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高校二年の時、クラスでクリスマス会をすることになった。
最後は、それぞれが決められた金額で買ったプレゼントを交換することに。
クリスマスソングに合わせプレゼントをまわし、曲の最後に、
自分のところにきた物が、自分のプレゼントとして受け取れるのだ。
きれいにラッピングされたプレゼントがまわる。
みんなお目当ての物が当たりますようにとワクワク気分で待つ。
そんな中、ただ一つ、使い古しの包装紙に無動作に包まれたのが一つあった。
みんな、どうかそれが当たりませんように、と心で祈った。
それが不運にも私に当たってしまった。
みんな、気の毒そうにと、言わんばかり一斉に私を見た。
クラスいち不幸な女になってしまった私は恥ずかしくて、
プレゼントをカバンに押入れ逃げるように教室を出た。
帰り道、誰もいないのを確かめて涙目で包装紙を開けた。
そこには、出来損ないの木彫りのクマもどきがあった。
「こんなもんいらん!」怒り狂った私は道端に投げ捨て飛んで帰った。
それは、ブサイクな柔道部の色黒大男の Sからだった。
しばらくたって、取り返しのつかないことをしてしまったと猛反省。
ハードな練習の合間をぬって、あの大きな手で一生懸命彫ったであろうあのクマ。
Sさんの顔をみるたび卒業するまで心が痛んだ。
その後、皮肉なことに、警察官になったSと偶然出会うことに。
私の下宿先の地域の交番に配属になったのだ。
それ以来、毎日、毎日、尋ねて来てはなにかと親切にしてくれた。
ちょっと好きになりかけた頃、私は引っ越ししてしまった。