用例採集を文献からという訓練を受けて来て文学作品に偏ったこと、それはまた文字記録に及ぶ、ということをよく知るから、その言語現象を特例とするには資料の全体を眺めることになるので、そこに使われる状況を判断する癖がついている。万葉集の冒頭歌に日本語の使い方を見るときも、それは伝承歌であると、題詞の時代と背景を検討する。400年もの時代背景という文学、、その歌は、実は歌い込まれてきているので、さかのぼっていつ頃の言語であるかを考え合わせる。万葉集の時代は150年ぐらいの時代をとらえ、それも、すぐに読めない万葉仮名の訓詁は漢字使用の工夫を解き明かす時代のこととなる。写本の成立と収集、訓の定着と日本語の歴史になる。
山跡乃國者、と詠う、この表記で、明治の国学者はとんでもない解釈を言語にほどこしている。