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「ディア・ドクタール」「おとうと」笑福亭鶴瓶

2015年01月29日 21時45分53秒 | 映画

           「ディア・ドクター」

へき地医療や高齢化など現代の世相に鋭く切り込む人間ドラマ。
 「村の外れに脱ぎ捨てられた白衣」の理由をひもとくように語り始めるこの物語は、ニセ医者と彼を必要とした村人たちとの蜜月関係が温かくユーモラスだ。モチーフは僻地医療の現実。しかし、西川美和の過去作「蛇イチゴ」「ゆれる」同様、嘘と誠、善意と悪意をめぐって揺れ動くテーマは一貫し、可笑しくも哀しい人間の本性がさらに露わになっていく。村人の総意を受けて変容する鵺のような鶴瓶の造形はもとより、陰に陽に彼を支える余貴美子が見事。特筆すべきは、自立した子を気遣う病身の母・八千草薫と、医師でありながら拒絶され屈折する娘・井川遥との間に流れる空気。抑制された演技が醸す普遍的な家族像の表現が抜きん出ている。

 本作への共感の分かれ道は、生きづらく複雑な社会で所詮自分は何者かになりすましているに過ぎないという不安感に、どれほどさいなまれているか否か。かく言う筆者も、西川美和という傑出した才能に批評を加える行為なんておこがましいのではないかと硬直する瞬間がある。曖昧な自己は、人様や世間と繋がることで初めて形を成す。ホンモノかニセモノか。それは免許や資格という紙切れではなく、周囲からの期待や信頼でこそ決定づけられるのだ。西川作品とは、日本人の原風景が広がる田舎へと連れ出し、身にまとう最後の衣までも脱ぎ捨てさせ、心の扉を開かせる“仮の診療所”かもしれない。「どうしたい?」と問いかけ、患者の意向で処方箋は決まる。観る者に応じて表情を変えるラストカットは、ふくよかな解釈を与えることだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                       「おとうと」

女手一つで娘を育ててきた姉と、大阪で芸人にあこがれながら破天荒な暮らしを送る弟との再会と別れを描く家族ドラマ。10年ぶりの現代劇となる山田洋次監督が市川崑監督の『おとうと』にオマージュをささげ、戦後に生まれ育った姉弟のきずなをバブル景気直前に生まれた娘を通して、現在と今後の日本の家族の姿を映す。主演を吉永小百合が務め、その弟役を笑福亭鶴瓶が好演。笑いと涙にあふれた家族の希望と再生の物語に胸が熱くなる。

 夫を亡くした吟子(吉永小百合)は、東京のある商店街にある薬局を女手一つで切り盛りしながら娘の小春(蒼井優)を育て、義母の絹代(加藤治子)と3人で暮らしていた。やがて、小春の結婚が決まり、結婚式当日を迎えるが、吟子の弟・鉄郎(笑福亭鶴瓶)が紋付はかまで大阪から現われ、披露宴を酔っ払って台なしにしてしまう。



 

 

 

 


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