熊本県川柳研究協議会(熊本川柳研)

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会員エッセイ

2023-01-26 00:00:01 | 川柳一般

     ✎ 文字 (もじとおん)

常々、表現した短文芸を表出させるときに文字なのか音なのかということに関心をもっていたが、目から鱗のコラムをみつけた。

現代の表出方法はその従来の2つ以外にもあるのではないかという作家がいる。下写真のコラムの〈文字に引っ越した「声」〉というサブタイトルがそのことを端的にあらわしている。メールやラインやSNSの登場とともにコロナ禍が従来の伝達方法だけではなく、文芸における表出方法にも影響を及ぼしているというのだ。

「文字情報の中に声のニュアンスを感じ取る…」「眼が耳の代わりを務める」「感覚器官が交換可能な世界」などとある。これらのセンテンスを真に理解できるのは、SNSに日常的にかかわっているひとに限られるかもしれないが。文字情報に記号や絵文字や字空は含まれるのかどうかもここには書いてはない。

おおかた川柳のことを書いていながら、文末に(歌人)としか書いてないところにも驚く。川柳結社には所属していないとはいえ、昨年は某川柳の大会で選者をしたり、川柳句集を出版したりしているのに。

それにしても、新しい考え方を発信する若い自由な文芸人にうれしくなるのは、もうこの世から片足が浮き始めたからかもしれない。(いわさき楊子)

熊本日日新聞2023.1.23から