

生き残り組を指折る長電話  森園かな女

群青に皇帝ダリア満ち足りる  清水まち子

旧友と傷なめあって露天風呂  岡田理子

ハイカジよざわわざわわとさとうきび(ハイカジ=南風)  草間呱呱

したたかな的を接待漬けにする  徳永勝馬

春野菜蒔いてレシピは決めている  古閑萬風

一介のネジに徹して無位無官  井芹陶次郎

瘡蓋を撫でて青春呼び戻す  村上哲子

消しゴムの屑にまぎれている誠  黒川孤遊

 


第九回 卑弥呼の里誌上川柳大会 入選句集 届く

2021-04-05 18:29:52 | 句会・大会

 去る4月1日、卑弥呼の里誌上川柳大会の発表誌が届きました。

 今年は795名の投句があったそうです。

 熊本からは、13名のかたが投句なさいました。

 (前回18名、前々回23名)

 コロナの影響で誌上大会が増えたこともあるかもしれません。

 

 

 

 選者のうち、森中惠美子さん、大西泰世さん、樋口由紀子さん、赤松ますみさん、木本朱夏さんが、第一回から。(ホームページより)

初恋抄(1) 卑弥呼の里川柳会の成り立ち2019年4月5日掲載

 

 吟社主幹、各大会の選者、評判の句集の作者も参加され、これだけ多種多様な句が集まる大会で九回も選者をつとめられていることに、川柳好きとして感謝しかありません。

 毎年変わる共選の方々とともに、真島久美子代表の長年に渡る全国武者修行の成果が、この豪華な選者陣であるとも言えるでしょう。

 

 

 

 川柳という名前のとおり、特に大会では、選者によって句が世に出されるという面がありましょう。その意味で、発表誌の「選評」も楽しみのひとつです。

「苦手」 樋口由紀子 選 特選

気の弱い僕はライオン連れ歩く 石橋芳山

の選評に、由紀子さんは「苦手なのは人間のようです」と書いておられます。

 

 樋口由紀子さんの選句眼は、第七回大会の選にも、よくあらわれているのではないかと思います。

https://f8c60196-38ec-4ed8-9716-a9026576bc73.filesusr.com/ugd/e9161e_d1256a07a0104e97a0f29a10887e3691.pdf

 

   

 

 では、印象に残った句を鑑賞してみます。

 

「自由吟」 古谷龍太郎 選 特選

 悪者が桃の匂いをさせて来る 真島久美子

  悪者】に参りました。これが悪タレなら殺伐としてしまいそうです。

 

自由吟」 森中惠美子 選 特選

 会える日をゆっくり待っているみかん 芳賀博子

  【みかん】が「物語って」いますね。

 

「葉」 井上一筒 選 佳作

 道化師の背中ひらくとあふれる葉 斎藤秀雄

  画の龍に点を打つように、最後の最後に【葉】がでてきます。

 

  

 

                                 (莱浮)

 

 


噴煙吟社の吟行③④

2021-04-01 21:01:53 | 川柳一般

噴煙吟社では3月中に6日①、17日②につづいて26日③、29日④と計4回の吟行会が催されました。①②については以前にUPしましたが、今回は③④のご報告です。

めったにお会いできない県内各地の柳人とお会いして嘱目吟(しょくもくぎん)を楽しみました。参加した会員2人の報告です。

ー 川柳ふんえん誌850号記念 玉名天草川柳吟行会 ー に参加して

玉名編

3月26日(金)、玉名市にて開催。主に玉名川柳会会員とふんえん誌編集関係者、それに田原坂川柳会、荒尾川柳会からも加わり、合計26人が参加。蓮華院誕生寺(れんげいんたんじょうじ)本院の南大門から参道を歩き、境内に入り、木造の五重塔を見上げて講堂に入る。ユーモアのある30分の講話を聴いて後、本院内を散策した。「お寺は幸せを願う場所である。食事の後にありがとう、おいしかったと一声を奥様に言えば幸せになる」という言葉が印象に残った。

 

近くのレストランで昼食後、玉名市民会館会議室に移り、吟行句会。吟行中に作った嘱目吟2句と席題「歩く」1句の、計3句を出句した。噴煙吟社編集陣と、玉名周辺会員の交流の場ともなり、最後には玉名の雅子さんのギター伴奏で「バラが咲いた」などを合唱して、盛り上がった。

                                      (報告=浩二)

 

天草編

3月29日(月)、天草市河浦町にて開催。主に天草郡市の噴煙会員とふんえん誌編集関係者、それに若葉川柳会会員も加わり、合計19人が参加。世界文化遺産崎津集落の崎津天主堂キリシタン資料館みなと屋を吟行、南風屋(はえや)で名物杉ようかんを味わった。庄屋の家で行われた絵踏み、将にその場所に協会の祭壇が置かれているという天草の会員のガイドが印象に残った。

2018年に世界遺産登録された、天草・河浦町の崎津天主堂前にて

天主堂から1km程の、富津地区コミュニティセンターの会議室に移り、ご当地旅館の仕出し弁当を食した後、吟行句会。吟行中に作った嘱目吟2句と席題「船」1句の、計3句を出句した。天草の会員とは初めて会えて、親しくなることができた。ラストは天草の新会員錦戸介山さんの尺八演奏を聴き、みんなで「上を向いて歩こう」などを合唱した。

帰路「案山子の里」で休憩したが、すごい数のリアルな案山子であった。 (報告=浩二)

  天草市宮地岳町のかかし村                       

崎津天主堂近くの港では各家から「カケ」といわれる桟橋のようなものが出ていて、ここに舟をつけて荷揚げするそうです。

カケに着く船から獲物頬ゆるむ  友耀

(写真は浩二さんと友耀さんからいただいたものを使用しました。)