みなさ~ん、お元気ですか?
ちと忙しくて、赤岳レポが中断してましたが、やっと最終回UPです。
赤岳は私にとって憧れの雪山。
いろいろな雪山を登り、ステップアップしてきました。
2010年に初めて雪の赤岳に登頂★ 昨冬の雪山登山の中で最大の喜びでした。
厳冬期の雪山は難易度も大きく変化し、昨年登れたからといって今年も登れる…なんて保障どこにもありません。
ということで、
この日も状況次第では、いつでも引き返すことを念頭に、
極寒の山麓歩き → 地蔵尾根の急登を経て、赤岳に一歩一歩近づいていきました。
天候は◎
風も昨年より強くないし、あとは登山道の状況が気がかりです。
山頂からは文三郎尾根を下りたいけど決して無理はしないこと。
頂上まで登ることが登山ではない。
無事に下山するまでが登山なんだ。
子供の頃、似たようなこと、言われませんでした?
遠足や修学旅行で学校に戻ってから必ず言われたこと。
家に帰るまでが遠足(旅行)です。気を付けて帰りましょう! …と。
無事に下るまでは安心できないよ。
しかし、この後ヒヤッとすることが起きたのです。
しかも2回も!
今回は2回のヒヤリ事件を書いたので、レポがとても長いです。 スミマセンm( _ _ )m
地蔵の頭に着きました。ここは相変わらず風の通り道。
去年登った時ほどではないけど、やはり風は強い。
そしてここは初めて富士山を眺められる場所でもあります。
うひゃ~~いい天気だぁ。
展望荘まで風圧を感じながら稜線を歩き…
エビフライとご対面。
青空に映えて、美しいです。
この日、展望荘は期間限定で営業中。
ここから山頂までの急な登りに備えて、体力補給するにちょうどよいですね。
※厳冬期は原則休業
しっかし風が強いな―― 想定内の風でしたが…
展望荘付近は、とにかく風が強い。
雪煙がすごいので、目指す赤岳が見えなくなることもあるほどです。
気を引き締めて、いざ出発!
凍ってる部分もありました。
アイゼンワークをしっかりと。
振り向くと、おおぉ~!
八ヶ岳がぜ~んぶ見えるよ――!
スッキリ爽快な青空は、初めて登った天狗岳のときに似ていた。
あの時はもっと風が強かったな。
この写真を撮ったときは不思議と風が弱まっていて、さっきの強風が嘘のよう。
でも時折、強風が吹きつけるので、こんな下りも慎重に。
なんという大展望 \( ^o^ )/
今日は本当に最高の登山日和だ。
遠くの山々が見えるのって、なんでこんなに嬉しいんでしょう。。
北アルプス、後立山連峰、遠く群馬の山々も!
赤城山や谷川岳方面の山々も見えていたけど、残念ながら山座同定まではできなかった(^^;)
写真中の縞枯山は北横岳が正解かもしれません…
南横岳の奥深くにある山々をズームでキャッチ。
奥多摩・秩父の山々はよく分からず…
両神山だけなんとか。。(^^;)
北アルプス きれいです。
ここから見る富士山、好きです。 (^▽^)/
小さく見えるけど、富士山はやはり絵になります。
山頂はもうすぐ!
最後の尾根を慎重に通過し…
無事に登頂!!
山頂のエビフライ… (゜o゜;) ハッ
今気づいたけど、エビフライじゃなくて、エビの尻尾って言ってますよね。ふつー (ー ー;)
名古屋人こまちは、エビの尻尾ではなく、エビフライとインプットしてました。 ヾ(;´▽`A``
今日はどこをどう見ても、展望抜群です!
阿弥陀岳はどっしりと風格があり、かっこいい d(⌒ー⌒) グッ!!
御嶽山、乗鞍岳、諏訪湖…
地蔵尾根から見えた景色が、山頂に来ても健在です。
好天が維持されている証拠ですね。
風を避けて、岩場の陰で体力補給です。行動食むしゃむしゃ。
さて下山開始!
オッと!
ここまではヒヤッとすることはなかったのです。
…とすると?
まさかの下りで?? (((( ;゜Д゜))))ガクガクブルブル
滑落事故の多くは下りで起きています。
赤岳の下りもまた然り。最後まで気が抜けないのです。
こんなところで落ちたら…
考えるだけでゾッとします (;゜д゜)
凍ってる箇所もありました。
踏み跡が二手に分かれています。
いづれは合流するのでしょうが、どちらを辿ればよいか、慎重に足を運びたいところです。
気が抜けない下りを下り終えて、少しホッとしたところを振り返って撮りました。
実はこの下りで、ヒヤッとしたことがあったのです。
●1回目のヒヤリ
私たちは下山中でしたが、もちろんここを登ってくる人達もいました。
私とすれ違いざまに登って行った男性が、私が下りたルートとは別の道?を登り始めたのです。
あれ? この人、どこを登っていくつもりなんだろう?
雪山初心者の私には、他の登山者すべてが自分より経験者にみえます。
この男性は私が下りてきたルートに気付いていて敢えて別のルートを登り始めたのか?
それとも、全く気付かず登り始めたのか?
男性が登ろうとするところは、登りやすいとは思えません。
でも踏み跡らしきものもあります。ここを登った人が他にもいたような?
俺はここを登るくらい平気だよ。なんていう心の声があったりして。
私は声をかけようか迷いました。
「そこより、こっちの方が登りやすいですよー。」と。
もし分かっていてそこを選んだのなら余計なおせっかい。
もし、知らずに登り始めたのなら教えるべきだ…。
そうこうしてるうちに、男性は岩を掴み、急な岩と雪のミックスをよじ登り始めた。
すると、「そこ違いますよ―――」
別の人の声がした。
それでもまだ気付かない。男性はさらに一歩、また一歩登り、次の一手を岩にかけた。
「違いますよ――。」何度も声がかけられたが、その男性は気付かなかった。 風で聞こえなかったのかも?
その男性にはもう一人同行者がいたようで、遅れてきた同行者がその声に気付き、「オーイ。違う。そっちじゃない!」と叫んだ。
すると男性は、聞き覚えのある声に反応したのか、「ん?」と上体を90度ひねり、声のする方を振り返った。
男性は、自分が登り始めた場所が違うと気づいたようで、そこを下ろうとしたのだが…
急な岩場にかけた足はするりと雪面から外れ、あっという間にバランスを崩してしまった。
「 アイゼン刺して――!前爪!前爪を刺して――! 」 アドバイスが飛び交う。
アイゼンを雪面に刺すことができず、もがいている。足はバタバタ。必死で岩にしがみついている状態だった。
男性の苦しそうな声がした。体勢が限界に近づいていた。
次の瞬間、男性の身体は岩場から離れ、雪面を滑り始めたのです。
数メートル?5メートルか?
幸いにも滑り落ちた方向は、登山道が緩くなった方だったので、同行者の男性が落ちてきた男性を受け止めました。
もし、少しでも落ちる方向がズレていたら…絶壁です (;゜д゜)
静止した男性は、うつぶせ状態。
傾斜は緩くても、手や足が滑って、うまく立ち上がれません。
同行者の 「(止めているから)大丈夫だ。」 という声とともにようやく立つことができました。
目の前で起きた出来事が大事に至らなかったとはいえ、怖くて心臓がバクバクしてました。
そして何もできなかった自分がそこにいました。
一応滑り止めはしていましたが
胸のざわめきを抑え、落ち着きを取り戻したら、下山再開です。
怖かったなー(><)
アイゼン(前爪)を刺すことは容易そうに見えたけど、本人にとっては厳しい状況だったんだ。
実際にあの場に立たされてみないと分からない。斜面は見た目とは全然違うんだ。
視界も狭かっただろうし、怖かったんだろうな。。あの人。。
そんなことを考えながら…。
難所は通過したといっても、まだまだ下りは気が抜けません。
文三郎尾根はふきっさらし。地蔵尾根に比べて樹林帯までの道のりが長いです。
アイゼンを引っかけるミスは、滑落にもつながります。
といいつつ、阿弥陀岳の雄姿にうっとり。
私にはまだまだ遠い存在。憧れの憧れです。
頂に人が見える。
一体、どこをどう登っていくのでしょう。。ヾ( ̄0 ̄;ノ スゴォー
南アルプス方面も展望抜群です。
主稜線を登るクライマーが見えます。
すっごいところを登っていくんですね。。ヾ( ̄0 ̄;ノ オー
ちなみに、○と○の間はロープで繋がれています。
稜線や硫黄岳がどんどん目線より上になっていきます。
あ~あ~もう下っちゃうのか。。名残惜しいなぁ。
難所を通過して少し気が緩んでいたのか、2回目のヒヤリが起きてしまったのです。
今度は自分自身に…。
●2回目のヒヤリ
写真中、1・2・3と番号が付いているのは登山者です。
おそらく、たぶん、3の地点だと思いますが、
私は、青色の矢印の方へ行くべきところを、黄色の矢印の方へ、谷へ落ちかけました。
この日、登りは順調でした。
しかし、実は、山頂から下り始めた途端、左足に違和感を感じたのです。
あれ?なんだろう?
そのときは変な感じがする という程度でしたが、下るにつれ、その違和感は痛みに変わっていきました。
気が付くと、左足の上りが悪い。
引きずるほどではないけど、右足に比べて足が上がりにくくなっていました。
そして問題の地点。
よりにもよって、登山道が鋭角に曲がるポイントで、足上げ不足で蹴躓いてしまったのです。
あまりにも一瞬の出来事で、何が起きたのか…?スパッツにアイゼンを引っかけたのか?
転んだ瞬間を必死に思い出して書いています。 ★原因は足上げ不足が濃厚
キャッ
バランスを崩し、そのバランスを立て直そうとしたところ、身体は後傾になり、尻餅をつきました。
しかし、その場でピタッと停止せず、ズリッと谷に向かって身体が動きました。
と、止まらん!!(><)!!
もはや、“キャッ” なんて声ではなく、悲鳴に近い声に変わっていました。
ピッケルを持っていない方の手は何かを掴もうともがき、肝心のピッケルは…作動せず
目の前に迫る、滑り台のような谷
もうあと50センチ止まるのが遅かったら…、そのまま谷に落ちていた。
怖かった。とにかく怖かった゜。(≧Д≦) 。゜
滑った距離が長いわけではなく、蹴躓いた地点が谷寸前でした。
視界に飛び込んできたのは、
吸い込まれそうな深い谷、雪の急斜面、そして樹木のみ。
しかも すごいスピードでその視界が迫ってきた。
愕然としました。 ガクガク((( ;゜Д゜)))ブルブル
岩は見えなかったから、もし落ちても…即死ではないだろう。
けど、それでも、ただでは済まないはず。
転がったらどこまで落ちていくか分からない。
樹木に当たって全身打撲、あるいは、雪に足が埋まり骨折、首だって折れるかも…
身体が無事でも、這い上がることができず、力尽きて疲労凍死…
うわ――――((( ;゜Д゜)))
想像するだけでも生きた心地がしない。
動きの悪い左足、思うように下れない。
だんだん痛みが増してきた(><)
雪が柔らかくて、アイゼンの効きが悪い箇所もあり、時間がかかる。
阿弥陀岳から下ってきた登山者と合流。 振り返ると、赤岳だけがスポットライトを浴びたように輝いていた。
よかった~。行者小屋までもうすぐだ。
行者小屋に着くと、ホッとした。 視界に飛び込んできたあの谷が脳裏に焼き付いて離れない。
美濃戸まで残り2時間
もう危険なところはないし、急でもないから、大丈夫だ。
たくさんの登山者が登っていく。連休は入山者が多いな~。
明日の天候はどうなるかな? と思いをはせて、赤岳にお別れをします。
大丈夫だと たかをくくっていたらなんのことない。。
美濃戸までの緩い道
この緩い道でさえ、左足が痛い。
初めて痛くなった左足外側、下りに発症した初めての痛み。
思えば、登り始めるときにすでに左膝が痛くて、それをかばうように登っていたなぁ…
やっとの思いで美濃戸に到着し、温泉で足をほぐしたのですが、
刻々と足の具合が悪くなっていき、階段はおろか、車に乗るのも痛くなってしまい、引きずるように帰途につきました。
後日、腸脛靭帯炎と診断され、山に行けない、階段が下りられない、苦痛の日々が始まるのでした。
今回の出来事を踏まえ、改めて考えさせられました。
滑落は天候不良時や凍結時にだけ起きるものではない。
快晴で登山日和、条件が良い登山道だって、危険と隣り合わせ。
そんな当然のことを、雪山に入る度に必ず念頭に入れていたのに、
それでも事は起きてしまった。
頭に入れてても、身体の隅々までその意識で満たさないと取り返しのつかないことになってしまう。
雪山の恐ろしさを身をもって感じたのです。
今後に生かしていきたいと思いました。
長い長いレポとなりました。最後まで読んでいただきありがとうございました。
< 完 >
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ちと忙しくて、赤岳レポが中断してましたが、やっと最終回UPです。
赤岳は私にとって憧れの雪山。
いろいろな雪山を登り、ステップアップしてきました。
2010年に初めて雪の赤岳に登頂★ 昨冬の雪山登山の中で最大の喜びでした。
厳冬期の雪山は難易度も大きく変化し、昨年登れたからといって今年も登れる…なんて保障どこにもありません。
ということで、
この日も状況次第では、いつでも引き返すことを念頭に、
極寒の山麓歩き → 地蔵尾根の急登を経て、赤岳に一歩一歩近づいていきました。
天候は◎
風も昨年より強くないし、あとは登山道の状況が気がかりです。
山頂からは文三郎尾根を下りたいけど決して無理はしないこと。
頂上まで登ることが登山ではない。
無事に下山するまでが登山なんだ。
子供の頃、似たようなこと、言われませんでした?
遠足や修学旅行で学校に戻ってから必ず言われたこと。
家に帰るまでが遠足(旅行)です。気を付けて帰りましょう! …と。
無事に下るまでは安心できないよ。
しかし、この後ヒヤッとすることが起きたのです。
しかも2回も!
今回は2回のヒヤリ事件を書いたので、レポがとても長いです。 スミマセンm( _ _ )m
地蔵の頭に着きました。ここは相変わらず風の通り道。
去年登った時ほどではないけど、やはり風は強い。
そしてここは初めて富士山を眺められる場所でもあります。
うひゃ~~いい天気だぁ。
展望荘まで風圧を感じながら稜線を歩き…
エビフライとご対面。
青空に映えて、美しいです。
この日、展望荘は期間限定で営業中。
ここから山頂までの急な登りに備えて、体力補給するにちょうどよいですね。
※厳冬期は原則休業
しっかし風が強いな―― 想定内の風でしたが…
展望荘付近は、とにかく風が強い。
雪煙がすごいので、目指す赤岳が見えなくなることもあるほどです。
気を引き締めて、いざ出発!
凍ってる部分もありました。
アイゼンワークをしっかりと。
振り向くと、おおぉ~!
八ヶ岳がぜ~んぶ見えるよ――!
スッキリ爽快な青空は、初めて登った天狗岳のときに似ていた。
あの時はもっと風が強かったな。
この写真を撮ったときは不思議と風が弱まっていて、さっきの強風が嘘のよう。
でも時折、強風が吹きつけるので、こんな下りも慎重に。
なんという大展望 \( ^o^ )/
今日は本当に最高の登山日和だ。
遠くの山々が見えるのって、なんでこんなに嬉しいんでしょう。。
北アルプス、後立山連峰、遠く群馬の山々も!
赤城山や谷川岳方面の山々も見えていたけど、残念ながら山座同定まではできなかった(^^;)
写真中の縞枯山は北横岳が正解かもしれません…
南横岳の奥深くにある山々をズームでキャッチ。
奥多摩・秩父の山々はよく分からず…
両神山だけなんとか。。(^^;)
北アルプス きれいです。
ここから見る富士山、好きです。 (^▽^)/
小さく見えるけど、富士山はやはり絵になります。
山頂はもうすぐ!
最後の尾根を慎重に通過し…
無事に登頂!!
山頂のエビフライ… (゜o゜;) ハッ
今気づいたけど、エビフライじゃなくて、エビの尻尾って言ってますよね。ふつー (ー ー;)
名古屋人こまちは、エビの尻尾ではなく、エビフライとインプットしてました。 ヾ(;´▽`A``
今日はどこをどう見ても、展望抜群です!
阿弥陀岳はどっしりと風格があり、かっこいい d(⌒ー⌒) グッ!!
御嶽山、乗鞍岳、諏訪湖…
地蔵尾根から見えた景色が、山頂に来ても健在です。
好天が維持されている証拠ですね。
風を避けて、岩場の陰で体力補給です。行動食むしゃむしゃ。
さて下山開始!
オッと!
ここまではヒヤッとすることはなかったのです。
…とすると?
まさかの下りで?? (((( ;゜Д゜))))ガクガクブルブル
滑落事故の多くは下りで起きています。
赤岳の下りもまた然り。最後まで気が抜けないのです。
こんなところで落ちたら…
考えるだけでゾッとします (;゜д゜)
凍ってる箇所もありました。
踏み跡が二手に分かれています。
いづれは合流するのでしょうが、どちらを辿ればよいか、慎重に足を運びたいところです。
気が抜けない下りを下り終えて、少しホッとしたところを振り返って撮りました。
実はこの下りで、ヒヤッとしたことがあったのです。
●1回目のヒヤリ
私たちは下山中でしたが、もちろんここを登ってくる人達もいました。
私とすれ違いざまに登って行った男性が、私が下りたルートとは別の道?を登り始めたのです。
あれ? この人、どこを登っていくつもりなんだろう?
雪山初心者の私には、他の登山者すべてが自分より経験者にみえます。
この男性は私が下りてきたルートに気付いていて敢えて別のルートを登り始めたのか?
それとも、全く気付かず登り始めたのか?
男性が登ろうとするところは、登りやすいとは思えません。
でも踏み跡らしきものもあります。ここを登った人が他にもいたような?
俺はここを登るくらい平気だよ。なんていう心の声があったりして。
私は声をかけようか迷いました。
「そこより、こっちの方が登りやすいですよー。」と。
もし分かっていてそこを選んだのなら余計なおせっかい。
もし、知らずに登り始めたのなら教えるべきだ…。
そうこうしてるうちに、男性は岩を掴み、急な岩と雪のミックスをよじ登り始めた。
すると、「そこ違いますよ―――」
別の人の声がした。
それでもまだ気付かない。男性はさらに一歩、また一歩登り、次の一手を岩にかけた。
「違いますよ――。」何度も声がかけられたが、その男性は気付かなかった。 風で聞こえなかったのかも?
その男性にはもう一人同行者がいたようで、遅れてきた同行者がその声に気付き、「オーイ。違う。そっちじゃない!」と叫んだ。
すると男性は、聞き覚えのある声に反応したのか、「ん?」と上体を90度ひねり、声のする方を振り返った。
男性は、自分が登り始めた場所が違うと気づいたようで、そこを下ろうとしたのだが…
急な岩場にかけた足はするりと雪面から外れ、あっという間にバランスを崩してしまった。
「 アイゼン刺して――!前爪!前爪を刺して――! 」 アドバイスが飛び交う。
アイゼンを雪面に刺すことができず、もがいている。足はバタバタ。必死で岩にしがみついている状態だった。
男性の苦しそうな声がした。体勢が限界に近づいていた。
次の瞬間、男性の身体は岩場から離れ、雪面を滑り始めたのです。
数メートル?5メートルか?
幸いにも滑り落ちた方向は、登山道が緩くなった方だったので、同行者の男性が落ちてきた男性を受け止めました。
もし、少しでも落ちる方向がズレていたら…絶壁です (;゜д゜)
静止した男性は、うつぶせ状態。
傾斜は緩くても、手や足が滑って、うまく立ち上がれません。
同行者の 「(止めているから)大丈夫だ。」 という声とともにようやく立つことができました。
目の前で起きた出来事が大事に至らなかったとはいえ、怖くて心臓がバクバクしてました。
そして何もできなかった自分がそこにいました。
一応滑り止めはしていましたが
胸のざわめきを抑え、落ち着きを取り戻したら、下山再開です。
怖かったなー(><)
アイゼン(前爪)を刺すことは容易そうに見えたけど、本人にとっては厳しい状況だったんだ。
実際にあの場に立たされてみないと分からない。斜面は見た目とは全然違うんだ。
視界も狭かっただろうし、怖かったんだろうな。。あの人。。
そんなことを考えながら…。
難所は通過したといっても、まだまだ下りは気が抜けません。
文三郎尾根はふきっさらし。地蔵尾根に比べて樹林帯までの道のりが長いです。
アイゼンを引っかけるミスは、滑落にもつながります。
といいつつ、阿弥陀岳の雄姿にうっとり。
私にはまだまだ遠い存在。憧れの憧れです。
頂に人が見える。
一体、どこをどう登っていくのでしょう。。ヾ( ̄0 ̄;ノ スゴォー
南アルプス方面も展望抜群です。
主稜線を登るクライマーが見えます。
すっごいところを登っていくんですね。。ヾ( ̄0 ̄;ノ オー
ちなみに、○と○の間はロープで繋がれています。
稜線や硫黄岳がどんどん目線より上になっていきます。
あ~あ~もう下っちゃうのか。。名残惜しいなぁ。
難所を通過して少し気が緩んでいたのか、2回目のヒヤリが起きてしまったのです。
今度は自分自身に…。
●2回目のヒヤリ
写真中、1・2・3と番号が付いているのは登山者です。
おそらく、たぶん、3の地点だと思いますが、
私は、青色の矢印の方へ行くべきところを、黄色の矢印の方へ、谷へ落ちかけました。
この日、登りは順調でした。
しかし、実は、山頂から下り始めた途端、左足に違和感を感じたのです。
あれ?なんだろう?
そのときは変な感じがする という程度でしたが、下るにつれ、その違和感は痛みに変わっていきました。
気が付くと、左足の上りが悪い。
引きずるほどではないけど、右足に比べて足が上がりにくくなっていました。
そして問題の地点。
よりにもよって、登山道が鋭角に曲がるポイントで、足上げ不足で蹴躓いてしまったのです。
あまりにも一瞬の出来事で、何が起きたのか…?スパッツにアイゼンを引っかけたのか?
転んだ瞬間を必死に思い出して書いています。 ★原因は足上げ不足が濃厚
キャッ
バランスを崩し、そのバランスを立て直そうとしたところ、身体は後傾になり、尻餅をつきました。
しかし、その場でピタッと停止せず、ズリッと谷に向かって身体が動きました。
と、止まらん!!(><)!!
もはや、“キャッ” なんて声ではなく、悲鳴に近い声に変わっていました。
ピッケルを持っていない方の手は何かを掴もうともがき、肝心のピッケルは…作動せず
目の前に迫る、滑り台のような谷
もうあと50センチ止まるのが遅かったら…、そのまま谷に落ちていた。
怖かった。とにかく怖かった゜。(≧Д≦) 。゜
滑った距離が長いわけではなく、蹴躓いた地点が谷寸前でした。
視界に飛び込んできたのは、
吸い込まれそうな深い谷、雪の急斜面、そして樹木のみ。
しかも すごいスピードでその視界が迫ってきた。
愕然としました。 ガクガク((( ;゜Д゜)))ブルブル
岩は見えなかったから、もし落ちても…即死ではないだろう。
けど、それでも、ただでは済まないはず。
転がったらどこまで落ちていくか分からない。
樹木に当たって全身打撲、あるいは、雪に足が埋まり骨折、首だって折れるかも…
身体が無事でも、這い上がることができず、力尽きて疲労凍死…
うわ――――((( ;゜Д゜)))
想像するだけでも生きた心地がしない。
動きの悪い左足、思うように下れない。
だんだん痛みが増してきた(><)
雪が柔らかくて、アイゼンの効きが悪い箇所もあり、時間がかかる。
阿弥陀岳から下ってきた登山者と合流。 振り返ると、赤岳だけがスポットライトを浴びたように輝いていた。
よかった~。行者小屋までもうすぐだ。
行者小屋に着くと、ホッとした。 視界に飛び込んできたあの谷が脳裏に焼き付いて離れない。
美濃戸まで残り2時間
もう危険なところはないし、急でもないから、大丈夫だ。
たくさんの登山者が登っていく。連休は入山者が多いな~。
明日の天候はどうなるかな? と思いをはせて、赤岳にお別れをします。
大丈夫だと たかをくくっていたらなんのことない。。
美濃戸までの緩い道
この緩い道でさえ、左足が痛い。
初めて痛くなった左足外側、下りに発症した初めての痛み。
思えば、登り始めるときにすでに左膝が痛くて、それをかばうように登っていたなぁ…
やっとの思いで美濃戸に到着し、温泉で足をほぐしたのですが、
刻々と足の具合が悪くなっていき、階段はおろか、車に乗るのも痛くなってしまい、引きずるように帰途につきました。
後日、腸脛靭帯炎と診断され、山に行けない、階段が下りられない、苦痛の日々が始まるのでした。
今回の出来事を踏まえ、改めて考えさせられました。
滑落は天候不良時や凍結時にだけ起きるものではない。
快晴で登山日和、条件が良い登山道だって、危険と隣り合わせ。
そんな当然のことを、雪山に入る度に必ず念頭に入れていたのに、
それでも事は起きてしまった。
頭に入れてても、身体の隅々までその意識で満たさないと取り返しのつかないことになってしまう。
雪山の恐ろしさを身をもって感じたのです。
今後に生かしていきたいと思いました。
長い長いレポとなりました。最後まで読んでいただきありがとうございました。
< 完 >
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硬い雪&氷は傾斜が緩くてもとにかく止まりませんから、まずはピッケルの刃をとにかく刺す事ですね。
何はともあれご無事で何より。後で思い返す程にゾォ~っとなるんですよね。
体調や寒さなんかで集中力が途切れると事故の可能性は高まりますよね、少しでもリスクを減らすにはまずはそこから。
足の痛みはまだ酷いですが?
今シーズンの雪山は厳しいですかね??回復をお祈りしております。
私も・・・読んでて ゾォ~~~~ッ としちゃいました!><;
ほんっとうにご無事で何よりです!
こまちさんご自身の体験はもちろんですし、
目の前で事故が起こりかけるのも・・・恐怖ですよね。
冬山ではないのですが、昨年仙丈ケ岳に登った時、
北沢峠で「これから鋸岳に行くんです」というおじさまと話をしまして。
でも・・・後日、その日に単独男性が鋸岳で滑落して亡くなったというニュースを聞いて・・・
もしかしてその方ではないのかもしれないけど、年齢もそのぐらいだったし・・・
ゾッとしたというか、私たちがキャーキャー言いながら楽しく登ってた向かい側の山でそんなことが起きていたのがショックで。
・・・人様のブログで長々とすみません。
山って危険な所なんだとは頭では分かっていても、実際そういう事が身近にあるとまた意識が変わりますよね・・・。
最後にもう一度、こまちさんが無事で本当に良かったです。
足の怪我、つらいと思いますが、どうかお大事にして下さいね。
こまちさんがご無事で本当に良かったです。
山は危険な所だと頭でわかっていても、こういう事が実際に起こるとまた意識も変わりますよね・・・。
私は昨年、南アルプスの某所に行った時、
朝登山口で話をした男性が、その日滑落して亡くなってしまったという・・・
そんな経験をしまして・・・。
(もしかしたらその方じゃなかったかもしれないのですが、その可能性が高いんです)
すごくショックが大きかったです・・・。
悲しいのはもちろんですが、自分も気を緩めちゃいけないと・・・。
足の怪我、つらいと思いますがどうかお大事にして下さいね。
こまちさんの山レポをまた楽しみにしています!
首を長~くして疲れてしまいましたよね。お待たせしてすみません。
蹴躓いた場所、その前後とも、道の状況は良かったんです。
ほんのわずかですが、こんもりと盛り上がっていた上に、左足の上げが足りなくて、擦ってしまったようです。
アイゼン付けると、爪の高さ分、足を高く上げないといけませんよね…
夏の感覚で歩くと、蹴躓いてしまします。
左足の不具合から知らぬうちに”すり足気味”になっていたようです。
疲れている時、焦っている時などミスが起きやすいので集中力は大切ですね。
足は平地を歩いても痛いときがあって、さすがに凹みました。
今はそれはなくなってきたので、快復に向かっていると思います。
思い出すだけでもゾッとします(><)
ショックな出来事があったのですね。。
名前や年齢が分からない人でも、少しでも言葉を交わした人は印象も強く残りますよね。
なおさら悲しくなりますね。
雪山の危険さについて頭には入れていたのですが、頭に入れてるだけではダメだと痛感しました。
怪我がなくてよかったです。。
毎回更新を楽しみにしていますよ。
自分も今シーズンから雪山始めました。
まだ高山には行けていませんが・・・。
私の実家が両神山の東側にありまして、頂上から良く八ヶ岳が見えていましたが、こっちからも良く見えるんですね。(まっ当然か・・・。)
関東方面にいらっしゃった時、何処かで偶然お会い出来るといいですね。
これからも身体を大切に登山頑張りましょう!!
無事で良かったですね。
暫く更新が無かったのはご自分の気持ちの
整理と反省をまとめる時間だったのですかね。
しっかり自己分析も出来ているし大丈夫!
これで山が嫌いになった訳ではないですよね?(^^)
この経験を糧に前向きに考えましょう~!
最後に振り返った赤岳はまたおいでって
言ってたでしょうか?
この文三郎は僕も無雪期でも嫌な場所です。
特に山頂からのヒヤリ一度目の辺りまでは気が抜けませんね。
しかし止まって良かったです、いくら木があっても止まれるとは限りませんしね。
ヒヤリ2のこのあたり、1の上のなだらかなトラバースになって凄く落ち着きますよね。
その後急坂になるけど前を見るとさらになだらかなので遠くを見ちゃって…
って感じですかね?
精神的にも動作的にも歩き方が変わるというアイゼンの注意ポイントという事を
この写真であらためて思い出せました。
またこの後の編み編みの階段がぴっかけそうでメチャゆっくり降りました。
腸脛靭帯炎って僕も昔は良くあって、無理したりCW-Xなどで締め付けるとなりやすくなったりします。
昨年秋の尾瀬ではCW-X脱いで歩いたら痛みが治まったりもしました。
登りは割と平気ですが特に下りの時に痛くないですか?
伸ばせなくなるというか前に出ない感じ…。
そしてひどくなると平地でもすごく痛くなる。
もうこの痛みが来たら下山するか、長時間の休憩入れないと収まらなくなります。
そして痛みが出てくるのを感じるとゆっくり下山するようにしていますよ。
登りより下山ルートを短くして、こうならないように予防策で
ヒザサポーターとストックも必ず使用して下っていますが効き目はあります。
危険は本来危険のあるはずの場所ではなかなか起きないもんなんですよね。
緊張の糸が緩むほんの一瞬、心の隙を縫うようにやってくる。
かといって人間は常に緊張状態を保つ事はできませんから、休憩を入れることで一度心を整理したり、無為に歩き続けずに、立ち止まって深呼吸したりしてメリハリをつけながら心身を正常に保つ作業も必要だと思ってます。
ていうか文三郎、山頂直下の岩場の下りは絶対に膝に違和感を覚えます。
今までに3度歩きましたが、僕も嫁も100%の確率でここを通過するときに膝がおかしくなってる。
多分落差が大きい関係で、膝を広く稼動させなければ通過できないというのが原因だと思います。
ここ、本当に膝に負担かかるので、個人的には文三郎は下りにとりたくないルートです…
しかし腸脛靭帯炎になってしまいましたか…
僕も昨年の6月に甲斐駒で患って以来2ヶ月近くまともに山歩きができなかった苦い思い出のある膝痛です。
原則的にストレッチとマッサージが治療法ですが、僕の場合はテーピングで完治しました。
厳密に言うと僕のは腸脛靭帯炎とは微妙に違っていたのかもしれませんけどねσ(´∀`;)
膝は焦らずゆっくり治してください。僕も発症して何度も再発した時にはもう山に登れないんじゃないかと思いつめたものですが、必ず治ります、大丈夫です。
無理して痛い思いして登っても楽しくありませんから、膝と相談しながら徐々に慣らしていってくださいね。
まずは無事に登頂できて良かったですねv(^^)v
冒頭の写真、太陽の日差しと赤岳の構図がイイ感じです☆
天望荘の上が白く霞んで見え、ひょっとして雪煙!?って思ったら、やっぱりそうだったんだ!!!
文三郎はルンゼ状の急な岩場ですから雪とのミックスも相まって、下りはかなり嫌らしそうですね…
滑落は自身の場合はもちろん、他人のを目撃するだけでも事態が大きいほどトラウマになりそう><
今回は幸い2度とも、大事に至らず良かったですが…
膝を傷めたようですが、今後も永く山を続けていく為にも、焦らずにジックリ治して下さい!
初雪山はボクも天狗でしたよ♪
やはり経験者に連れられて、しらびそ小屋泊でピストン。
中山峠直下のラッセルはキツかったけど、風はそんなでもなかったです。
山頂でも15分ぐらい滞在して、コーヒーでも飲もうか?なんて具合でした^^
でも時期もほぼ同じ(ボクは08.3.15-16)なのに、その後に燕岳、赤岳に行ったこまちさんに比べて、自分は何なんだろ~(^^;)
やっぱ、志の違いかな><
夏山はある程度体力や経験があれば大抵のところは歩けますが、雪山はそれにプラスして技術、精神力、天候、時には運等など、様々な諸条件が良い方に合致しないと安全&快適には登れませんよね。特に初心者の場合は尚更です。
そうそうエビフライ、正確にはエビフリャ~じゃないんですか~(笑)