銀座のG8で「葛西薫 1968」を観ました。
1968は、葛西さんがグラフィックデザイナーを目指して上京した年で、40年にわたる足跡を辿る貴重な
展覧会でした。
上京して最初は、印刷会社でチラシなどを作りながらデザイナーへの道を模索していたそうです。
作品を見ていて、やはりこの方はデザイナーになったことで人生が開けたのだと思いました。
サンアドへ就職されてからは華々しい活躍が続いていますが、一つ一つの仕事を丁寧にされてきた方だから
きっとチャンスを手に出来たのだと、そう感じさせてくれる作品ばかりでした。
「手を動かすといいことが待っていた」
私も頭だけ使うよりもやはり、手を使う作業がそういえば好きだなぁ、と葛西さんの言葉を見て思い出し
ました。そして同じことを続けてきた人というのは、やはりすごいなぁと思います。
歴代のサントリーウーロン茶CMのファイルが閲覧できて、ラフ案ややりとりされたFAXなども手に取ることが
でき、こんな貴重な資料をと思いながら、葛西さんの温かい人柄を感じることができました。
原稿用紙に丁寧に書かれた「中性脂肪に告ぐ」の自筆文章も、出稿媒体によって少しづつ変えていたり、一字一
字、日本語をとても大切にされているところにもプロの仕事を見させてもらえました。
G8ともう1カ所でも開催されていて、夜の銀座の街を目にしながら足早で向かいました。
この広告もそうだったのかぁ、と過去の作品をじっくりと見ながら感慨深い時間を過ごしました。
「united arrows」や「虎屋」の広告、映画「風花」のフライヤーなども置かれていました。
記念に冊子を購入しました。
葛西さんのヒストリー本と言える一冊だと思います。生い立ちのことから今日に至る広告の仕事のことまでとて
も丁寧に書かれていて、非常に興味深い内容です。
広告の世界に少々嫌気を感じていた自分だったので、この展覧会はとても意義があったと思います。
朝食は自らキッチンに立たれて、奥様、お母さまの分も作られるという葛西さん、日常生活も大切にされている
そうです。