リィちゃんが亡くなってもう三年になります。リィちゃんはペットシッター先の子でした。山の中の村に住んでいて時々シッターに行っていました。
三年前の冬にリィちゃんは熊に襲われて亡くなったのでしたね。
玄関先に長い長いくさりでつないでありましたが、ある夜に熊が村におりてきて、うろついていたのでした。
飼い主さんはとてもこわかった、と言っていました。
一生懸命リィちゃんを呼んで家の中にいれようとしたんですが、リィちゃんは家の方に自分が行くと熊を呼び寄せてしまうと思ったらしく、勇敢にもワンワンほえながらくさりの届く範囲で懸命に山の方へ熊を行かせようとしたようです。
朝、倒れているリィちゃんを急いで病院につれていきましたが、助からなかったのです。
飼い主さんはリィちゃんは私の子どもでした、と言います。あんなに甘えん坊だったのに…と今でも話してくれます。いつのまにか飼い主さんの年齢を追い越し守ってくれていたんですね。
村の人たちがリィちゃんにみんなお花を持ってきてくれたそうです。立派なワンちゃんでした。
