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YANO-BEAR

テディベアの瞳に魅せられて二十数年、今もチクチク産み出しています。紅真子の部屋とテディズマンションを統合してスタートです

ベア物語(ベアとの出会いから、ベア誕生、そして・・・)

2019年08月07日 | テディベア
ベア物語1(熊のぬいぐるみとの出会い)
 私が初めて買った熊の縫いぐるみは、息子が挫折して落ち込んでいるときでした。
彼が、底から這い上がろうともがいている時、親としてただ見守るしかなっかった。そんな時、買い物途中で立ち寄ったお店で、知的障害を持った方達が、社会で一生懸命頑張っていらっしゃる姿をみて、痛切に我が子にも頑張って欲しいと思い、そのお店の小さな熊のぬいぐるみを買って帰り、息子の机の上におきました。
それから数ヶ月後「お母さん、もうこの熊いいよ、大丈夫だから」といって熊ちゃんは私の手元に帰ってきました。

ベア物語2(テディベア第一号)
 最初につくったベアは、友人の本に載っていた中野ひろみちさんの、赤いベアでした。
その赤い熊が気になって、「コレが作りたい!」と直ぐにその気になりました。その時は作り方が難かしい事もわからず、ただ作りたいの一心で作りました。今考えると、始めての人には無理なベアだったと思います。
目はゆるく、綿詰めもゆるく写真のベアとは全然違うベアになりました。これが第一号のベアです。
 それから沢山の本を見ては、自分なりに勉強しました。可愛いベアができるようにと。
そしてベアの歴史、逸話、価値についても興味を持ちました。そのなかで出会った「アルフォンゾ」というベアがとても気に入りました。ロシアの皇女のベアで、「アルフォンゾ」という名前の赤いくまです。

ベア物語3(モヘアの魅力)
 何体か作っていくうちに、やはりモヘアで作りたくなりました。アンゴラ山羊の毛で毛足の長い、ふわふわのモヘアです。田舎に住んでいますから、材料も通販でしか手に入りませんでした。
始めて作ったモヘアのベアは嬉しかったですね。あの手触り、やわらかさ、光沢、それにとっても縫いやすいんです。
もうそれからは殆どがモヘアのです。材料の多くが輸入物でしたから、値段も高く結構お金がかかります。専業主婦としましては旦那様には感謝の気持ちでいっぱいです。
 よい材料でしっかりと作られたベアは、値段も高くなりますが、それゆえ大切にされ百年も長生きするのだと思います。

ベア物語4(顔が命)
 ベアを作るにあたって一番大切に思っているのは、顔を作る事です。
最初から目はここ、鼻は・・・なんて殆ど決めていません。頭ができ、耳がつき、顔の凹凸ができ、鼻の位置が決まり、目の位置がほぼ決まったら、これからベアとの会話が始まります。目の大きさ、色、位置、「これでいい?どう?」とベアと相談しながら進めます。こうして目がつくと、もうその目で語りかけてきます。「はやく完成させて!」と。
確かに、顔ができると嬉しくなり、早く完成させたい!と思うのです。ですから後は楽にでき上がります。教室の生徒さんにも、「頭から作りましょう、早くできますよ!」とすすめています。
 そういうわけで、同じ型紙でも全く同じ顔のベアはいません。比較的個性的なベアが多いいと思います。また、私の気持ちが反映されるのか、暗い気持ちの時には悲しそうな子ができるので、なるべく楽しい気持ちで作る様に心がけています。

ベア物語5(この子でいいの?)
 始めての作品展では、北は北海道、東京、横浜、大阪、広島、鳥取、島根と可愛い子たちは、旅立って行きました。
自分では自信があったベアが我が家に残り、不出来と思っていた子が気に入られ、「この子でいいんですか?」と思わずたずねたら「この子がいいんです!」と言われ、人の好みは様々だと感じました。きっと、そのベアがウインクしたのかもしれませんね。(yoshiko-bear1です)  その子は、それから友達を沢山紹介してくれました。こうして作品展をきっかけに、多くの方と知り合い、益々ベアとの係りが深くなって行きました。


ベア物語6(ベアが取持つ縁)
 作品展の開催中にあの「鳥取西部地震」がありました。
ちょうど広島から来られたBさんと、揺れる会場でテーブルにつかまり、肩を寄せ合っていました。怖かったですね、忘れる事ができないできない日になりました。
 最終日に遠路母娘で来てくださったKさん。不登校で家でベア作りを続けている中学生の女の子です。作品展からお付き合いが始まりました。度々我が家にも遊びに来てくれて、ベアの話になると母子ほど違う年齢差も関係なく、無口だった彼女がだんだんと明るい顔で話してくれるようになりました。そして出来あがるベアの顔も変化していきました。
彼女は今年成人式を迎えました、今でも時々笑顔を見せに来てくれます。
 そして、ベア教室での出会いも大切なものです。ベアを作る事で出会いが始まった人達、小学生、OL,主婦、老人、身障者の方、男性・・・・。時には学園祭で使う人形を作ることになったりと、枝葉は伸びて行きました。
 また、ベアをもっと多くの人に見て欲しくて作ったHP上で知り合った人達。声をかけあってお友達になった日本各地の方。これもひとつのベアつながりだと思います。
こうしてベアが取り持つ縁は、より良い方向に広がって行きました。

ベア物語7(願いは叶うもの)
  作品が増えてくると、それを飾るスペースが欲しくなります。狭い団地の部屋に飾れる数はわずかで、だんだん箱入り熊が増えていきました。そのベアを見るたび「ああ、沢山飾れるくま部屋が欲しいなあ・・」、「ベア工房が持ちたいなあ」と夢見るようになりました。そうして引越しを機に中古住宅を購入し、その一室を念願の「くま部屋」に、なんと「ベア工房」ができたのです。ベア好きな方に作品をもとめていただくようになり、それで材料を購入し、またベア作りが続けられる。  好きな事を、夢見て、続ける事・・・願いは叶うものなんですね。
最初に読んだベアの本の一節「ベアは幸運と出会いを運んでくる・・」を単純に信じて数年経ち、それを実感しつつある私は、これからもずっとベアと係わって行くのだろうと思っています。
ベア物語8(ベアのもたらす癒し)
 最近病院では、入院中の子供達に癒し効果があるということで「テディベア」が注目されています。心を癒すことにより、病気の回復にも効果があるのだそうです。
 そういえば、自分の心の癒しの為に、ベアをもとめてくださる方が多いように感じます。
きっと大人も子供も癒されたい心は同じなんですよね。
でも、私の作ったベアで一番癒されているのは、きっと私自身かもしれません。

ベア物語9(10年目)
1996年頃からベアを製作しはじめて10年目の2006年に、何か記念になる行事をと考えていた時に、ベア情報誌に掲載されていたイベントに参加しました。大阪のヒルトンイーストや、東京の自由が丘というお洒落な会場で、我が家のベアが多くの方の目に留まるチャンスに恵まれました。ベア作家の方との交流もありました。
また行動を起こすきっかけや自信にも繋がりました。
 この頃から、 ようやく「自分のベアの顔」らしいものが定まってきたように感じます。
難しい注文や作品にもチャレンジして見たい、意欲というか出来る自信のようなものを感じ始めました。

HPでの出会いから、友人の輪がすこしづつ広がっていきました。顔も知らない遠方のネットフレンドの方からベアの注文も頂くようになり、出会いの大切さを実感しました。
 その一つが、一度に10体のベアの注文を頂いた時のことなんです。参加していたネット句会の先生にお礼として差し上げたベアをご覧になって、お父さまの米寿のお祝いの際の記念品としてお父さまのイメージでベアを10体注文されたんです。お誕生ベアやブライダルベアは聞いていましたが、子供達それぞれに父の面影、思い出を共有して欲しいという想いに、なんて素敵なアイデアだろうと感動しました。今まで1体多くて2体しか同じベアは作らないと・・いや作れないと思っていましたが、是非にと喜んでお受けしました。
 初めに見本のベアの顔をモデルに1個2個とテーブルの上にベアの頭が増えていく、10個のベアの頭が転がり私を見つめたり天井を見たり、お互いにお喋りでもはじめそうな雰囲気が漂い・・・ああ、これがくまやさんの作業台だ!などと笑いながら作業したりしました。納入期日があったのでボディの縫製は腕の良い助っ人を頼みました。
 見本のお爺さんベアは工房で今もにこやかに座っています。お客様にお爺さんベアの経緯をお話しすると皆さんが感動されます。親を、いつまでも忘れない・・・感謝・・・傍に感じていたい・・・そんな想いでベアを贈る・・・。素敵ですね。 

見本のお爺さんベアは、工房のお客様に微笑みながら語りかけました・・・そして仲間のお爺さんやお婆さんベアを誕生させました。2009年には、亡くなったお爺さんの遺品で帽子とジャケットを着たお洒落なお爺さんベアも誕生しました。このベアは家族に愛された証であるように、いつもご自宅の床の間でロッキングチェアに座りご家族に微笑みかけているそうです。  親から子供へのプレゼントベアのご依頼が一番多くあります。バースデーベア・クリスマスプレゼント・ブライダルベア等です。子の幸せを祈って贈る親心・・・皆さん同じ想いで贈られます。
 私にも孫が誕生しました、可愛い女の子です。この子が母になり婆になる頃には私はもういません。その未来に私の想いが「孫を愛した想い」が存在したら嬉しい・・・なんて考えてベアを贈りました。
 工房のイベントベア(ジャンボサイズ)は、お客様や通学の子供たちが喜んでくれたら良いなと言う想いで作っています。
工房玄関やイベント会場で見かけたときはハグしてあげてくださいね。

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1 コメント

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Unknown (kumako33)
2019-08-08 17:26:01
テディズマンションから引っ越しました。こちらでも応援よろしくお願いします。
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