この日は特別。
自分達のお小遣いを小さな首からかける財布に入れて、やりたいゲームを物色。

おそらく残りがいくらで、あと何回ゲームが出来るかなど判っていないだろう。
と、思いつつも無くなってしまうお金の儚さを知るのも勉強…!?と何もいわずに見守っていると、申し合わせたかのように交互にお金を入れながら二人で仲良く遊んでいる。
いっくんも気の乗らないゲームでもこいちゃんに「お金入れたげる」といわれると断わる気にならないらしく、ずっと二人でうろうろ。


二人とも上着を脱ぎ捨てて夢中でゲームを楽しんだ。
いっくんのお金が150円になった頃「やっぱりいっくんは玩具がほしい」と伴侶と二人で玩具を探しに行った。
その間にもこいちゃんは残った小銭を握り締めて次なるゲームを探す。
こいちゃんがやりたがったのはコインゲーム。
100円で15枚のコインが出てくる、このお得な気持ちになれる要素も梢のツボにはまったようである。

そんな様子を観察しつつ、こいちゃんも何とかコツをつかみ、上手にコインを落とし始めた。
私もやりたくなり、大量のコインを落とすことが出来たが、片っ端からこいちゃんに持っていかれて、あっというまにバケツは空に…。
一番初めにこのゲームをしたときに、なくなっていくコインを泣きそうな顔で使って、ぐずぐず言っていたこいちゃんを説得することにした。
「コインはどんなに沢山貯めても持って帰れないんだよ、お金に交換することも出来ないよ」とこいちゃんに教えると「え?そうなの?」と驚き、始めのときと違ってしょげ返ることもなくコインを使い切ってゲームセンターを後にした。
換金しようとでも思っていたのだろうか…。
あまりにものめりこまれたら困ってしまうのだが、こいちゃんは帰宅してからも、しばらく「たのしかったねぇ」と思い出しているようであった。