女が書いたら女流、男が書いたら男流。こう書いてみると矛盾がわかりやすい。
「川柳スパイラル」第12号で編集人の小池正博氏が明治以降1978年までの主な女性作家を網羅している。その時代の男性の視点で女性をとらえた考え方から女性作家に要求するものがわかる。
「明治・大正・昭和前期まで…中略…「恋愛」「抒情」「情念」などであった。人間の知情意のうち主として「情」に関わる部分であり、理知的な部分は副次的となる。…後略」と小池氏。
記載されている名前だけあげると、
伊藤政女、下山京子(岐陽子)、三笠しづ子、井上信子(井上剣花坊の妻)、井上鶴子、吉田茂子、近藤十四子、片岡ひろ子、長谷川時雨、時実新子、林ふじを、福島真澄、飯尾マサ子。
これ以上人形らしくなり切れず 三笠しづ子
機械的愛撫のなんと正確な 林ふじを
窓の長さは一秒間だ 鳥の影 福島真澄
さて私たちがみないなくなってから、現在活躍している女性川柳家たちはどのように描かれるだろう。たぶんとりたてて女性だからとして描かれることは考えられない。つぎのように小池氏は締めている。
「ジェンダー論から現代川柳が本格的に論じられるようになるのはこれからのことである。」
(いわさき楊子)
(コガネグモ 楊子撮影)