季節の野原で葉っぱの音を・・・。

心の畑も耕せる農家でありたい。

飛べないトンボ

2020年04月23日 | 生き物のこと

庭でカマを片手に草むしりをしていると、その手のすぐそこに

トンボが落ちていました。

落ちていた。というのは、地面にいて、飛べないでいたからです。

生きてはいましたが、飛べないトンボは、やがて生涯を全うして

すぐにアリが自分たちの巣へ運んでいくのが常。

その割には羽がなんてきれいなの。と思ったので

羽をつまんで多肉に留まらせ、写真を撮っていました。

細かく震える羽。

それを見ていた子どもが「老化じゃないの?」と言います。

そうだね。と、答えつつ

今まで何度もみて来た自然の生き物の死にゆく姿に

マイナスな感情は一切なく、ただ被写体としてレンズを向けていました。

次はどの角度から撮ろうか。そう思って見つめていると

音もなく、垂直に浮かび上がりさーっと空へ登っていきます。

私の到底手の届かない高さまであがり、一瞬そこでホバーリングをしてから

今度は方向を変えて水平移動で雑木林の中へ消えていきました。

ヤゴから脱皮して羽化したばかりのトンボだったんだ。

姿が見えなくなってから、ようやく気が付きました。

もうダメなんだと思っていて

実は飛び立つ準備をしていたこともわからず、

絵になるじゃないの。と、被写体としてちょうどいいとさえ思ったことを

反省しました。

「羽化したての羽、手でつまんじゃダメなんじゃないの?」と

再び子どもに言われ、心にトドメを刺された気分。

けれども、立ち直ってそれからホッとしました。

人生これで終わりじゃないんだな。

これから、今から、今までとは姿や生きる環境を変えて

新たな価値観でもって生きて行くための準備中なんだと、

今の人間世界に照らし合わせて

思うのでした。

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