縁側で日向ぼっこ

本、アニメ、マンガなどのレビューと紹介

「毒親」中野信子

2024年10月14日 | 本 レビュー

「毒親」2020/3/27

中野信子

 

初めて「毒親」という言葉を聞いた時、ひどい言葉だな?と思ったものですが、それでも自分の中にある親に対するモヤモヤした思いは、一体なんと表現したらいいのだろう..。モヤモヤどころのもんじゃないかも?実は私はものすごく傷ついているのではないか?

この本は、自分自身の心の整理も兼ねて読んでみました。

P38
グリム童話『白雪姫』は、継母が娘を殺そうとする物語として広く知られています。しかし、実はグリム童話初版本では継母ではなく、実母が娘を殺そうとする物語であった、というのは、今では有名な話でしょう..

この物語では第三者(鏡)に娘と容姿を比較された母親が、娘の美しさを妬んで娘をあの手この手で殺そうとします。

☆感想☆

うわーって感じですね..実母だと社会通念上よくないから?これはなんなんですかね?同性だから娘が憎いってこと?

私自身も感じていたんですが、母は私をほめることをしない人でした。そして私が大人になるにつれ、今度はライバル視するようになりました。当時思っていたことは、もしかして母は私が幸せになることを妬んでいるのだろうか?いやいや、そんなひどいことを思う私はおかしいのでなないか?そんな葛藤がありました。

 

P56
合理的な社会システムをもし組むことができるとしたら、母親のプロフェッショナルみたいな人がいて、その人に養育を任せるのが一番合理的です。これは歴史的によくできていた時代もあります。(階層にもよりますが)。一握りの人たちではあったけれど、乳母という人たちが、養育者のプロフェッショナルとして、養い君を、養育、教育してきたのです。

☆感想☆

乳母って時代劇などに時々出てきますが、なるほど!と思いました。正直自分の手で我が子を育てられないのって気の毒と思って見ていましたが、考えてみればこういう方法もありだなと感じました。

 

P138
突き詰めていくと、親に対して抱くどうしてもっと優しくしてくれなかったんだろうという恨みつらみ以上に「なぜ自分は生きているの?」という問題に突き当たってしまうからです。毒親という言葉の重さの本質はここにあるのかもしれません。自分で望んで生を享けた覚えはない。気が付いたときには、もうゲームが始まっていて、途中リセットすることが原則として許されない。しかも持っているカードは最初から決められていて、自分では選べないのです。生まれる階層も、親を選ぶこともできず、経済状態も、健康状態も、生まれつきの才能も、性別も容姿も...

☆感想☆

「ゲームが始まっていて」という表現は面白いなと思いました。私は「気が付いたら生まれていた」って思っていました。いずれにせよ、これらの答えは宗教や哲学の世界になってしまうんだろうなと思います。作者は「自分を育てなおす」という表現を使っていますが、最終的にはプロの手を借りてもいいのではないかとのこと。これは私も考えたんですが、相性のいいカウンセラーとの出会いって奇跡に近いと思うんですよね...

 

P179

実際、生きて行く中で出会う諸々の不都合や、生きづらさの原因を、私たちはしばしば、親の責任にしがちではないでしょうか。もっと親がこうだったら、もっとこうしてくれていたら、もっとこんな言葉をかけてくれていたら、私はもっと……だったはずなのに。

とはいえ、親はまたその親に、そして親の親はまた彼らの親という形で、どこまで遡ってもこの延々と続く苦悩の元凶探しは終わることがありません。

☆感想☆

確かにそうなんですけどね..生きづらさの原因って持って生まれた性格も大きく左右しそうだし、けれど性格って親からの遺伝もあるし、でも親だってその親からどう育てられたのか考えると、堂々巡りですね..

だからといって、親には親の事情があったんだと納得するのも、なかなか難しいなあと感じています。