喫茶店ではテーブルに向かって裕子とタムタムが話している。
「今日 聡美さんは?」
「聡美さんですか? 私は約束してないと思いますけど でもこの頃物忘れひどくてもしかしたら」
いきなりタムタムは立ち上がって言った。「そうか 今日はエープリルフールだった」 喫茶店の中をこっそり見ていた28番が聡美がいるところに戻って
「田村さんが今日はエープリルフールだとおっしゃってましたよ」
「あぁ 4月馬鹿なんて忘れてたわ だけどスタッフさん」
「ハイ」
「こんなことを聞いていいかどうか分からないけど」
「なんでもどうぞ」
「そう じゃあ聞くけど あなたはもしいい人だなと思う人が出来たら友だちも連れて会って
「ああ~ そういうことはよくありました」
「だけど 結局友だちに取られちゃう」
「どうしてわかるんですか!?」
「私は友だちを連れて行かない」
「どうしてですか?」
裕子とタムタムは相変わらず喫茶店で会話している。まぁ タムタムはなんでもよく知っているので裕子はもっぱら聞き役。
「へぇ エープリールフールって元々インドの仏教徒なんですか?」
「そう 仏教徒が座禅の修行を終えた4月1日を揶揄節と呼んで からかいの行事をおこなったっんです」
「へぇ 聡美さんにも教えたい」
「彼女こそ何でも知ってますよ そうだ 今日はギリシャ国旗の色合い青と白で出かけなくちゃいけないんで
「エー 忘れてました」
「後で一緒に出かけましょう いいですか?」
「ハイ 嬉しいです」
裕子のあふれる笑顔。タムタムと喫茶店を出て行った。
友だちを連れて行かないと言った聡美に
「どうしてですか?」
と聞いた28番に聡美は答えた。
「私には友だちがいなかったから だけどこの船に乗って初めて裕子さんという友だちが出来た なのに裏切ってしまったわ」
「そんな」
でも聡美さんはギリシャ国旗の色合いで田村さんを誘うつもりだっ