芭蕉(1644-1694) 「初雪や いつ大仏の柱立」
奈良の大仏殿は、奈良時代に完成後、平重衡の南都焼討で焼失、鎌倉時代に再建されたが、
戦国時代の戦さで再び焼失した。
江戸時代半ばに再建されるまで、100年以上もの間、大仏様は風雨にさらされていたそうです。
芭蕉が奈良を訪れ、この俳句を詠んだのは元禄2年(1689年)、殿舎が完成し落慶法要が行われたのは宝永6年(1709年)。
この時完成した殿舎が現在も残っています。
写真は、大仏池から望んだ大仏殿(2011年2月撮影)。 現在、大仏様はこの中に おわします。
「勅なれば いともかしこし うぐひすの 宿はと問はば いかが答へむ」
「鶯宿梅」の故事は、古来、様々に伝えられているが、「大鏡」では、平安中期の村上天皇(在位946-967)の
時代のこととしている。 村上天皇は、摂関を置かずに親政をしき、「天暦の治」と称された。
この「鶯宿梅」の故事は、村上天皇の「親しみやすく優雅で寛容であった(大鏡)」とされるお人柄を伺い知る逸話。
大鏡での記述は以下のとおり。
和歌の大意は、 勅命であるので、この梅の木はさしあげますが、いつも来る鶯が自分の宿はどこへ? と聞いたときには、なんと答えたら良いかしら・・・、 という感じでしょうか。
「あまえおはしましける」 の 「あまえ」は、「はにかむ」 「きまりわるがる」の意味。
黄梅は梅ではなく、モクセイ科のジャスミンの仲間。 英名はウインタージャスミン。
春に先駆けて咲くので、中国での正式名は「迎春花」です。
写真は、奈良 月ヶ瀬で撮影
*主な参考資料
新潮日本古典集成 「芭蕉句集」
小学館 日本古典文学全集 「大鏡」
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