ベンチャーキャピタル(VC) ブログ

ベンチャーキャピタル(VC)、プライベートエクイティ(PE)投資、イノベーション関連の雑記

昔の同僚が作った会社を投資検討する

2007-01-22 20:35:09 | モバイル業界
今投資検討している案件は、昔の同僚が作った会社である。彼はシンガポール人であるが、日本の市場そしてアジアのリソースを活用し、モバイルのビジネスを立ち上げ急成長させている。

当時は仕事を一緒にすることが無かったが、今になって一緒に仕事が出来るかもしれないという期待感があり、話していてとても楽しい。

彼は投資家から一転投資先の社長となりその会社を売却、そして今の会社を立ち上げて成長軌道にのせている。いつも自分のビジネスを話し続けている恐ろしくエネルギッシュな男である。

コンセプトは日本のコンテンツをアジアで展開する、日本のコンテンツをアジアのリソースで作る。今後が楽しみである。大化けする可能性もある企業だと思う。



コンテンツ業界投資のスイートスポット

2006-12-01 17:27:17 | モバイル業界
このレポート。コンテンツ業界の投資に関して、なかなか良くまとまっています。またデータも豊富。

Aggregatorとか、Contents Value chainとか、ちょっとネットバブル期を思い出しました。こういう議論よくありました。

但し、当時と違って見えるのは、スライドの19P、22Pのような、視聴全体は増えるけど各コンテンツがフラグメントになる、という視点、
24Pにあるような、変化が急に起こるのではなく時間をかけて変化する、という視点

でしょうか。

バブル期以降ハイテク投資で感じたことは、

皆が話題にする、ビジネスアイデア・モデル・仮説といったものは案外正しくて、それは将来起こりうる可能性は高い。
しかし問題はその実現の時間・タイミングを間違ってしまうことがすごく多い。

世界中ITバブルに踊った人も皆(私も)学習している、ということですね。








コンテンツ流通の民主化 Ⅱ

2005-03-25 19:24:42 | モバイル業界
放送業界の公共性、モノ作りの議論について、考えたいと思う。

先週末・今週とテレビを見るにつけて、「放送は公共のものだから特別なんだ、放送はモノ作りをしているだから儲かるとかそういう問題じゃない」という議論が、結構真面目に議論されていた。

私はマスコミや放送といった業界に属したことがないので、内部の人の気持ちは良くわからないが、外部の様々な業界を見ている立場から見ると、ちょっと何か不思議な感じがした。

そもそも制作の多くを外注しているからこそ、マスコミは利益率の高いわけであり、モノ作りというより、モノを編集して流すという点では、流通に近い気がするし、また公共性という点からしても、通信、電気、ガス、水道といったライフラインと比べてみても、特別公共性が高いと認識していなかったからである。

トヨタ、ソニーだけでなく、世の中の会社で本当にいいモノ作りをしている会社はたくさんあるし、車、パソコン、携帯のようにインフラとして本当に重要になってきている業界もある。そのような会社の社長や社員が、「うちはいいモノ作っているから、儲からなくても良い」という発言をしているのを聞いたことがないし、市場で発言でもしたら大変なことになるだろう。いいモノを作っていかに儲けるか、という次元で考えることが求められているように思う。

そういう意味で、ホリエモンが勝つとか勝たない、とかの議論ではなく、マスメディアも変わっていく、ということが段々わかってきたのではないか、と考えている。

コンテンツ流通の民主化 Ⅰ

2005-03-23 22:48:05 | モバイル業界
ちょっと、ベンチャーの話題からそれて、今話題のホリエモンのネタに遅ればせながら、取り組んでみたいと思う。私の気になる視点としては、コンテンツ流通の需要と供給の問題と、放送業界の言う公共性・モノ作りの問題である。

従来TV・ラジオといった放送業界は、許認可制の規制産業であった。ホリエモンの出現は、資本市場の問題だけでなく、インターネットによるコンテンツ流通の民主化を意味していると思う。

つまり、映画、音楽、バラエティ、報道等のコンテンツを作りたい、と思う人は従来から非常にたくさん存在し、これからも存在し続けることであろう。しかし一方で、それを流す流通チャネルは、12チャンネル+ケーブル・衛星といった限られた数しかなかった、ということである。

今までは、コンテンツを作りたい人が100万人いたとしても流す枠は12チャンネル+アルファ分しかないので、その流通網にいた人達(広告代理店も含む)は、これらの利権を牛耳って既得権益を享受していた、という訳である。ちょっとやっかみも入るが、東証上場企業の従業員平均年収ランキングに、フジテレビ1位、日本放送11位、広告代理店も上位に入っていることは偶然ではないだろう。

インターネットがこなれてくるにつれて、コンテンツはより簡単に製作することが出来るようになり、その流通も多様化している。例えば、このブログに関しても、簡単に文書を公表できるようになっているし、音楽にしても映像にしても、誰でも配信することが可能になっているのである。その結果、コンテンツを供給する人の数はますます増え、それを流す流通網は12チャンネルどころの話ではなくなってくる。

つまりコンテンツの供給サイドは益々増え、流通網は益々増えてくる、のである。しかし一方で視聴者の余暇の時間は有限であるので、今まで12等分していたものが、可能性としては無限大等分されてしまう、ということになる。

過去の事例を見ると、証券業界もかつてはハイマージン構造が許されていたが、ネット証券の参入によって、業界構造が崩された。又、本や中小企業の流通構造の変化もしかりである。

放送業界は今まで業界構造を閉鎖的にし、新規参入がない状態だったが、本来資本がかかる産業(例えば石油や重電のように設備投資のリスクがあり参入ができない業界)でない以上、今後新規参入によるパイの奪い合いの競争は避けられない。次第にシェアを食われ、今までのハイマージン構造を維持できなくなっていくだろう。

テレビがなくなる、ということはないかもしれないが、広告のシェア、視聴者の時間のシェアは奪われる一方であろう。人々は規制産業が変化してきた事例を過去10年でたくさん見てきている。

ネット証券、アマゾンドットコム、固定電話の加入者の減少、等。

次は、公共性とモノ作りという観点からマスメディア・放送業界を説明しようと思う。