産婆の気持ち

助産師として活動している中で感じること、日々の生活の中での出来事や思うことを書き綴っていこうと思います。

おっぱいをいくら飲んだか

2008-12-26 23:54:32 | おっぱい
母乳で赤ちゃんを育てているお母さんたちからの心配事としてよく聞かれるのは、「どのくらいの量を飲んでいるのかわからないから足りているのか心配」ということです。
では「どのくらい母乳を飲めていれば安心できるのか」と聞かれると、おそらくミルク缶に書いてあるような日齢ごとのミルク量の目安ということになるのだと思います。

産院などでも授乳の前後で体重を測って哺乳量を確認しているところもあると思いますが、日齢ごとのミルク量を目安に、それに満たない分を補足分のミルク量として与えていることも多いかもしれません。
そんな経験をして、お母さんたちもそのくらい飲めていないと足りないんだと思いこまされてしまうのだと思います。

母乳を飲んだ量を数字で示されると確かにわかりやすく、しっかり量になっていればそれはそれで安心できると思いますが、赤ちゃんがいつもいつも同じように母乳を飲むわけではありません。
ちょっと飲んだだけで眠くなってしまうこともあれば、たくさんの量を飲むこともあります。赤ちゃんは1日を通して自分に必要な量の母乳を飲んでいます。

母乳だけで育っている1ヶ月の頃の赤ちゃんが1日にどのくらいの量の母乳を飲んでいるか調べてみると、700ccくらいなのだそうです。
ミルク缶に書いてあるミルク量を見ると、1ヶ月の赤ちゃんは1回の授乳で120~140ccと書いてあることが多いと思いますが、そうすると1日に1000ccくらい必要ということになります。
母乳とミルクは全く別の物なので、母乳がいくら飲めているかをミルク量と比較するのは意味のないことです。
お母さんによって、赤ちゃんによって、一人一人の母乳は違うと思うし、それぞれのオリジナル、オーダーメイドです。
違うお母さんの母乳を、同じ量の母乳を与えたからといって同じように赤ちゃんが育つかはわかりません。

哺乳量を測ることはお母さんにとってはプレッシャーになり、母乳を出すことに対しては逆効果になってしまいます。
いくら母乳を飲んだかよりも、赤ちゃんが満足するまでおっぱいを吸わせることができているかの方が大事なことです。

粉ミルクとベビーフード

2008-12-15 22:55:27 | おっぱい
赤ちゃんに粉ミルクを与えることが当たり前になっている今の時代です。
赤ちゃんが泣くから、母乳が足りないと思うから、産院でのお土産に粉ミルクをもらったり、店ですぐに粉ミルクを買うことができたりして、手近に粉ミルクがあるから・・・
本当は粉ミルクが必要ではないのに赤ちゃんに粉ミルクを与えているお母さんはたくさんいると思います。

粉ミルクは本当に粉ミルクが必要な赤ちゃんのためにあるべきなのに、そうでない赤ちゃんにも当たり前に人工的な飲み物である粉ミルクを与えています。
当たり前の感覚で粉ミルクを与えることで、赤ちゃんに人工的な物を与えることへの抵抗感をなくされ、疑問を抱くこともなくなってしまうのかもしれない・・・と思います。
離乳食としてベビーフードを与えられている赤ちゃんは、粉ミルクを与えられている赤ちゃんほど多くはないとは思いますが、ベビーフードを与えているお母さんは粉ミルクと同じような感覚で与えているのではないでしょうか。

赤ちゃんの離乳食に限らず、大人の食事も添加物の使われているものを摂ることが多くなっています。
子どもだけでなく、親世代の食育も必要な時代です。
赤ちゃんをまず母乳で育てることは、食育の第一歩だと思います。

おっぱいはふたつだけれど・・・

2008-12-11 23:31:10 | おっぱい
おっぱいはふたつあるので、赤ちゃんに母乳をあげる時も左右両方とも飲ませるのが普通です。
だから、「左右合わせて赤ちゃんに足りるだけの母乳が出る。」「片方だけでは足りない。」と思われがちです。

おっぱいは左右にありますが、まったく対称的に同じではなく、おっぱいの大きさが違ったり、乳首の大きさが違うこともあります。
片方の乳首は普通に出ていて、片方の乳首は陥没している人もいます。
左右の乳首の形が極端に違うと赤ちゃんも吸い付きにくいことが多く、片方のおっぱいしか飲まないし、出ないということになります。

でも、赤ちゃんが片方のおっぱいにしか吸いつかないのなら、生まれてすぐから吸える方のおっぱいを十分に吸わせてさえいれば、片方のおっぱいで十分に赤ちゃんが育つだけの母乳が出るようになります。
双子の赤ちゃんたちが一人のお母さんのおっぱいで作られる母乳で十分に育つことを考えると納得できる話です。
さらに、赤ちゃんが吸わない反対側のおっぱいは、張ることもなくほとんど作られなくなっていきます。

片方のおっぱいしか吸えないから半分はミルクを足さなければいけないと考えるのはただの思い込みで、人の体の適応する力は本当にすごいと思います。

紅葉

2008-12-02 20:47:15 | 日々のできごと
あちらこちらできれいに色づいた銀杏やもみじが見られるようになりました。
今年は、はっきりとした寒さが訪れたこともあってか、葉っぱの色づきがいつもよりきれいに感じます。
ほんのひと時の紅葉の季節ですが、目にするたびに心が洗われるようです。
木々の息吹、生命力を感じます。