ビジネス本・自己啓発本☆読書日記

元気が出たビジネス本・自己啓発本を読んだ感想をまとめます!

「なぜフランスでは子どもが増えるのか フランス女性のライフスタイル」(著:中島さおり)

2010年11月12日 | 日記
少子化対策。大いに興味あり。
なぜ、フランスでは子どもが増えるのか
素朴な疑問をもっていました。

同氏の著書
「パリの女は産んでいる〈恋愛大国フランス〉に子どもが増えた理由」
でも勉強になる話がたくさんありましたが、
本書でも、参考になる話が多くありました。

フランスで
子どもを産み育てやすい社会的制度が充実しているということは
言うまでもありませんが、
このような社会的制度のほかに、
特に女性が働きながら子育てができる環境として、
保育ママやベビーシッターなど
有償で他人に子どもを預けられる環境が整っていることが挙げられていました。

これだけなら、「やっぱりフランスは進んでいるのか」となりますが、
これで終わりではありません。

実はこの「他人に預けられる環境が整っている」というのは、
フランスではあまり子どもを大切にしなかった歴史からきているとのことは
大変興味深い話でした。

昔フランスでは、ある程度の階級の女性は子育てより社交が大切とされていました。
そうなると子どもの面倒見る乳母の需要が増えます。
そこで子供を生まれたばかりの子を里子に出し、
母乳が出るうちに乳母をして働くことで収入を得ていた「乳母産業」が発展しました。
フランスで他人に子どもを預けられる環境が整っていることは
このような歴史からきているという側面もあるのです。

日本はこのような背景とは大きく異なり、
昔から自分の子供は自分で育て、
子どもを大切にしてきた文化や歴史があります。
もちろん今のフランスの親は子どもを大切にしていますが、
今後「少子化対策」についてフランスの事例を参考にするときは、
日本とは少し事情が異なることを
少しだけ念頭においたほうがいいのかなと思いました。

また、子どもが増える要因として
結婚に縛られない男女のあり方が社会的に認められているということも、
本書では挙げらていました。

恋愛大国フランス、とも言われるくらいだから、
さぞかし恋愛結婚の先進国かと思いきや、
恋愛結婚の歴史はそんなに古くはないそうです。
昔フランスでは、結婚はあくまでも制度的なものとされ、
夫婦に愛があっては恥ずかしいとまでされていたようです。
(だから不倫文化も進んだわけですが・・・)

そんな時代背景もあり、現在においても恋愛イコール結婚とはならないようです。
今では「パスク」という、一方的に関係を解消できる制度をもとに
多くのカップルが成立しているそうです。
結婚ほどの高いハードルを越えることなく多くの男女のカップルが成立
→多くのカップルが同棲→子どもが誕生
となるわけですね。納得。

著者はこのような制度を日本にも取り入れることを提唱されていますが、
私はこれに疑問を感じます。
やはり婚姻関係を法的に結んだ方が
社会的にも精神的にも家族というものは安定するのではないかと
信じてやみませんが、
もしかしたら私がまだまだ世間を知らないだけかもしれません。

以上、
本書においてはフランスの女性と日本の女性の置かれている環境の違いに
改めて気づかされるわけですが、
日本の少子化対策を考えるにあたり、
全てフランスの環境や制度を導入することは
懸命ではないということにも気づかされます。
日本の置かれている環境、歴史的背景なども考慮に入れた上で、
あらためてどのような対策を講じるべきかを考えていくことが先決です。

しかし、すぐさま少子化対策だけが先決の社会問題とは思いません。
結婚に至るまでの雇用情勢の改善や、
たとえ正社員でなくても安心して結婚ができる社会保障のあり方など、
日本の社会をよくするために考えていくべき社会問題はまだまだ山積みです。

社会問題よりも私個人の問題としては、
長引いている風邪を治すことと
たまっている仕事を日々こなしていくことが先決ですが・・・