消防や防災・自然災害に関する事がまとめられた興味深いサイトですが、このサイトを「詳しく調べる」>「消防専門知識の提供」とすすんで行くと各種の資料をPDFや一部通常のhtmlで参照できるようになっています。
「火災原因調査」の項を見ると、横浜市営地下鉄や東海道線戸塚駅での電車の床下機器からの発火や相鉄での踏切機器からの出火事例の報告なども閲覧でき鉄道趣味的にも興味深いものですが、私が特に印象深かったのは「特異火災事例」の項目です。
ここには過去の重要な火災事例の報告書が収められており、かの有名な「ホテルニュージャパンの火災」や「1983年8月の名古屋市営地下鉄栄変電所での火災」(栄でそんなことがあったなんて知らなかった・・)などもあり興味をもちビルや宿泊施設火災の事例を閲覧してみました。(色々見ると怖くなって夜寝れなくなりそうなので一部だけですが・・)
読んでいて共通して感じるのは「せっかくの設備が生かされなかった」「最低限度の設備だけしかなかった」「法令の不備」というのもありますが、警報装置の誤報を疑い直ぐに対処をしなかったなど「当事者があの時ああしてればここまでならずに・・」と後悔しているのではないかと思えるような事例があることです。
「事故がおきないように気をつければいい」という人もいます。しかし「誰しも事故を起こしたいとは思っていない。気をつけているけど起きてしまう」という事を感じさせられます。
みなさんは113系時代の横須賀線・総武線を覚えているでしょうか?
113系時代、横須賀線・総武快速線の15両編成は11両と4両を連結する際、必ず貫通幌をつなぎ通り抜け出来る様になっていました。
ところが東海道線は同じ11両と4両の連結で貫通幌を使わず、通り抜け出来ない状態でした。
この違いは子供心に気になり、鉄道趣味人である父親に尋ねたら「東京駅付近の地下線や横須賀線のトンネル内での事故の時に逃げれるようにするためだ」と聞いたように思います。
その後横須賀・総武線はE217系という銀色の新型車が走り始め、11両と4両の連結場所では通り抜けが出来なくなり代わりに非常時に通路を渡す構造になりました。
E217系はその後どんどん増え、平成10年以降に増備された車両からはその正面の非常用の通路とドアはなくなってしまいました。
都心とお台場、臨海副都心を結ぶ「りんかい線」は多くの区間が地下深く、事実上の地下鉄であるのにかかわらず、そこを走る電車には正面の非常口はありません。
平成10年頃、「普通鉄道構造規則」という法令が規制緩和で改正され、トンネル内で車両とトンネルの壁の間に40センチ以上横幅があれば車両正面のドア(貫通路)は省略してもよくなったそうです。
1957年の大阪・御堂筋線の車両火災・1968年の東京・日比谷線の車両火災など過去の教訓を元に強化された法令が規制緩和の波で緩和されたというところでしょうか。
2003年韓国でおきた放火により多くの犠牲者を出した地下鉄火災は日本でも大きく報道され、地下鉄での火災対策・安全確保は大きく注目されました。地下駅を抱える鉄道会社は駅での2方向非常口の確保など今も対策と工事に追われています。
トンネルの内壁と車両の間に、人一人が歩いて逃げられる一定の隙間があればそれで充分といえるのか。
そもそも地下鉄と呼ばれる路線のほとんどは、壁と車両の間に人一人すら歩ける隙間がないような狭いトンネルが用いられ東京都心は言うに及ばず全国の主要都市に存在し、日々多くの人がそこを通過しています。
もし日本の地下路線で韓国でおきた地下鉄火災のような事故がおきたら・・・。「日本ではあり得ない」と言い切るのはとても非現実的な事です。
もしラッシュで混雑する地下鉄が駅と駅の間を走っている時に事故がおきたら・・・・
事故が起きて多くの犠牲が出てから問題点に気がついても遅いのではないでしょうか?
***
私のサイトと相互リンクしている漣みさきさんのブログにこの件で興味深い記事があります。
*安全に対する法の縛り(2006年4月21日)の中で東京消防庁の方の講演が紹介されています。
(以下引用)
「消防法による取り決めは、いわば最低限の範囲。」
「とり決めにある事を守るのは当たり前ですが、これを守ると言うのはスタートラインに立ったに過ぎない。」
「法はいわば骨格・・・骨です。各社がどのように肉付けするかが大切である。」
「あなたの会社は法の他に、どのような安全管理を示すのか」
「顧客へ・従業員へ・近隣住人へ・国民へ。」
「法を守ると言う最低限の範囲で行くのならそれもいでしょう。」
「しかし目の前の製品は貴方の会社もモノであり、その先には『あなたの会社の大切なお客様』がいる。」
「我々は火が出たら消します。我々はそれで失うものはありません。」
「万が一の事故で大切な自社設備・顧客を失うのは貴方の会社です。」
(引用終了)
オリンピックなどスポーツの競技会では「参加することに意義がある」という言葉を聞きます。
しかし、安全管理において「スタートラインには立てたけどビリ集団の企業」というのは意義があるのでしょうか?
起こるか分らない事故のために、コストダウンと称して安全対策を疎かにするという企業判断。
どの会社がどういう企業判断をしようと勝手かもしれません。しかしいざという時にその犠牲になるのは誰なのか?我々一般の利用者ではないのでしょうか?
「ビリ集団の企業」には用はありません。とっとと自主的に棄権して退場することを望みます。
我々が求めるべきものは「トップ集団の企業」であるべきです。
****
2006/7/27 1:14UP
記述の一部に日本語版ウィキペディアを参照しました。
コメント一覧
みさき
Tac
きよぴ@その3
きよぴ@その2
きよぴ
風林火山
みさき@新宿サザン口
つか
Tac
Tac
Tac
みさき
最近の「鉄道関係のその他の話題(railway)」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
- 買い物(shopping)(222)
- モリゾー・キッコロ・ラブ(morizo & kiccro)(66)
- ヤマトンと大和市の話題(yamaton & yamato city)(101)
- おでかけ・旅行記(travel diary)(593)
- 小田急線+御殿場線+箱根高速バス(182)
- 鉄道関係のその他の話題(railway)(215)
- スマートフォン・携帯電話の話題(mobile phone)(127)
- その他の話題(食べ物etc) others(604)
- 香港・シンガポール(旅行)関連の話(hongkong/singapore)(132)
- 台湾(旅行)関連の話(taiwan)(81)
- ☆きよきよぴ日記(from mobile phone)(599)
- 富士急湘南バス(34)
- きよぴ岐阜鉄道(8)
- 絢香(ayaka)(15)
- 大塚愛(岩槻玲・LOVE含む) ai otsuka(48)
- ケアベア(carebears)(20)
- 園芸関連の話(27)
- 今の気持ち?(1)
- 更新履歴・サイト・ブログ関連+雅ちゃん日記(BlogPet.etc)(89)
バックナンバー
人気記事