goo blog サービス終了のお知らせ 

お昼寝 子銀

こんにちは、子銀ままです
チンチラシルバー「子銀」と子銀のままのブログです

「扉の国の物語 銀色王子」 毛布

2011年08月14日 05時34分56秒 | 扉の国の物語

2,仁子
   
    嫌だな。
    仁子は、顔を草むらにつっこみながら そう、思っていた。
   
    子猫らしき鳴き声は 、遠く近く、複数聞こえた。
   
    ええい。
    仁子は、戦争映画のように、腹ばいで前進した。
    虫に刺される。
    草で手を切る。
    ちっ。
    仁子は次第に、夢中になって声の方向に向かった。
   
    箱だ。
    靴箱くらいの箱。ふたがしてあったが、カサゴソ小さな音が聞こえてきた。
   
    箱を手にして、しゃがみ込んでも、草は、まだ彼女の半身を、隠していた。
    そのままの姿で、箱のふたを開いた。
   
    茶色の子猫。
    3匹。
   
    もこもこしている。
    目は開いている。
   
「ね、かわいい」
   
    耳元に女性の声を聞き、私は、ぎょっとした。
   
    草むらのすぐそばに、女性がしゃがみ込んでいた。
    長い髪の女性。
    母くらいの女性か。
    きれいでもなく、変凡な印象の薄い、ありきたりの顔。
    ひょろひょろとしたイメージだ。
   
    ただ、目は生き生きと輝いていた。
   
「ミルクをあげましょうよ」
   
「おたくどなた?」
   
    気配すら感じないうちに 隣にいるなんて。
    幽霊?
    彼女は、オレンジ色の毛布を肩にかけていた。
   
「私は、織絵。おーちゃんよ。ね、あなたは、ミルクを持ってきてくれない?子猫たちは、私が守っているわ」
   
    怖くない幽霊?
   
「ああ、そうですか」
   
「ずっと待っているわ」
   
    彼女、織絵は、にこにこほほえんでいた。
   
    はい出ると、外は、夕闇だった。
    もう、闇に近い。
    でも、彼女は、はっきり見えていたのだ。
   
    振り返ると、今はい出てきた、仁子の体分の穴ができている。
   
    帰ろう。
    帰ろう。


 

          にほんブログ村 猫ブログ 猫 親バカへ
にほんブログ村 にほんブログ村 イラストブログ Painterへ
にほんブログ村 にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村


親ブログです

「お暇な子銀」



最新の画像もっと見る