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哲学日記

水上勉の傑作「飢餓海峡」映画版とテレビ版

 

 たぶん中学生の時だとおもう。内田吐夢監督の

 

映画版「飢餓海峡」

 

を家の近くの東映直営館で観て衝撃を受けた。

飢餓海峡」秀作A Fugitive From the Past | Official Trailer


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それがあまりにも良かったので、その感動の余勢でめったに読まない小説にまで手を出した。

おれは敗戦直後の荒廃混乱貧困を(ほとんど類推に過ぎないにしても)辛うじて実感できる最後の世代なので、小説にも映画にもリアリティを感じることができる。今の若者とかにはぴんとこない内容だろう。

飢餓 海峡


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ラストで三國連太郎扮する主人公が突然フェリーから飛びおり自殺する。その後の海と波の映像がいまだに鮮明なイメージとして残ってた。しかしストーリーや意味はまるで思い出せない。それが気になって何十年ぶりかで観なおした。わりと単純なストーリーだった。でも、今観ても見事な映画だ。

 

 

水上勉原作「飢餓海峡」は社会派推理小説の傑作で、繰り返し映像化されてる。

ウィキペディア 飢餓海峡【あらすじ】より引用させて頂きます。

戦後まだ間もない昭和22年、北海道岩幌町の質店に強盗が押し入って大金を強奪したうえ、一家を惨殺し、証拠隠滅のため火を放つ事件が発生する。火は市街に延焼し、結果的に街の大半を焼き尽くす大火となった。その夜、北海道地方を襲った猛烈な台風により、青函連絡船・層雲丸が転覆して多数の死傷者が出る。翌日から現場で遺体収容に従事した函館警察署は、連絡船の乗船名簿と該当しない、身元不明の2遺体を発見する。

函館署の弓坂刑事は、身元不明の2遺体が質店襲撃犯3人の内の2人であり、強奪した金をめぐる仲間割れで殺されたと推測する。同じ頃、青森県大湊(現:むつ市)の娼婦・杉戸八重は、一夜を共にした犬飼と名乗る見知らぬ客から、思いがけない大金を渡される。悲惨な境涯から抜け出したいと願っていながらも、現実に押しつぶされかけていた八重に、その大金は希望を与えてくれるものだった。その後、犬飼を追跡する弓坂刑事が大湊に現れて八重を尋問するが、八重は犬飼をかばって何も話さなかった。八重は借金を清算して足を洗い東京に出るが、犬飼の恩を忘れることはなく、金を包んであった新聞と、犬飼が使った安全カミソリ(映画版では犬飼の爪)を肌身はなさず持っていた。

10年後、八重はふと目にした新聞の紙面に驚愕する。舞鶴で食品会社を経営する事業家・樽見京一郎なる人物が、刑余者の更生事業資金に3000万円を寄贈したという。記事に添えられた樽見の写真には、行方が知れないままになっていた恩人・犬飼の面影があった。八重は舞鶴に赴くが、樽見と会った翌朝、彼女は海岸に浮かぶ死体となって発見された。当初は自殺と思われたが、東舞鶴署の捜査官・味村刑事は八重の懐中から樽見に関する新聞の切り抜きを発見し、彼女の死は偽装殺人であると看破する。

彼の執拗な捜査によって、10年前の台風の夜に津軽海峡の海上で起きた殺人事件の姿が徐々に浮かび上がり、捜査員らは、貧困の中で懸命に生きた者たちの想いや、その人生の悲劇を知ることになる。

 

 

 

そのだいぶ後で観た

 

テレビドラマ版「飢餓海峡」

 

も今回再視聴した。こっちもまた映画版とは別の良さがある。

 

 

戦後、本性むき出しの人間を厭というほど見てきた

樽見京一郎(ショーケン)の深いセリフ。

 

あの時代を生き抜いてきた奴は、みんな人間のカスや。……

今こうやって生きてる人間は、みんなどっかで鬼ですな。

 

 

 

 

これは漱石も、時代は違うが同じことを言ってる。つまり人間はがんらいそんな生き物だということ。

 

わが身が危うければどんな無理なことでもしなければなりません。
そんな無法があるものかと力んで居る人は死ぬばかりであります。だから

現今ぴんぴん生息している人間は皆不正直もの

夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」

 

 

 

現代は

 

「そうですけど何か問題でも」

 

と思考停止で居直る段階に落魄してる。

 

こうなると滅びは間近だ。

 

エンドロール直前シーンの独白

なぜ、生きることがこんなに哀しいのか。

 

こんなにも切ないのか。

 

…それはなぜ

 

 

 

 

 

 

あなたは、なぜか分かりたい

とおもってますか。

 

もうどうでもいいですか。

 

 

 

 

 

 

 

 (My Favorite Songs) 

弘田三枝子さん 11PM 出演 1974-1-5(26歳11ヶ月)


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(過去記事編集再録)

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