きのとり

粘土屋とか皮肉屋とか
八ヶ岳の麓にある小さな村で粘土をこねてます

【Blue lineちゃんとBlack libidoちゃん】

2017年01月27日 | 作品
むかしむかし、とあるBlue Line Garage Cafe 18にBlueちゃんとBlackちゃんが住んでいました。
ふたりはいつも一緒でした。
ふたりはBlue Line Garage Cafe 18の外に出ることはできませんでした。
そのかわり、ふたりはとてもきれいな心を持っていました。
ふたりはとても仲良しでした。おたがいのことが大好きでした。
ふたりはとても似ていました。まるで双子のようでした。
来る日も来る日もふたりでたのしくあそんで暮らしていました。



ある日のことでした。
Blueちゃんが馬車に轢かれてしまい、顔に真っ青なアザができてしまいました。
Blackちゃんは心配しましたが、Blueちゃんは「大丈夫、平気だよ」と笑って言いました。
Blueちゃんは、馬車の持ち主からたくさんの金貨をもらいました
そしてみんなは「Blueちゃんの顔に綺麗なラインが入ったね 今日からBluelineちゃんって呼ぼう」と言いました。
Bluelineちゃんは、前よりも人気者になりました。

その様子を見ていたBlackちゃんは思いつきました。
「よし、僕も馬車に轢かれよう そして僕も金貨をたくさんもらって、新しい素敵な名前をつけてもらおう」
そしてBlackちゃんも道路にとび出して馬車に轢かれました。でもBluelineちゃんと違う場所を轢かれたのでもう一度轢かれました。
Blackちゃんの顔には真っ黒なアザが二本できました。
でも、馬車の持ち主は何もくれませんでした。
みんなは「Blackちゃんは心が汚れているからアザも黒いんだ」と口々に言いました。
Blueちゃんは「そんなことないよ。気にしちゃだめだよ」と言ってくれました。
でも
Blackちゃんは心にとても深い、とりかえしのつかない傷を負ったのです。

「僕の心は醜く歪んでいるんだ。その報いとして、一生消えないどす黒い烙印を押されてしまったんだ。。そうさ、今日から俺は『Black libidoちゃん』だ!!」
Blackちゃんの小さくてかわいい口は大きく裂け、つぶらだった瞳は暗く深い底無しの穴に変わりました。悪意と狂気の魔王『Black libidoちゃん』が誕生してしまったのです。



Black libidoちゃんは綺麗な心を捨てた代わりに、Blue Line Garage Cafe 18から出られるようになりました。
そして世界を悪意で覆いつくす旅に出ました。



あれから数えられないくらいの冬が過ぎました。
今でもBlue Line Garage Cafe 18にはBlue lineちゃんが棲んでいます。
Blue lineちゃんは信じています。Black libidoちゃんがいつか優しい心を取り戻すことを。
そして、Blackちゃんがあのドアから入ってくる日を待ち続けているのです。

今でも後ろをふとふり返ればBlackちゃんが笑って立ってるような気がして。。








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