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センター試験古文 第九回補充

2008年12月08日 | センター試験古文
みなさん、こんにちは。
二学期の授業お疲れさまでした。
第九回の重要単語と問題の解説をアップしておきます。参考にしてくださいね。

まず3行目。
「語らふ」は重要単語です。模試にも出ていましたね。
これは「①交際する ②相談する ③仲間に引き入れる」
ここでは①の意味で使われています。

次に5行目。
「ねもごろなり」は「ねむごろなり(懇ろなり)」と同じ。
形容動詞で「熱心だ・親切だ」という意味。

7行目の「ここら」にも注意してください。
「ここら」は「そこら」と並んで、「たくさん・たいそう」という意味。
「ここだ」「そこだ」という形もあります。

11行目。
「しかすがに」は奈良時代のことばで、「そうはいうものの」。

13行目。
「ながむ(詠む)」は「詩歌をよむ」。
内容的には「詩歌を作る」という意味と、「詩歌を朗詠する」という意味があります。
ここは「詩歌を作る。

17行目の歌。
「雲路はるか」は「雲居はるか」ともいい、「はるか遠く」という意味です。平安時代の恋文によく使われました。「雲居はるか

」なあなた、というように。
 「雁のたより」は熟語です。「手紙」という意味。中国では、手紙は雁がもってくるもの、という伝説がありました。ですから

、漢文では手紙のことを「雁書」といい、日本では「雁のたより」ということがあるわけです。
 
18行目「とへば」の「とふ」も気をつけてください。「訪ふ」と書いて、「訪ねる・見舞う」という意味で使います。

21行目「まみゆ(見ゆ)」は漢文でおなじみですね。目上の人に「お目にかかる・お会いする」という意味です。

24行目「心の闇」は、「①分別を失うこと ②子を思う親心」という意味の熟語。②の意味が重要ですが、ここでも②の意味で

使われています。
「人の親」は「親」という意味です。さほど重要というわけでもありませんが、念のため。

最後の行、26行目の「えやは~」は、「どうして~できようか。いや~できない」という意味で、反語の意をあらわします。
また、「かかる」が掛詞になっていることにも注意してください。これは、「懸かる(=涙がかかる)」と「斯かる(=こんな)

」との掛詞。「・・・涙のわが袖にかかるなさけをえやは忘れむ」で、「・・・涙が私の袖にかかる、こんな情けをどうして忘れることができようか、いやできない」と訳します。


次に問題。

問一

(ア)は「いざ」が「さあ~(しよう)」であることに注意してください。
これで①と④に絞れます。
次に「異方」が「他の場所」という意味であることに気をつけること。
「方」に「場所」の意味があることは、「とりかへばや物語」で勉強ずみです。
「いざ異方へ」で「さあ、他の場所に行こう」。
正解は④ですね。

(イ)は「なづさふ」が重要単語。
これは「①水につかる ②慣れ親しむ」という意味。
正解は②になります。

(ウ)は「からに」という接続助詞に気をつけて!
これは「~ために・~ゆえに」と訳し、原因や理由をあらわします。
「わがからに」で「(徴兵されて九州に行く)私のために」。
「九州に」と補えるのは、「注」に「防人」と書いてあるからです。


問三

これは簡単。
まず句切れに気をつけること。

「行く旅を めぐりも帰れ。 この里の 馴れしわがやを 住処とはして」

と考えます。
二句切れの歌。
「帰れ」が命令形なので、そこで文が切れていると考えるわけですね。

すると、選択肢の③はアウト。
③の「帰って来て、」にご注目ください。
句切れだから、ここで文を切らないといけないのに、③だけは切らないで訳しています。
他の選択肢は、ここでみんな切れているでしょう?!

次に「帰れ」という命令形に着目。
「帰ってくれ」という命令のいいかたは「帰ってほしい」という願望に言いかえ可能だと思います。
「がんばれ」っていうのは、「がんばってほしい」ということでしょう?
「うかれ」っていうのは、「うかってほしい」ということ。
だから、「帰れ」は「帰って来てほしい」と意訳してもいい。
②と④はここを「帰って来ることになろう」と推量にしています。
命令形を推量にするのは無理。
そこで、次に②と④をカットします。

最後に「住処とはして」に着目。
これは「住処とは思ひて」と同じこと。
「して」の「し」はサ変ですが、サ変というのは、よく「思ふ」のかわりに使われます。
現代でもそうでしょう?
「それを自分の義務として・・・」というのは、「それを自分の義務と思って」というのと同じこと。
だから「住処とはして」も「住処とは思ひて」になるわけです。
正解は①。
⑤は「住処とはして」を「住処なのだから」にしています。
そこがまずい!


問四

まず「思ひ」が動詞「思ふ」の連用形。
名詞じゃありませんね。
だから①と④は論外。

次に「らむ」。
これは現在推量ではありません。
現在推量なら終止形接続。
「たまへらむ」だから、「らむ」の上に終止形が来ているとはいえません。
「たまふらむ」なら「たまふ」が終止形だから、「らむ」は現在推量と考えてもいいけど・・・。
これで③と⑥をカット。

「ェ段音+ら」は、「ら」が完了の助動詞「り」の未然形でしたね。
一学期に勉強ずみ。
ここは「たまへ(e)らむ」ですから、「ら」が完了の「り」だと考えられます。
「り」の上は、サ変の未然形と四段の已然形がくる。
これも「りか、さみしい」というゴロ合わせで、一学期に勉強ずみ。
完了の「り」の上に下二段なんか来るはずがないから、⑤はダメです。
⑤は「たまへ」を下二段と書いてあるでしょう?!
それで正解は②にします。

問五

テキスト100ページの現代語訳をご参照ください。


問六

本文の内容と合致しないものを選ぶ問題ですね。

2行目にご注目。
「五月雨の晴れなむ頃ほひ」は「梅雨の晴れるころ」という意味。
なのに、選択肢の①は「梅雨に入ったので」と書いてあります。
だから①が誤り。

もう一つは、5~6行目が根拠。
5行目で、可児永通が「あが宿に、たびごろもうらぶれ休めよ」(私の家で、旅衣をぬいでお休みください)と提案しています。
それを受けて、6行目で、作者が「いざ、ひと日ふつかもありなむ」(さあ、それでは一日か二日泊めてもらおう)と思うわけです。
このやりとりを見ると、作者は最初から「可児永通の家に滞在するつもりでこの里へ来た」わけではないことがわかります。
だから③は誤り。