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端に投げ捨て

2015-12-24 09:49:53 | 日記

高校二年の時、クラスでクリスマス会をすることになった。

最後は、それぞれが決められた金額で買ったプレゼントを交換することに。

クリスマスソングに合わせプレゼントをまわし、曲の最後に、

自分のところにきた物が、自分のプレゼントとして受け取れるのだ。

きれいにラッピングされたプレゼントがまわる。

みんなお目当ての物が当たりますようにとワクワク気分で待つ。

そんな中、ただ一つ、使い古しの包装紙に無動作に包まれたのが一つあった。

みんな、どうかそれが当たりませんように、と心で祈った。

それが不運にも私に当たってしまった。

みんな、気の毒そうにと、言わんばかり一斉に私を見た。

クラスいち不幸な女になってしまった私は恥ずかしくて、

プレゼントをカバンに押入れ逃げるように教室を出た。

帰り道、誰もいないのを確かめて涙目で包装紙を開けた。

そこには、出来損ないの木彫りのクマもどきがあった。

 「こんなもんいらん!」怒り狂った私は道端に投げ捨て飛んで帰った。

それは、ブサイクな柔道部の色黒大男の Sからだった。

しばらくたって、取り返しのつかないことをしてしまったと猛反省。

ハードな練習の合間をぬって、あの大きな手で一生懸命彫ったであろうあのクマ。

Sさんの顔をみるたび卒業するまで心が痛んだ。

その後、皮肉なことに、警察官になったSと偶然出会うことに。

私の下宿先の地域の交番に配属になったのだ。

それ以来、毎日、毎日、尋ねて来てはなにかと親切にしてくれた。

ちょっと好きになりかけた頃、私は引っ越ししてしまった。

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