きのとり

粘土屋とか皮肉屋とか
八ヶ岳の麓にある小さな村で粘土をこねてます

【それの名は】

2018年10月22日 | 作品

「それ」は12月24日の夜にやってくる。
君への「プレゼント」を持ってやってくる。
夜中にふと目を覚ますと「それ」はキミの枕元に立っている。
窓を閉めても、ドアに鍵をかけても、煙突をふさいでも無駄だ。
ベッドの下に隠れたって、クローゼットの中で息をひそめていたって、「それ」は必ずキミを見つけだす。
そしてキミがずっと欲しかったプレゼントを片手に、こう言う。
『このプレゼントとお前の夢を交換しよう』
もしキミが「プレゼントはいらない。だって僕の夢は一番の宝物だから」
そう答えると
『ではお前の夢に呪いをかけよう。これからお前は毎晩、眠りについてから目覚めるまで、おそろしい化け物に追われ続けるのだ』
そう言ってキミの夢に呪いをかける。
「わかった。そのプレゼントと僕の夢を交換するよ」
そう答えてもいい。
そうしたらキミはもう一生夢を見られなくなる。毎晩、眠りについてから目覚めるまでの長い時間、泥のような闇の中をさまよい続けるのだ。

どちらを選んでもいい。
ひとつだけ言えるのは、「それ」から逃れることは絶対にできない。ということ。

今の内に答えを決めておいたほうがいい。
「それ」がキミの家に来る前に。。

「それ」の名前をキミだけに教えてあげる。
それの名は
「サンスケ」
つむじ風追い越して
プレゼントをかかえて
闇の街から来る
キミの家へ来る
それは今年のクリスマスかもしれない。来年かも。10年後かも。

ひとつだけアドバイスをあげよう。
決してサンスケの左目をのぞきこんではいけない。
その深くて真っ暗な穴をのぞきこんだら最後
キミはあっという間に吸い込まれて、真っ暗闇の中に放り出されるから。
上も下もわからない漆黒の空間を永遠にさまよい続けるのだ。

決してひとりでは見ないでください。




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