越人、蕉翁の門に入りはじめは極めて勤慎なりしに、其性来濃情の人と見えたり。
ある時よからぬ艶聞あり。時々艾少婦(かほよきおんな)なんどの其家に出入せしこともありしかば、師翁其道心の堅固ならざるを怒りて疎遠のすがたになり行きしを、越人大に慙愧して
うらやまし思ひきる時猫の恋
と悔悟の吟を寄せしかば、翁も其慙愧せるを憐みて之を許来の許にをくり、猿蓑集中に載せしめたりといふ。「俳諧百哲伝」
越人=越智越人、肥後熊本藩士だったが致仕す。蕉門十哲の一人。
ある時よからぬ艶聞あり。時々艾少婦(かほよきおんな)なんどの其家に出入せしこともありしかば、師翁其道心の堅固ならざるを怒りて疎遠のすがたになり行きしを、越人大に慙愧して
うらやまし思ひきる時猫の恋
と悔悟の吟を寄せしかば、翁も其慙愧せるを憐みて之を許来の許にをくり、猿蓑集中に載せしめたりといふ。「俳諧百哲伝」
越人=越智越人、肥後熊本藩士だったが致仕す。蕉門十哲の一人。
揶揄したわけですか。そのほうが越人には効き目はありそうですね。芭蕉はえらい。でも芭蕉先生は、やるんなら、もっと徹底してやってみろ! というタイプの上司ではなさそうですね。有難うございました。
先師(芭蕉)、伊賀より此句を書贈て曰、心に俗情あるもの一たび口に不出といふ事なし。かれが風雅是に至りて本情をあらはせりとなり。是より先に越人名四方に高く人のもてはやす発句多し。しかれども爰に至りてはじめて本性を顕すとなり。
芭蕉も彼の色好みを熟知していて、からかっているんでしょうね。
こういうプライベートなことと、本業のことの関係をどう考えるか。いろいろな見方、考え方があります。
樽酒を呑ませてくれる、酒肆ででも話したい話題です。楽しみました。ありがとうございました。