「選ぶ力」2012/11/30
五木寛之
最近ネットの記事で、ふと目に留まった言葉がありました。
人生も後半になってきて、あの時「ああすればよかった」とか、「こうすればよかった」など
振り返ることが多くなってきた、という内容だったか?
それを読んで、ああ、私もそうかもーと..
最近過去を振り返ることが多くなってきたなあと感じます。
で、確か人生の選択について、書いてあった本があったはずと本棚を眺めてみたら
上記の五木寛之さんの本がありましたので、再読してみました。
本書の始めに、この本は、選択の技術やノウハウを簡単に伝授する手引き書ではない。
選びながら迷い、迷いながら選びつつ生きる、私的なモノローグのようだと書かれています。
なるほど、確かに再読してみて、的確な答えはなく、最後は自分で考えましょうというところでしょうか?
でも、そこが五木さんのいいところで、
的確な答えほどあてにならないと、最近つくづく感じます。
あなたは何を「選ぶ」のか
(本文より)
人は生まれてくるときに、自分の選択の自由がない。
どこの国の国民として生まれるか。
どんな両親のもとに生まれるか。
どんな個性や、才能や、容貌や、体質をもって生まれるか。
運動が得意なのか、それとも理数系の能力にめぐまれているか。
黒人か、黄色人種か、白人か。
戦国時代に生まれるか、徳川数百年の泰平期に生まれるか。
すべて私たち個人の努力や、選択や、決意などには関係がない。
私たちは、ただあたえられた運命を無条件に受け入れて誕生してくるのである。
そうであるならば、自分の一生の幕を引くときぐらいは、自分の意思を反映したい。
そう考えるのは傲慢なことだろうか。
(本文終わり)
自分で選んで、この世に生まれてきたわけではなく、気が付いたら生まれていたわけで...
私の記憶は幼稚園に通っていたあたりからかな..
幼少期は楽しい思い出が結構たくさんあります。
昭和の古き良き時代の東京の下町で育ち、隣近所みんなで子育てをする環境でした。
その頃の私は明るくて活発な女の子だったと思います。
親に怒られて、縁側に出されて泣いていると、
隣のおばさんが「どうしたの?」と優しく声をかけてくれたことが、今でも思い出となって残っています。
その後、父が隣県に家を建て引っ越してからは、つらい思い出ばかりしか思い出せませんが
引っ越しだって、小さな子供には選択なんてできませんしねぇ..
自分の運命は選べるか
(本文より)
「玉 磨かざれば光なし」とは、よく耳にする言葉だ。しかし石はどうなのか。
磨けば光る玉もあれば、道ばたの石ころもある。
この自分が、はたして磨けば光彩陸離たる玉なのか、それとも磨いても無駄な石なのか。
それは誰にもわからない。だから頭から諦めずに磨いてみよ、と古人は言ったのだろう。
何もしなければ光らざる玉として、無益に埋もれてしまうかもしれない。
それは惜しいではないか、と。
しかし、私がこだわっているのは、
なぜ人間は、玉とか石とかに区別されてこの世に生まれてくるのか、という一点にある。
大声では言えないその事に対する答えは、はたしてあるのか。
(本文終わり)
玉と石に区別されて生まれてくる意味..
私も、これはいくら考えても答えがでないです。
生まれながらに、すでに差がついているということですよね..
世の中は不平等で理不尽だってことがわかります。
どんなに努力しても、結果が出せない人もいれば
才能に恵まれて、それを発揮していく人がいることも事実。
運命には逆らえないのか
(本文より)
両親もはやく世を去ったし、自分自身の体調もよくなかった。
いつも金がなく、大学も途中でやめざるをえなかった。
しかし、不幸と不運はちがう。
私は若いころ、自分はなんという運の悪い人間だろうと、
しばしば天をあおいでため息をついたものだった。
だが、ふしぎなことに、自分を不幸な人間のようには思わなかった。
不運が重なっていても、とりあえずなんとか生きている。
敗戦後の体験からすれば、とりあえずその晩、泊まる場所があり、
その日いち日、なんとか飢えをしのぐことができただけでも幸せというべきだろう。
(本文終わり)
ガンを経験した外科の医師が「不運は必ずしも不幸でない」と口癖のように言っていたそうです。
私自身、大病が見つかったとき、上記の言葉が大きな励みとなりました。
不運に見舞われたけれど、好きなことは続けよう、なるだけ病気のことは考えない..
あと、これまでの人生で、告知された時よりも辛い経験が過去にあったおかげで
あまりショックを受けず、たんたんと受け入れることができたのはよかったです。
人生の選択については、私の場合は後悔ばかりで
あの時、別の道を選んでいたら、
全く別の人生を送ることができたのではないか、ということがたくさんあって、
「どうしてこんな事に」ってなげくこともありますが
それでも私の人生は、それほど幸せではないけれど、すごく不幸せってわけでもないんじゃないか?
朝、目が覚めれば、とりあえず1日頑張ってみる、の繰り返し...
今のところ、そんな感じで生きてます。