今でも古い家の横にコンクリートで作られた四角い
電話ボックスのようなものを見ることがある。
これは昔使われていた家のトイレで下水道が発達した現在では
使われていない。
沖縄の方言でトイレのことを「フール」と言う。
正確には豚小屋と一緒に作られているトイレのことを
「フール」という。
昔はどこの家でも豚を飼っていた時代があって、人間の排泄物を
豚が処理していた。
伊良部島の早口言葉にこんなのがある。
「伊良部のヤー(家)にワァー(豚)のヤー(家)のニャーン(無い)ヤー(家)はニャーン(無い)
方言を字で表すのは難しい。
こんな早口言葉が伝わるほど、どこの家でも豚を飼っていて
豚小屋とトイレが一緒だったようだ。
オバァの家にも外にトイレがあった。昭和50年代後半まで使っていたそうだ。
下水道が整備されて家の中にトイレのある生活に変わった。
私の世代は家の中にトイレがあるのが当たり前。
確かに田舎の方に行けば、家の外にトイレがあるのを見たことがあった。
オバァたちは、家の中にトイレを作るということに抵抗があったそうだ。
昔はトイレは外にあるもの。
家の中に臭い不潔な場所を置くことにかなり抵抗があったという。
家の中にトイレができても、頑固なおじぃやオバァは外の
トイレをしばらくは使っていた。
沖縄ではトイレにも神様がいて、神様の居場所をそう簡単には変えることが
出来なかったのかも知れない。
今でも古い家の横には昔のトイレの跡をよく見る。