早くも拉薩3日目となった。
初日こそゆり坊の貰ってきてくれたDinamoxのお世話になりはしたが、目覚めると大分体が適応してきているのが分かる。不定期に訪れていた手足の痺れ(原因不明)も収まってきている様だ。さて、今日はいよいよ拉薩の外へ観光だ。扎嚢(ダナン)か達孜(タクツェ)のどちらにしようかかなり悩んだんだよね。達孜にはゲルク派の総本山であるガンデン寺(甘丹寺)があるし、扎嚢にはチベット仏教建築の最高傑作と言われるサムイェ寺(桑耶寺)がある。結局、つい最近チベットを訪問された「ゴッド奥」の助言によりサムイェ寺を訪れる事に。何といっても、チベットの国教を仏教と定め最初に建立したのが他ありなんこのサムイェ寺ですからね。インドから招かれた聖職者達が集まったのもこの場所だしね、まさにチベット発祥の地とも言える場所でしょう。
眠い眼を擦りながら、8時半にロビー集合。俺はいつも通り、朝飯を食わないので時間ぎりぎりに一階へ。一見、誰も居ないのかな?と思ったが皆さんはちゃ~んと食堂の方にいらっしゃいました。周りを見渡すとお客はほぼすべて外国人(白人系)。日本人は1人もおらず、なんだか不思議な感じ。ちらっと朝食を見てみると、ヨーグルトとか、パンとか、ベーコンとかね。所謂コンチネンタルってやつ?皆は朝からマサラ茶みたいのを飲んでいらっしゃいます。俺もちょっと時間があったので、生姜茶を頼み、特注のマサラオムレツとやらを進められるままに食ってみる事に。このマサラオムレツ、普通のオムレツに香菜とか葱とかを加え、ピリッと辛い。うーん、なかなかいける。ネパールから来たおっさんがまた愛嬌あってよろしい。全く英語に聞こえない英語もまた愛嬌。そうこうするうちにお釜ガイドの仁君登場。よっしゃー、出発だってことで元気よく出発。
ホテルの外では今日一日チャーター予定の車が待っているはず・・・待っている。いるが・・・でかいな。これ15人乗り?おれら6人なのに。まあ、いいかってことで、皆で贅沢に使う感じで乗車完了。ところがどっこい、この車の遅いこと。最高時速でも60kmくらいしか出てないっぽい。なんで「っぽい」かって言うと、メーターが壊れてて動かないの。だから実際には何キロ出ているのが全然分からないんだけど、後ろの車にどんどん抜かれていく始末。こりゃあかんわ。実は、このチャーター車に関しては事前の旅行会との交渉において最後まで大揉めに揉めた項目なんだよ。そもそも俺の趣向として、中国を旅するのにパッケージツアーが大嫌いなんだけど、ここチベットにおいては拉薩から外に出るときには必ずガイドと車をチャーターしていないらしい。本当かどうかは怪しいが、正式がGuidanceとしてはどうも嘘では無いらしい。規則を破って、公安に捕まった場合には最悪のケース、国外追放になると脅されて仕方なく自由行動は断念。そんじゃあ、そのツアーって幾らなの?って事で交渉していたのがこの車代金とガイド料金。最終的には車は2日間貸切で3800RMB、ガイド料金は450RMBまで落ちたんだけど、俺の感覚からすればまだ3倍くらい高い。先方は目的地までの距離やチベットの物価の高さを挙げて納得するように迫ってきたので、今回きっちり見極めてやろうと、ガイドと車に関してはいつもより厳しい眼で見ているわけだ。
そんな観点で言えば、今回の車は購入から20年くらいは経ってそうだし、足は遅いし、全てのメーター(スピード、距離、それにガソリンメータまでも!!)が壊れている・・・。おまけにガイドは頼りないお釜ちゃんだし。ってことで、早速朝一番に旅行会社に電話をし、今日はともかく明日はもっと良い車に交換。ガイドもできれば交換するように依頼。走り出してしまった今日はもう仕方ないが、と思ったけど、やっぱり今考えてもあのガイドで1日を潰してしまったのは勿体無かったな。翌日のガイド李小姐が素晴らしかっただけに、余計感じてしまう。やっぱり、歴史遺産を巡る場合には十分なバックグランドがあるか、良いガイドと共に廻るのでなければ、何が素晴らしいのか?さえ気付かずに終わってしまう危険性がある。今回の旅ではこのあたりを改めて認識させられると共に、自分の勉強不足を何度も後悔させられました。
タラタラと街を走る事数時間、ようやくバスはダナン(扎嚢)へ到着する。実に何も無い。これが街?ってくらい本当に何にも無い。たぶん、お店が20軒くらい並んでいるだけで、後は民家と麦畑しかないの。まあ、普通の民家の生活が垣間見れて良かったけど。サムイェ寺にも何にも無いらしいので、まずはここで腹ごしらえすることに。向った先は町はずれの小さな小さなお店。お願いして出てきたのは西蔵麺(チベットらーめん?)とツァンパ。チベットらーめんはヤクの骨で採ったスープに、ぱさぱさの麺がはいった(俺からすると)酷い食い物だった。スープはまあまあだったが、麺がね・・・。ツァンパはまあ悪くなかったが、その辺のおっさんが手も洗わずに握ったようなのがちょっと気になってあまり食がすすまず。ホテルで予備用にチョコを買ってきておいて良かったな・・・。驚いたっていうか、笑えたのがガイドの仁君。彼はからっきしチベット料理が駄目。駄目どころか大嫌いみたい。ツァンパをちょっと口にしてはマズ~っと顔を顰めてオカマらしく大騒ぎ。「僕はチベット料理、好きじゃないデスヨ」だってさ。なんでチベットでガイドやってんだよ?当然西蔵麺もお断り。自分で昼食を持ってきているらしい。これがまた大衝撃。なんとビニール袋一杯のオレンジ?ゼリー。あの蒟蒻ゼリーの安っぽいやつみたいのね。分かるかしら?あれを20個くらい持ってきているのよ。そんでもって、車の助手席でゼリーを一個一個開けてはズルっって吸ってるの・・・。面白すぎるよね。ちなみに、俺らの会計は6人で15RMB。今回の旅の最安値更新は間違いない。
この後、サムイェ寺へ向う為に船渡し場へ移動する事に。またも走る事1時間。舟は最近少ないから車で行くとか、船の予定は元々入ってなかったとか色々運転手とガイドと揉めたものの、やっぱり舟に乗りたかったので船着場へ。と思ったら、ちょうど舟が出発するところ。俺らも乗せてもらおうとしたら、船は15人の定員オーバーってことで結局乗せて貰えずに、次の船を待つことに。見た感じ20人以上は乗ってたみたいだけどね。次の船が何時来るかは全く当てが無いとの事だったが、近くで見張っていた警察が居なくなったとたんに、一般乗船用では無い小船で渡してくれることに。6人の貸切で150RMB程。いや~思い通りだな。ラッキー。舟はなんとも言えない雄大な景色の中、浅瀬を迂回しながらゆったりと対岸へ。ちょっと寒かったけど、楽しい1時間でした。対岸からはまた別の車に乗り換えてサムイェ寺へ。お寺に行く途中で眼にした光景は、ちょっと驚き。西蔵のイメージには全くなかった「砂丘」の連続。もうちょっとであれは砂漠だよ。どうも後で聞いたところではここ数年、急激に西蔵の砂漠化が進んでいるらしい。原因は定かではないみたいだけど、地形が風化しているとも、新疆あたりから砂が飛んできているとも言われているみたい。いずれにせよ、この調子では数年後には今と全く違ったチベットの景色になるかもしれない。
そして、ようやくたどり着いたサムイェ寺。うーん、たしかに長い年月を経てきた風格がある、ような気がする。須弥山に似せて作られたと云う大殿は確かに立派な感じだ。入口の幸せの鐘を鳴らし(ジャンプして鳴らすの!)、早速境内へ。ここでまたまたやってくれた仁君。いきなりマニ車を反対に廻し始めます・・・それはやばいでしょ。釣られて俺も2つくら逆回ししちゃったよ。幸せが逃げるって。サムイェ寺は仏教で言うところの世界観を立体で現した曼荼羅とも言われているんだけど、ガイドが悪かったせいか、あまりそういう実感が沸かなかったのが残念だったな。まあ、密教の仏像や、消された壁画なんかは結構面白かったけどね。
寺を後にして、迎えに来た車の乗る。疲れていたのが結構爆睡。1時間半が経ち、眼が覚めてもまだダートを走っている。ここ何処よ?聞くところでは、サムイェに至る道は現在改築中で40kmものダートになっているらしい。船着場あたりまで戻るのに一旦ツェタンまで引き返す必要が有り恐ろしく遠回りな道なのだ。早く言えよな。今夜は19時半からホテルで民族舞踊を見る予定だったと伝えてあったのに、到着は8時になるとの事。またやってくれたよ仁君。隣に呼んで、何のガイダンスもしなかった仁君を叱り飛ばす。まったくガイドとしては本当に駄目だわ。困った仁君は会社に電話して、厳しい客だから明日は変わってくれるようにって電話しだす始末。だったら朝から変わっとけ!
結局バスは20時半にホテルに到着。途中で、姫がホテルに電話して公演を21時からにして貰えるように交渉していてくれたので、結構余裕だと思ったら、なにやら雰囲気が変。今にも公演が終わった彼らが帰ろうとしている・・・ありゃ?どうなってるの?と思いきや、公演は20時から開始していたとの話で、21時とは言ってないとの事。そんな訳ネーだろとしばらく揉めたものの、帰ってしまっては公演が見れないのよね。そこで交渉の末、我々か仕切りで300RMBで再公演して貰うことに。元々1人25RMBのはずだったから、倍になっちゃったってことね。この金額を聞いた、楽団のメンバー、ニコニコ顔で戻って来る来る。今になってよく考えてみたら、奴らぐるになって担ぎやがったかな?まあ、踊りは踊りでなかなか楽しかったからいいけどね。やたら広い部屋に俺らだけで、贅沢な気分も味わったし。インド料理食いながらの見学もなかなか良かった。特にタンドリーチキンがかなり美味。ビールでMMと酔っ払ったところに、例の愛想の良いネパール人に進められてネパールブランデーを試す事に。これがまた結構いける。かなりフルーティで強く、高地では酔いますねー。快心開心!
酔った後の階段辛かったなぁ。心臓破裂するかと思ったよ。
※ 写真は苦難の末たどり着いたサムイェ寺です。