うたかたの恋

公園の並木道
青空には舞い散る雲
柔らかな秋の陽射しが心に差し込めば
瞳にまぶしいあなたの笑顔

好きってそっと囁いて
両手であなたを抱き寄せるのに
あなたは私の手をすり抜けて
私の声は空を切る

分かっている
これはうたかたの恋
手にした瞬間に泡のように消えてゆく

分かっている
これはうたかたの恋
触れ合った瞬間に波のように引いてゆく

分かっていても
分かっていても
愛さずにはいられなかった

つかんだ瞬間に泡として流れていく
運命を知りつつも
あなたに抱かれてみたかった


行かないで
消えないで
はかない夢だと知ってはいるけれど
もう少し
もう少しだけ
甘い幸せに酔っていたい

わがままな炎

ものわかりのいい振りをして
優しそうな微笑みを浮かべて
何もかも受け入れるかのように
柔らかい声であなたを包み込むけれど

ゆっくりと心の中で目覚めてゆく
醜い気持ちがとぐろを巻く
彼女に向けられたあなたの笑顔が
瞳に突き刺さる、黒い炎が燃え上がる

笑いかけないで　他の人に
話しかけないで　そんな楽しそうに
見つめないで　彼女のことを
優しくしないで　私以外の人に

黒い言葉が胸からあふれ出し
涙のように炎が流れ出す
愚かだと分かりきっていても
泣きながらあなたを責めたくなる

笑いかけて　私だけに
話をして　私だけに
見つめていて　私だけを
優しくして　私だけに

この黒い炎は愛じゃない
でも愛から生まれたの
このわがままは愛じゃない
でも愛から生まれたの

消したくて消えなくて
炎は燃え広がってゆく
形を変え姿を変え
いつしか愛をも呑み込んでゆく

一度きりの恋

何度も人を好きになり
何度も別れを繰り返す
消えてゆく甘い想い出と
さよならの痛みにもいつしか慣れて

でもあなたと出逢った瞬間に
周りの景色が変わったの
モノトーンな破片が割れ
世界が光に揺れて周り出す

この出逢いは人生にただ一度きり
初めて同じ瞳をもつ人に出逢った
この恋は人生にただ一度きり
初めて誰かを狂おしく求めた

好きと嫌いは理屈じゃない
まるでパズルのラストピースのように
私の心の空洞を埋めることのできる
あなただけが知っていた秘密の呪文

この偶然は人生にただ一度きり
視線交わした瞬間に世界が彩られた
この恋は人生にただ一度きり
愛に死ねると本気で思った


この想いは人生にただ一度きり
運命を糸で手繰り寄せるように
この恋は人生にただ一度きり
一歩ずつ心があなたに近付いてゆく

この気持ちは人生にただ一度きり
同じ痛みに泣いた人だから
この恋は人生にただ一度きり
涙も微笑みもきっとあなたとなら

向日葵

好きだよと優しく囁いては
頬に唇寄せるあなた

太陽の光を浴びた向日葵のように
あなたに吸い込まれてゆく
私の心

あなたの言葉が私を変える
あなたの好みの女になりたくて
あなたの存在が私を変える
あなたに似合う女になりたくて

太陽を目掛けて咲き誇る向日葵のように
あなただけを追いかける
私の心

ざぶん！

突然大きな波に襲われて
ざぶん！
音をたてて恋に堕ちた

波にのまれたまま
流されて流されて
気付けば岸からこんなにも遠い

岸辺に向けて泳ぎだした瞬間に
ざぶん！
そのまま気が遠くなる

そこは深い恋の海
波に抗う術もなく
戻れない帰れないこの海から抜け出せない

自分の夢だけで固めていた
安全な世界が今はただ遠く
迫り来るのはただ不安の波

ざぶん！

さぶん！